ふたつの素材の魅力をさらに引き出して
よりタフに、より美しく進化した新作「MT-G」
“大人のためのG-SHOCK”「MT-G」2年ぶりの完全新作も「マテリアル」=素材への徹底した追求から生まれたニューモデルである。その魅力を素材の視点からご紹介しよう。
メタルと樹脂の使い分けで、軽く強く美しく高気密に
「MTG-B2000」シリーズは、メタルと樹脂、ふたつの異素材の融合をテーマにしたG-SHOCKのプレミアムライン「MT-G」コレクション2年ぶりの新作だ。内部のモジュール(ムーブメント)から完全新設計。そこには、「CMF」の「M」=「マテリアル」の点から見ても、大きな挑戦と革新がある。
2018年から発売が始まった「MTG-B1000」シリーズも、メタル(=ステンレススティール)とカーボンファイバー強化樹脂という異なるふたつの素材が融合したモデルであった。2019年にはカーボンファイバーを何層も貼り合わせた「カーボン積層ベゼル」を使ったモデルも登場した。
そして2020年発表の新しい「MTG-B2000」シリーズでは、同じふたつの素材が使われているが、その使われ方、役割が大きく異なっている。「新コアガード構造」を採用した「MTG-B1000」シリーズではカーボンファイバー強化樹脂はモジュールを収める中胴として使われ、ケースバックはメタル。つまりカーボンファイバー強化樹脂パーツは、ケースを中胴として強化するいわば“脇役”だった。
しかし「デュアルコアガード構造」を採用した新しい「MTG-B2000」シリーズのケースバックはメタルではない。カーボンファイバー強化樹脂そのものにモジュールを収めて保護するモノコック構造のケース、つまりカーボンファイバー強化樹脂がケースの“主役”になったのだ。その結果、ケース全体の強度もケースの気密性もアップ。しかも軽量化も図られた。
一方、このモノコックケースを取り巻く「メタルカーゴフレーム」は、時計ケースのサイド全体を覆い、外周部からの衝撃からケースを保護している。さらに、メタルの輝きでこのモデルの外観をアップグレードする役割も担っているのだ。
また、ケースから独立して別体構造となったメタル製の多角形ベゼルは、サファイアクリスタル風防とともにケースの上蓋の役割を果たしながら、カラーIP加工されてメタリックな美しい輝きを放ち、やはり時計の外観をより魅力的にしている。
つまり「MTG-B2000」シリーズは、カーボンファイバー強化樹脂の軽量さと強靭さに加え、メタル素材の輝きという、ふたつの素材の持つ魅力をさらに引き出したモデルなのである。
カーボンファイバー強化樹脂とステンレススティール素材を組み合わせることで、軽量さと強靭さ、メタルの頑強な質感も兼ね備える。これはベゼルにブラックIPを施した最も落ち着いたモデル。Bluetooth搭載・世界6局対応電波ソーラー腕時計。パワーリザーブ約5カ月。SS×カーボン強化樹脂ケース(縦55.1×横51mm、厚さ15.9mm)。20気圧防水。11万5000円(税別)。
初のフルアナログ「フロッグマン」強さの秘密は新樹脂素材ケース
タフネスを極めたG-SHOCKの中でもその頂点のひとつが、国際標準化機構(ISO)が定めるダイバーズウォッチ(潜水用時計)の規格をクリアした「フロッグマン」である。1993年の初代モデルから27年を経た2020年秋、初のアナログ表示モデルがついに登場した。このモデルは、「CMF」の「M」=「マテリアル」に関する新たな挑戦と進化から生まれたものである。その進化と挑戦とは?
