ベル&ロス「BR-03 ダイバー フルラム セラミック」は“青すぎない青”が爽快な夏時計

2025.07.15

ベル&ロスの「BR-03 ダイバー フルラム セラミック」。ブラックセラミックケース×淡いブルーの文字盤という、個性的なルックスが目を引くモデルだ。昨年リリースされたこの時計、実はステンレススティールケースの「BR-03 ダイバー」よりも売れているとの噂がある。いったいなぜ? 実際に着用して、その人気の理由を探ってみた。

ベル&ロス BR-03 ダイバー フルラム セラミック

加瀬友重:写真・文
Photographs & Text by Tomoshige Kase
[2025年7月15日公開記事]


正方形ケースへの個人的な思い

 ベル&ロスの時計を初めて手に入れたのは2008年のこと。スモールセコンドの「ヴィンテージ 123」を新品で購入した。当時の一番人気は、2005年に衝撃的なデビューを果たした「BR-01」。コックピットの計器をモチーフにした正方形のケースが革新的だった。迷ったが、まずはベーシックなモデルが欲しかったのだと思う。クリーム色の文字盤もかわいかったし。

BR03

2008年に購入した「ヴィンテージ123」。現在オーバーホール中ゆえきれいな画像をお出しできず恐縮である。

 現在丸型ケースの時計はベル&ロスから姿を消し、「BR-01」の後を継ぐ「BR-03」シリーズがブランドのアイコンになっている。今回着用レビューするのはそのダイバーズウォッチ。十数年の時を経て“ベル&ロスの正方形”にようやくたどり着いた、と思うと感慨深い。大げさだが、個人の思い入れはたいてい大げさなものである。


ストレスフリーの幅広ストラップ

 さて「BR-03 ダイバー フルラム セラミック」の第一印象は……ずばり「武骨なダイバーズウォッチ」であった。そのスタイリッシュな見た目とは逆だ。

 ケースサイズは直径42mm、厚さ13mm。数値以上に大きく感じるのは、やはり正方形という形状ゆえのこと。そしてしっかりと重い。この時計の本質はやはり、ベル&ロスらしいツールウォッチなのだと実感した。

BR03

ベル&ロス「BR-03 ダイバー フルラム セラミック」
自動巻き(Cal.BR-CAL.302-1)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約54時間。セラミックケース(直径42mm、厚さ13mm)。300m防水。82万5000円(税込み)。

 幅の広いラバーストラップの意味も、手首に巻いた時に理解できる。重いケースをしっかりと固定し、ストレスなく着用するための形状&素材なのだ。ただ、軽い時計に慣れていると最初は戸惑うかもしれない。正直に言えば私も、「この時計を毎日着用するのはつらいかな」と思った。

 しかしながら身に着けてみると、この大きさ、重さ、存在感がなぜかクセになる。日に焼けた腕にしっくり馴染む。薄着の手元に程良いアクセントを与えてくれる。そうか、この時計は夏に打ってつけというわけか。

BR03

極太のウーブンブラックラバーストラップ。この幅の広さが優れた装着感の鍵である。


視認性の良さを実感

 私の夏気分を一気に盛り上げてくれた「BR-03 ダイバー フルラム セラミック」。この時計を相棒に海釣りにでも……と思い船を予約した。が、なんと釣行前日に「強風で出船できず」との連絡が。不運がすぎるが天候には逆らえない。三浦半島へのドライブを楽しもうじゃないか、と切り替えた。

ベル&ロス BR-03 ダイバー フルラム セラミック

存在感抜群の「BR-03 ダイバー フルラム セラミック」だが、ハンドル操作やギア操作にはもちろん支障なし。むしろタフなオフローダーとの相性は抜群であり、アクティブな気持ちが加速する。

 重い時計は運転時のストレスになるかと思ったが、そんな心配も無用だった。このラバーストラップは本当に優秀。先述したようにケースをしっかりと固定してくれるうえ、フィット感も抜群なのだ。手首の角度に合わせてしなやかに伸縮(するように感じる)。それでいて決して窮屈じゃない。個人的には若干タイトに締めたほうが、心地よかった。

 また運転時に気付いたのは、この時計の視認性の良さである。光の反射を防止するサファイアクリスタルを採用。黒で縁取られた針とインデックスが、文字盤の上にくっきりと浮かび上がる。

BR03

反射の少ないサファイアクリスタルを採用。日中の強い陽光の下でも、確かに見やすい。

 結果、気分的にも実用的にも、夏の一日を楽しく彩ってくれた「BR-03 ダイバー フルラム セラミック」。釣りはまたの機会になってしまったが、三崎港の定食屋で選んだイサキの塩焼き(当日はイサキ釣りの予定だった)が素晴らしかったので良しとする。


青すぎない青がいい

 ダイバーズゆえ海で、あるいはアウトドアで着用するのが「BR-03 ダイバー フルラム セラミック」の本筋かもしれない。しかしながら街でも映えるスタイリッシュなルックスも、この時計の大きな魅力なのである。

 ただし近年人気の青文字盤は、コーディネートの中では悪目立ちする可能性もある(プロダクトとしての美しさに異論はない)。しかもこの時計は、存在感の強い正方形のケースである。

 ところがご覧の通り、カジュアルな夏のコーディネートに難なく馴染んでくれる。その理由はおそらく、この文字盤のブルーが“青すぎない青”だから。自然光の下では、青よりむしろ白に近いイメージ。カジュアル服にはもちろん、今どきのビジネススタイルにも問題なく合うはずだ。すなわちキレイめのジャケット&パンツや、ノーネクタイで着こなすスーツなどである。

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Tシャツ&デニムのシンプルなコーディネートに適度なアクセントを与えてくれる本作。アンドワンダーのアウトドア的ショルダーバッグとの相性も、もちろん良き。

 また日付表示ディスクの色にも工夫があると感じた。白ではなく淡いブルー。文字盤と同系色だが、わずかにトーンが違う。文字盤全体のデザインを邪魔することなく、4時および5時位置の丸いインデックスと明確に区別する。細かい部分まで配慮が行き届いている。

 ちなみに暗所での文字盤はしっかり“青”だ。スーパールミノバコーティングが鮮やかなブルーに輝く。これはこれで気分がよろしい。

ベル&ロス BR-03 ダイバー フルラム セラミック

夜道では鮮やかなブルーカラーを見せてくれる、スーパールミノバの文字盤。帰路を急いでいたので写真の手ぶれは何卒ご容赦ください。


人気の理由

 この「BR-03 ダイバー フルラム セラミック」の魅力をまとめると、以下の4点となる。存在感ある形状。優れた装着感。抜群の視認性。黒×青の個性的なカラーリング。

 さて冒頭、通常のステンレススティールケースのモデルよりも人気がある、と記した。「BR-03」のダイバーズの形状、装着感、視認性はどのモデルも変わらない。となると通常モデルとの差は、最後に記したカラーリングにあるのだ。

 ケース&ラバーストラップの黒に、文字盤の淡いブルー。インデックスと針の潔い白。

BR03

黒、白、そして淡いブルー。武骨さと都会的な雰囲気を併せ持つ、優れたバランスのカラーリングが本作の最大の特徴だ。

 300m防水や逆回転防止ベゼルなどダイバーズに求められる高機能と、個性的かつバランスの良いカラーリング。それが、本作の人気の大きな理由だ。一見して爽快であり、身に着けたとたんにアクティブな気持ちが湧き上がる。太陽が眩しい夏にこそ着用したい──そう強く感じる時計だった。

Contact info: ベル&ロス 銀座ブティック Tel.03-6264-3989


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