シチュエーションを選ばない、毎日着けられるラグスポウォッチのベル&ロス「BR 05」を論評

FEATUREその他
2021.12.22

『クロノス日本版』の編集部員3人が話題モデルのインプレッションを語り合う連載。今回は、副編集長の鈴木幸也、ほそやんこと細田雄人、そして新人の土井康希の3人で今話題の“ラグスポ”、ベル&ロス「BR 05」を好き勝手に論評する。

BR 05

吉江正倫:写真
Photographs by Masanori Yoshie
阿形美子:文
Text by Yoshiko Agata
2021年12月22日公開記事


新世代のラグスポ時計「BR 05」を論評!

細田2019年に登場したベル&ロスの「BR 05」は、非常に売れ行きが好調と聞いています。

鈴木“ラグスポ”テイストのあるモデルで、登場時から話題になっていたけど、実際に着けてみてバランスが良い時計だなと思いました。ブレスレットとヘッドのバランスがちゃんとしてます。

細田ケース厚は公表していませんが、11mmほどで、このデザインとしては薄いんですよね。だから本当に着け心地は良い。土井ちゃんは結構コマ詰めてたよね?

BR 05

ベル&ロス「BR 05」
航空計器をデザインモチーフにし続ける同社のアイデンティティを都会的に昇華した、ベル&ロス流のラグジュアリースポーツウォッチ。テーパードを効かせたブレスレットはケース一体型で腕なじみも良い。自動巻き(BR-CAL.321)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SS(直径40mm)。100m防水。60万5000円(税込み)。

土井僕は細腕なので4つくらいコマを詰めましたが、それでもバランスは大丈夫でした。ケース径が40mmなので、サイズ的にも問題なかったです。42mmとかになると、コマ詰めした時にバランスが悪くなりそうですが。

細田細腕さんにも向いている時計ということですね。


プロフェッショナルデバイスに由来する視認性の良さ

鈴木個々のディテールを見ていくと、文字盤はとても完成度が高いね。やっぱり、ベル&ロスはアラビア数字がデカくて見やすい。そこまで凝ったデザインではないけど、日付表示の枠が別体で作られているのも好印象です。

細田視認性は抜群に良かったですね。黒文字盤でコントラストが高いのはもちろんですが、インデックスも太くて高さがあって、蓄光が本当にしっかり塗ってある。ダイバーズかってくらいにバリバリに光ります。

BR 05 蓄光塗料

インデックスと時分針には蓄光塗料を塗布。シーンや時間を問わずに高い視認性を確保する。


ブレスレットは改善の余地アリ

細田ただ、1点残念な部分があって、価格に対してブレスレットがちょっとプアな印象は受けました。

鈴木このモデル、おいくらだっけ?

細田60万5000円(税込み)ですね。

鈴木うーん、その価格を鑑みると……確かに、粗さもあったよね。ベル&ロスは自社製ムーブメントを手掛けるわけでなく、やっぱり見た目の良さで勝負しているブランドだから、その意味ではブレスレットの仕上げはもう少し頑張ってもらいたいかな。

細田コマをネジ止めにしてあったり、テーパードをかけていたりと気は遣っているので、もう一声ですね。


ミドルレンジのラグスポとしてはひとり勝ちか?

土井搭載ムーブメントは、セリタのCal.SW300をモディファイしたもの。ローターのデザインが車のホイールみたいで凝ってますね。

鈴木パワーリザーブは約42時間と、今の基準からすると短いよね。時計としてのパッケージングが良いだけに、このパワーリザーブは惜しいかな。

細田汎用ムーブなので仕方ない部分ではありますが、そこがベル&ロスの弱点ではあります。工場も近いことだし、シャネルのようにケニッシから貰えばいいのになぁ、と思ったり。

でも、ベル&ロスを買う人は、ブルーノ・ベラミッシュのプロダクトマネジメントが好きな人だろうから、そこまでパワーリザーブは気にしていないかな。

BR-CAL.321

BR 05が搭載する自動巻きムーブメントはセリタのCal.SW300をベースに、ローターデザインなどを変更したBR-CAL.321。SW300はETA2892A2の代替機であり、基本的な設計は1975年の「ETA2892」にまでさかのぼるため、現代だとパワーリザーブが少し短く感じられる。

