2021年8月30日から9月3日にかけて開催された「ジュネーブ ウォッチ デイズ」。事務局としてこのイベントを主催するのがブルガリであり、CEOのジャン-クリストフ・ババンだ。
[クロノス日本版 2021年11月号掲載記事]
薄さに続いて視認性に注力する理由とは?
ブルガリ グループCEO。1959年、フランス生まれ。ビジネススクールでMBAを取得後、P&G、コンサルティング会社などを経て、タグ・ホイヤーCEOに就任。卓越した手腕で、業界4位にまで成長させた。2013年、現職に就任。内外装の質感向上と「薄型化」というメッセージの打ち出しにより、ブルガリを再び成長軌道に乗せた。20年からは、時計の見本市である「ジュネーブ ウォッチ デイズ」を主催。
「2020年に続いて21年も見本市を開催した。これは今年唯一のフィジカルな時計フェアで、25ものブランドが参加した。クリスマスといったさまざまな行事の前に開催するイベントは、リテーラーにとっても重要なものだ。もちろん、感染対策は十分に行ったよ」
このイベントでブルガリがお披露目したのは「オクト ローマ」と「アルミニウム」の新作である。「ジュネーブ ウォッチ デイズでのフラッグシップモデルは、『オクト ローマ セントラル トゥールビヨン パピヨン』だ。これはレトログラードミニッツに見えるが、実は違う。ふたつの針が回転して、ひとつは分を指し、もうひとつは引っ込んで分を示さない。レトログラードに比べてエネルギーの消費が少ないので、パワーリザーブは約60時間もある。見た目は唯一だし、内容を考えたらバリューが高い時計だと思う」。
そして、もうひとつがブルガリ初のワールドタイマーである。「これはふたつのディスクで世界の時間を示す『オクト ローマ ワールドタイマー』だ。美しいだけでなく、機能性も高い。コロナが落ち着いたら、人々は旅行するだろう。その時に有用な時計だ。同様に、昨年のヒーローである『アルミニウム』にもGMTを加えた」。ジュネーブ ウォッチ デイズで発表された各モデルに共通するのはユニークな機能と、それ以上に高い視認性だ。どのモデルもデザインのバランスを崩さない程度に表示が大きい。
「最近、デザインウォッチは増えてきた。でも明らかに見た目はいいが、毎日は使えないだろう。視認性の良くないものが多いと感じる。時計とはインストゥルメントだと思っている。機器であるためには、高い視認性が重要だ。それに毎日使えるだけの実用性は、長期の成功には不可欠だ。ワールドタイマーは〝クリスタルに〞見やすいし、パピヨンも針や12時位置の時間を見やすくした。アルミニウムに加わったGMTモデルもやはり見やすさを考慮している」
彼が視認性を重視する一因には、消費者の変化がある。「良いか悪いかはさておき、とりわけ西側の諸国では、消費者の年齢が上がっている。日本でもヨーロッパでも状況は同じだろう。年齢が上がった消費者にとって、文字盤の見やすさは重要な要素になる。美しくてタイムレスなデザインはもちろん必要だが、見やすさは、今後いっそう大切になっていくだろう」。
ふたつの分針が蝶のように180°のミニッツトラックを交互に指し示す「オクト ローマ」の新作。ひとつの針が55分の表示に到達すると、対極にある針が徐々に1/4回転した後、00分を指す。他方、60分を指した針は同時に1/4回転した後、ディスク上で半周する。手巻き(Cal.BVL 332)。30石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。18KPG(直径41mm)。50m防水。予価1480万6000円。10月発売予定。
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