「GMT アース」で目指した、全体的かつ立体的な眺め
LRB:初期のGMTは、その非対称なケース形状が印象的でした。どうしてこのような形にする決断がなされたのでしょうか? 意図されたことだったのか、それともそうせざるを得ないものだったのでしょうか? また、それは最新の「GMT アース」の中に、どのように生かされているのでしょうか?
SF:GMTでは、回転する地球儀のスペースを追加で設けるためにケースサイドを非対称にデザインしました。「GMT アース」では、地球儀を魅力的に見せることが一層の創作テーマとなったため、更に発展させて考えました。最初からGMTの非対称ケースをベースに設計し、地球儀全体を見えるように収め、北極点から南極点まで360°見えるようにしました。すると地球儀は時計のなかでミステリアスに浮かんでいるように見え、加えてケースバック側からもドーム状のサファイアクリスタルを通して見えるようになったということです。
LRB:「GMT アース」サファイアクリスタル製のアワーリングは、デザイン要素として考案されたのでしょうか? それとも機能上の必要性があったのでしょうか?
SF:「GMT アース」のコンセプトは立体性です。360°の地球の眺めをアプローチする立体地球儀によって、そのコンセプトは伝わるはずです。ローカルタイムは、サファイアクリスタル製アワーリングを備えることでムーブメントの機構を可視化しました。開放性が演出され、結果、ユニークな立体構造を強調させる役割を果たしました。
LRB:「GMT アース」を見たときに最初に感じたことは、視覚的透過性が上がっていることでした。また、どこから見ても見渡せる立体地球儀だけでなく、ベゼルに刻まれた「宣言」も印象的で、グルーベル フォルセイの志が掲げられていると思いました。この点について話していただけますか?
SF:ベゼル部分とケースサイドに、時計が持つ本質的な価値を言葉で刻みました。この価値観のひとつとして挙げられるのが「bienfacure」です。これはクラフツマンシップと訳される言葉ですが、私たちには新しい意味を持つものです。「絶え間なく最高の手仕上げの高みを目指す志」を表しています。この志は、グルーベル フォルセイの時計の手仕上げの技術面や、審美的なクオリティで示しています。
LRB:グルーベル フォルセイは、21世紀の時計製造において重要な位置を占めると考えられます。GMTと「GMT アース」は、今後どのように受け継がれていくのでしょうか?
SF:いずれの時計製造も、私たちに新しくてエキサイティングな挑戦をもたらすものです。グルーベル フォルセイにとっての挑戦とは、与えられたスペースで機構と構造を再定義し、着用性やパフォーマンス、信頼性を改良していくことです。グルーベル フォルセイとしてのデザインや個性を維持しつつ、これらを考慮し調整せねばなりません。GMTと「GMT アース」はこれからも私たちの考え方と完全に一致していくでしょう。