思い入れのあるウォッチやジュエリーとの出会い、
初めて購入したものについての思い出はどのようなものでしょう?
さまざまなシーンで活躍している女性たちのストーリーをご紹介します。

松本千登世さん

SHITOMICHI:写真
美容テーマや人物取材を手がけるフリーエディター・ライター。多くの女性誌で連載を持つ傍ら“美”をテーマにした著書も多数。最新刊は『もう一度大人磨き 綺麗を開く毎日のレッスン76』(講談社)。
「『小さくても本物を身に着けなさい』。子どもの頃から母に繰り返し言われてきたことです。母は、自分が使っていたパールのネックレスを私が20歳の頃に譲ってくれました。そして、20代後半では、『大切な方をお祝いしたり、お見送りしたりするときに、先方に恥をかかせないために、きちんとした装いで出席しなさい』と、一生使い続けられるようなパールの大粒のネックレスを贈ってくれました。おそらく、本物に触れたときの喜びや、背筋がぴんと伸びる感じを娘に体験してほしいと考えてくれていたのでしょう」。そう柔らかな表情で話すフリーエディターの松本千登世さん。
 そんな松本さんが日常で身に着けているのはマットなゴールドの質感が魅力の「ノグチ ビジュー」のネックレスやピアス。取材当日は華奢なチェーンに四角や丸のモチーフがあしらわれ、クロスのペンダントトップが付いた三連のネックレスをしていて、松本さんのニュアンスのある雰囲気にしっくりと馴染んでいた。「『ノグチ ビジュー』を見た瞬間、一目惚れして、少しずつ買い足してきました。とっても繊細で肌にぴったり寄り添う着け心地と、その一方、ごりっとした固い印象もあって、その二面性に魅かれています。ふたつと同じものはないという手作り感も素敵です」
 最近よく着けている腕時計は、黄味がかった文字盤の色が気に入った「ベル&ロス」。夏は白いベルトに替えて着こなしのポイントにしているそう。これまでは「時計好きの兄から職人技の妙を聞かされて敬愛していた」フランク ミュラーの「カサブランカ レディース」や、イタリア旅行の際、 偶然出合い「肌にはり付くようなフィット感が気に入って」ブルガリの「ディアゴノ」を購入。
「この3本を並べてみると、マニッシュな印象なんですよね。女性らしさをめざしていたはずなのに(笑)。ただ、時計選びにもジュエリ一選びにも共通して言えるのは、“体の一部”になり得るかということ。そして、時が経てば経つほど味わいが増す“経年優化”たり得るか。今の私の雰囲気やファッション、年齢にぴったりの時計を模索中です。これから一体、どんな出合いがあるのか楽しみです!」

宮本 柊:取材・文