鈴木BR 05は全体のまとまりが良いから、これでパワーリザーブを延ばすためにムーブメントを変えて価格が上がるなら、このままで良いと思う。個人的には、現状の価格でも結構高いかな。

細田同じ角型ケースのBR 03が40万円台なので、こちらはブレスレットとはいえ、20万円の差の理由を見つけるのは、ちょっと難しい……。

鈴木そうなんだよね。ムーブメントを変えて、外装の仕上げを更に良くするとなると、もっと高くなっちゃうし。

うーん……でも、よく考えると、“ラグスポ”でこの価格帯って狙い目なのかもしれない。もっとクオリティーを上げるとしたら、ショパールの「アルパイン イーグル」とか100万円オーバーだから。


ファッションのニーズも満たす

細田アルパイン イーグルとBR 05は、ともに近年の“ラグスポ”ですが、前者はラグジュアリー要素が強めで、後者はもっとカジュアルかつポップです。“ラグスポ”を支持する層にはストリート系のファッションを好む方も多いから、その意味ではBR 05は親和性が高いし、ニーズを満たしていると思います。

土井ベル&ロスはこれまで航空のイメージが強かったですが、BR 05のキーワードは“アーバン”。新しいファンを掴みましたね。

細田ケースの角を落として、でもパイロットウォッチらしいアラビア数字のインデックスは残した。これまでと新規、どちらのファンにも応えてます。どっちつかずにならないのが上手いですよね。

BR 05 文字盤

真正面からはポリッシュ仕上げに見える文字盤。しかし、実はサンレイ仕上げだ。アラビア数字とバーを組み合わせたアプライドインデックスからは、航空計器の面影が感じられる。

鈴木時計ジャンルの潮流としては、“ラグスポ”の波にも乗ったし、インフォーマルの波にも乗ってる。BR 05を作ったことで、ベル&ロスの間口が広がったのは間違いないよね。

土井コレクションの新作も続々出ていますし、勢いもあります。

鈴木クロノグラフもGMT付きも良いよね。これから旅行にも行けるようになるだろうからぴったり。

細田拡張性をもって展開しているのは上手いですよね。順調に数を増やして基幹コレクションに成長させました。


シーンを問わず活躍するスペック

BR 05

スポーティなフェイスデザインに反して、ケース厚は控えめ。40mmの絶妙なケース径と、一体型ブレスレットにより、装着感は良好だ。

細田良いところも悪いところも話しましたが、全体としては、「厚さ」「デザイン」「100m防水」のスペック含めて、シチュエーションを選ばない時計だと思います。本当にずっと着けっぱなしでいられる万能さは凄い。時計を何本持っている人でもメインとして使えますね。

鈴木うん。毎日使えて、でも、お洒落感は出るよね。

細田毎日着けていれば、自動巻きだからパワーリザーブの短さも気にならないですよね。それも加味してムーブメントを選んでいるのかな。

鈴木オン・オフ問わずに使えるデザインだから、土日に外さなければ巻き上げ問題もクリアだね。ファーストラグスポとしてもオススメだなー。

土井主張も強すぎないから、スーツに合わせても良いですね。

鈴木ベル&ロスのアイコニックな要素はちゃんとあるけど、変な自己主張はなくてお洒落。その意味でも、バランスの取り方が上手い時計です。


Contact info: ベル&ロス 銀座ブティック Tel.03-6264-3989


ベル&ロスがニューコレクションの「BR05」をローンチ

https://www.webchronos.net/news/35604/
世界限定500本で発売されたベル&ロス「BR 05 スケルトン ブルー」をWatchTime編集部が解説

https://www.webchronos.net/features/51104/
『クロノス日本版』編集長が提案する「次世代の“ラグスポ”」6選

https://www.webchronos.net/features/67695/