近年のモデル
「オーパス」は2001年のシリーズ開始以降、2013年まで毎年新モデルが発表され、2015年には「オーパス 14」が発表された。一般的な腕時計の概念には収まらない、近年の4モデルを紹介しよう。
ジュークボックスから着想を得た オーパス 14
手巻き(Cal.HW4601)。124石。2万8800振動/時。ムーブメント用とディスク駆動用の香箱を備え、それぞれのパワーリザーブは約68時間。18KWG(直径54.7mm)。3気圧防水。世界限定50本。
ジュークボックスから着想を得たデザインの「オーパス 14」は、実際のジュークボックスのように駆動するギミックを備えたモデルである。
9時位置のレバーでGMT、カレンダー、星の3種類のディスクを選び、4時位置のボタンをプッシュすると、レコードのようにディスクが入れ替わる仕組みだ。
このコンプリケーションウォッチの手巻きムーブメントの部品数は1066点。世界限定50本の希少なタイムピースである。
570個のパーツで構成される オーパス 13
手巻き(Cal.HW4101)。242石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約35時間。18KWG(直径44.25mm)。3気圧防水。世界限定130本。
「オーパス13」は、回転する59本の分針と11個の三角形によって、従来の腕時計とは大きく異なる時分表示を実現したモデルだ。
分針は1周するごとに数を増やし、1時間が経過すると姿を消す。入れ替わりに三角形が現れ、時表示をすると回転しながらドームに戻る。これを繰り返し、正午と24時から1時間、ドーム中央にハリー・ウィンストンのロゴが現れる仕組みである。
ムーブメントは570個の部品からなり、可動部の多さに比例して石数は242個にも及ぶ。限定数は130本。
地動説から着想を得た オーパス 12
手巻き(Cal.HW4302)。80石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KWG(直径46mm)。3気圧防水。世界限定120本。
地動説から着想を得たという「オーパス 12」は、12組の時分針と5分表示のレトログラード分針により、新しい時刻表示機構を実現したモデルである。
外周の針は長針(分針)と短針(時針)の二重構造であり、その時刻を表示する際には裏返ってブルーの面を見せる。5分ごとに分針が裏返り、1時間経てば0分位置の分針と次の時針がブルーで表示される仕組みだ。
実際に使用するうえでは、この特殊な時刻表示方法を理解する必要があるが、運針のメカニズムが与える感動は唯一無二である。限定数は120本。
時計製造の伝統を打ち砕く オーパス 11
手巻き(Cal.HW1021)。155石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KWG(縦43.3×横53.7mm)。3気圧防水。世界限定111本。
「オーパス 11」は、2枚のディスクによるデジタル分表示と、24枚のプラカードによる時表示を備えたモデル。ダイアルのメインを飾る機能は時表示だ。
ひとつの軸を中心として4つの歯車装置が回転し、それぞれの歯車装置は3本の軸で6枚のプラカードを回転させる。
正時にはこれらの回転運動が連動し、中心軸上に「4枚のプラカードからなるひとつの数字」を表示するようになっている。
極めて精妙なメカニズムを細部まで鑑賞できる時計愛好家を唸らせるモデルといえるだろう。バゲットカット・ダイヤモンドモデル11本を含む、限定数は111本。
「オーパス」の魅力に触れよう
多くの機械式時計は360度回転する時分針により時刻を表示するが、これはあくまで最もオーソドックスな機構である。「オーパス」はセンセーショナルであるだけでなく、「腕時計とは何か」という命題を考えさせるシリーズだ。
ただし、「オーパス」シリーズのメカニズムは静止画では堪能できないので、ぜひ実機や動画で確認してほしい。一度目にすれば、ハリー・ウィンストンの独創性と冒険心が表現された、「オーパス」に魅了されるはずだ。
https://www.webchronos.net/2020-new-watches/50111/
https://www.webchronos.net/features/37039/
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