1993年のファーストモデル以来、デジタル表示のダイバーズとして歴史を重ねてきたフロッグマン、初のアナログモデル。初代から継承されている左右非対称のケースデザインはそのままに大型のアナログ針によるデュアルタイム表示を実現した。タイドグラフ機能も搭載する。Bluetooth搭載・世界6局対応電波ソーラー腕時計。パワーリザーブ約5カ月。カーボン強化樹脂ケース(縦56.7×横53.3mm、厚さ19.7mm)。潜水用200m防水。9万円(税別)。
G-SHOCKを代表する“ハイスペックアナログモデル”
「究極のタフウォッチであるG-SHOCKには陸海空、3つの世界があり、さまざまなモデルが展開されています。その中でも最も過酷な環境といえば海です。ですから、ダイバーズウォッチの『フロッグマン』はG-SHOCKの中で最上級のハイスペックモデル。初のアナログモデルとなるこのフロッグマンも、その意識を持ってデザインしました。アナログモデルということで、“アナログらしさ”をどう演出するかが、このモデルのデザインではいちばんのテーマでした」
こう語るのは、デザインを担当したカシオ計算機開発本部デザイン開発統轄部Gデザイン室リーダーの橋本威一郎(はしもと・いいちろう)氏。意外なことだが、1993年の初代「WD-6300」から現在まで27年間、これまでのフロッグマンはすべてデジタルモデルであった。そして、フロッグマンを象徴するのが、リュウズを保護するために考案された左右非対称デザインだ。フルアナログフロッグマンにおいても、このデザインを継承することは当初から決まっていた。ただ、アナログではどんなサイズが最適なのか、ボタンの数はいくつで、どの位置が最適なのか、3Dプリンターを使ってサイズの試作検討も行われたという。
(右)このモデルは中身のモジュール(=ムーブメント)も新開発。操作するボタンの数はいくつが最適なのか、3Dプリンターを用いることで詳細に検討することができたという。
「個人的には、どう時刻情報を間違いなく使用者に伝えるか、つまり針=時刻情報の“見える順序”に気を配りました。まず時分秒針、次にインデックス、そしてインダイアル。この順序で情報が無理なく“目に入ってくる”デザインにしたい。またこのモデルには、ダイビングの時間を計測する『ダイブタイマー』という機能があります。このとき、すべての針が12時位置で重なって計測がスタートします。この時も針がしっかり見分けられるようにデザインしました」
その言葉通り、針の幅や長さがまったく違うので、3本の針が重なっても、それぞれをしっかり見分けることができる。
また、デジタルのフロッグマンにはなかった新しい要素が、針を動かすためのリュウズ。「落下テストではリュウズから地面に当たるので、保護するためにリュウズをねじ込み式にしています」。
マテリアルという意味で最大の挑戦と進化はケースの素材だ。フロッグマンはこれまで、チタンを使ったモデルもあったが、ケース素材にはメタル(=ステンレススティール)と樹脂を使ってきた。
しかしこのアナログモデルでは、初めてスーパーエンジニアリングプラスティックのPEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)にカーボン繊維を混ぜて強化したモノコック構造のケースを採用。そこにサファイアクリスタル風防をセットしたメタルリングを6本のビスで固定するという構造を初めて導入した。その結果、GWF-D1000シリーズから約22gの軽量化に成功している。
(右)意外に苦労したと橋本氏が語るのが、カーボンファイバー強化樹脂PEEK製ケースバックの「フロッグマン」のレーザー刻印。特殊な加工を施してレーザー加工することで剥げない刻印になったという。
また、マテリアルの追求は他にもある。リュウズ部分からケース内への水の浸入をブロックする3本のガスケットには、ブチルゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴムと、特性の異なる3種類のゴムを使い分けて信頼性を高めている。さらに、ストラップには汚れがつきにくく、加水分解を起こしにくい「フッ素エラストマー」を、こちらも初めて採用した。
「デジタルからアナログになった」ばかりでなく、マテリアルという点でも飛躍的に進化を遂げた。それがこの“G-SHOCK史上初のフルアナログフロッグマン”なのだ。
フルアナログフロッグマンのカラーは海を彷彿させるメインビジュアルのブルーに加え、G-SHOCKのテーマカラーであるブラック、レッドを加えた3つのバリエーションがある。これはブラックモデル。タイドグラフ機能搭載。Bluetooth搭載・世界6局対応電波ソーラー腕時計。パワーリザーブ約5カ月。カーボン強化樹脂ケース(縦56.7×横53.3mm、厚さ19.7mm)。潜水用200m防水。9万円(税別)。
フルアナログフロッグマンは柔らかく、汚れず、加水分解しない新素材「フッ素エラストマー」をストラップに採用するが、このストラップの発色にも苦労したという。特に、鮮やかなレッドモデルには注目だ。タイドグラフ機能搭載。Bluetooth搭載・世界6局対応電波ソーラー腕時計。パワーリザーブ約5カ月。カーボン強化樹脂ケース(縦56.7×横53.3mm、厚さ19.7mm)。潜水用200m防水。9万円(税別)。
Contact info: カシオ計算機お客様相談室 Tel.03-5334-4869
https://www.webchronos.net/2020-new-watches/47499/
https://www.webchronos.net/comic/34335/
https://www.webchronos.net/features/56677/