2022年の3月29日、ブライトリングが新しい「ナビタイマー」を発表した。ムーブメントは今までに同じ、自社製の Cal.01。しかし外装が全て見直されたほか、ケースサイズは46mm、43mm、41mmの3つとなった。また、文字盤のバリエーションが増えたのも大きな違いだ。
Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
新型ナビタイマー 各サイズを紹介
ブライトリングが新製品の発表の場に選んだのは、チューリヒ発ジュネーブ行の機上であった。これは世界中から招かれた約600名の時計関係者が、飛行機の中で新しいナビタイマーのタッチ&フィールを行うという、かつてない試みだった。
46mm、43mm、41mmに共通するのは、より立体的になった形状である。新しいナビタイマーは、文字盤がわずかにボンベになり、風防のドームが強調されている。加えて回転ベゼルを、内側をえぐったコンベックス状に変更することで、明らかに時計の立体感が増した。筆者個人はこの小さな、しかし、魅力的な変化を歓迎する。
風防の曲面を強めた結果、新しいナビタイマーはミドルケースが相対的に細くなった。それに合わせて、ラグの曲げも抑えられている。細くなったベゼルやわずかに小さくなったプッシュボタン、そして丸みを帯びたベゼルと併せて、新しいナビタイマーは良い意味での「古典味」を増している。
ケースの仕上げも異なる。今までは全面ポリッシュ仕上げだったが、新作はポリッシュとサテンのコンビとなった。一貫してポリッシュを好んできたブライトリングだが、今回は一転して、ツール感を強調するような仕上げを採用した。
女性にも使える、ナビタイマー41
今回ブライトリングは、ナビタイマーに41mmサイズを加えた。クロノマットの女性用がヒットしたことを受けて、同社がナビタイマーに女性にも使えるサイズを加えたのは当然だろう。女性を意識したためか、このサイズに限って、ナビタイマーではおなじみの「黒×白」文字盤がない。また、シルバー文字盤のモデルはインデックスと針がシルバーからゴールドに改められた。明らかに女性を意識した配色だが、古典的な色味の組み合わせは、時計愛好家にも好まれるだろう。41mmサイズには4つのリファレンスがあり、ひとつは18KRGケースを持つ。
70年代風味を強調したナビタイマー43
新しいナビタイマーは、1970年代を意識した広告を展開している。一番の売れ筋になるであろう43mmサイズも、やはり70年代風の配色が目立つ。43mmは6つのリファレンスがあり、SSケース1モデル、18KRGケース1モデルを除いて、回転ベゼルとインダイアルがブラックに変更された。この色味は、1960年代から70年代のクロノグラフによく見られたものだ。個人的にはブラックの回転ベゼルに、シルバー色の文字盤を合わせたモデルが「キラー」である。
腕が太い人はこちらもどうぞ、ナビタイマー46
CEOのジョージ・カーンはナビタイマーのプレゼンテーションで「ブライトリングはユニバーサルブランドである」と公言した。つまりは、全方向に隙なく新製品を展開するということだろう。ナビタイマー46は、欧米市場などを意識した大きなモデル。基本的なデザインは43mmモデルに同じだが、サイズが大きくなった結果、文字盤のボンベがより強調された。わずかな違いではあるが、筆者が見た限り、このサイズが一番古典的だ。
文字盤の変化にみる、ブライトリングの姿勢
新しいナビタイマーのもっと大きな変化は、実のところ文字盤の仕上げである。従来のナビタイマーは、黒文字盤がメッキ仕上げだった。印字部分をマスキングして、その上に黒メッキを施すことで、ナビタイマーは非常に精密な印字を持つことができた。対して本作は、標準的なラッカー仕上げである。個性である精密な印字が損なわれたのではないか、という懸念を持ったが、印字自体は今までのものに同じく精密だ。また、メッキからラッカーに改めることで、よりいっそう、ブラックの発色が良くなった。筆者はメッキ仕上げのブラック文字盤に強いシンパシーを持っているが、ラッカー仕上げのペイント文字盤はありだろう。
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