Q:垂直クラッチと水平クラッチは何が違うのか?
A :機械式のクロノグラフは、時分秒針を動かす輪列から動力を取り、クロノグラフを動かします。クルマに例えると、トランスファーギアで4輪駆動に切り替える、パートタイム4輪駆動に似ています。動力を分けるクラッチには、ふたつの種類があります。1969年以前の機械式クロノグラフに用いられていた水平クラッチと、現在の機械式クロノグラフで多用される垂直クラッチの2種類です。前者は自転車のスライドギアに、後者は自動車のクラッチに似た構造を持っています。
垂直クラッチと水平クラッチのメリット・デメリットを比較
水平クラッチのメリット
1.見た目が機械式クロノグラフらしい
2.クラッチが水平に配置されているのでムーブメントの厚みを減らせる
3.耐久性が高い
水平クラッチのデメリット
1.クラッチにスペースを取るため自動巻き機構を載せにくい
2.クラッチを横方向から当てるため、クロノグラフを動かす際に針飛びが起こる場合がある
3.クラッチの抵抗が大きいため、クロノグラフを動かした際、振り角が落ちやすい
垂直クラッチのメリット
1.クラッチの抵抗が小さいためクロノグラフの作動時に振り角が落ちにくい
2.クラッチがコンパクトなため、自動巻きを載せやすい
3.クロノグラフを動かす際に針飛びが起こらない
垂直クラッチのデメリット
1.クラッチを垂直方向に重ねるため厚みが増す
2.見た目は水平クラッチほど魅力的でない
垂直クラッチを採用するブライトリングの自社製自動巻きクロノグラフムーブメント、Cal.01。組み立て時の個別調整が必要ないリセットハンマーやモジュラー構造など、大量生産に適した現代的な設計を持つ。クロノグラフとしての実力はもちろんのこと、約70時間のパワーリザーブや修正禁則時間帯を持たないカレンダーなど、使い勝手に優れる。自動巻き。部品数346。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。30分、12時間積算計。直径30mm。厚さ7.20mm。コラムホイール制御。