今では広く普及しているクォーツ時計。光発電機能を搭載していない通常のクォーツ時計は電池で動き、およそ3年〜5年で電池が切れて動かなくなる。しかし、動かなくなって放置していると、電池が液漏れし、内部の機械に悪影響を及ぼすことになる。今回は、クォーツ時計の電池を入れっぱなしにして起こる悪影響と、電池交換について詳しく解説する。
2023年4月21日更新
クォーツ時計、放置はNG!
腕時計といえば、電池で動くもの。そう思われている方がほとんどだろう。現在腕時計として流通しているもののうち、そのほとんどが電池で動くクォーツ時計である。対して高級時計などに多い、ゼンマイを巻いて動かす機械式時計はほんのわずかなのだ。
例えばあなたは、家の掃除をしていたら、昔使っていたクォーツ時計が見つかった、という経験はあるだろうか。使わないからそのまま放っておく人もいるかもしれないが、それはアウトな行為。
なぜなら、長期間電池を入れたままにしておくと、ボタン電池が液漏れなどを起こして、時計が壊れてしまう場合があるからだ。症状が軽いと直せる場合もあるが、電池の接触端子や基盤が痛むとムーブメントごと交換することになり、修理代金は高く付いてしまうだろう。
もしクォーツ時計を使わないのであれば、電池を取り外した状態で保管するか、新しい電池に入れ替えることを強くおすすめする。
なぜ「液漏れ」するのか
クォーツ時計で使用されるボタン電池が液漏れする原因は、主に「過放電」によるものだ。この過放電とは、電池の容量が0%の状態からさらにエネルギーを取り出そうとして放電することを言い、電池内部で大量のガスが発生して破裂する危険な状態になる。
電池には破裂を防ぐために、規定の圧力を超えると作動する弁が設けられており、ガスを外部に放出する。その際に内部の電解液も一緒に外部に放出され、これが液漏れとなるのだ。漏れた電解液は内部で広がり、クォーツムーブメントの故障の原因となってしまう。
またクォーツ時計に使われる電池には、主に3種類が存在する。酸化銀電池(SRと表記)、アルカリボタン電池(LRと表記)、そしてリチウム電池(CRと表記)だ。
数千円で買えるような安価な時計に使われているのは、アルカリボタン電池が多い。アルカリボタン電池は酸化銀電池に比べて安価だが、放電特性が安定せず、安価なものを選んだ場合液漏れを起こす可能性が高い。
酸化銀電池はアルカリボタン電池に比べて高価ですが、放電特性が安定しており、液漏れも起きにくいという特徴があります。酸化銀電池の入っていた時計はアルカリボタン電池に替えるべきではなく、アルカリボタン電池入りは、酸化銀電池入りに交換した方がベターだろう。
酸化銀電池の末尾に、“W”や“SW”の記述がある場合、Wはデジタル時計用、SWはアナログ時計用、無印は一般機器用とされている。
電池交換は専門店が間違いなし
自分で蓋を開け、電池を入れ替える人もいるかもしれないが、一度待ってほしい。クォーツ時計に使われている電池にはさまざまな種類があるため、基本的には時計の購入店舗や時計専門店で交換してもらうことを推奨する。
なお、それでも自分で、という場合には、交換の際に液漏れしにくい日本製の電池が望ましい。しかし、日本製を模した贋作もあるため、安価な日本製を選ぶのは考えものである。
電池の交換は、時計のことが分かっている専門店で、が鉄則だ。
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