世界が認めるグランドセイコー。本数限定の希少なモデルを一挙紹介!

FEATUREその他
2022.12.29

2017年にセイコーから独立したグランドセイコーは、どのような歴史を持つブランドなのだろうか。本記事では、グランドセイコーの軌跡を辿るとともに、これまで発表されてきた限定モデル8本を紹介。グランドセイコーを語るうえで欠かせない、セイコーとの違いについても解説する。

SBGC249


日本発の高級時計、グランドセイコー(GS)

高級時計といえばスイスだが、スイス製の時計にも負けない日本の高級時計が、今回紹介する「グランドセイコー」だ。グランドセイコーが紡いできた歴史とセイコーとの関係性について解説しよう。

グランドセイコーの歴史

初代「グランドセイコー」

1960年に発売された初代「グランドセイコー」。14K金張りのケースを採用し、ムーブメントにはキャリバー3180を搭載。価格は2万5000円で、当時の大卒初任給の2倍近くという高額モデルだった。

グランドセイコーの始まりは1960年。もとは「セイコー」がスイス製の高級時計に負けない国産時計を目指して製作したしたのが、1960年に発売された初代「グランドセイコー」だ。

初代グランドセイコーは、1959年に発売された「セイコー クラウン」をベースにつくられている。クラウンは、セイコーの時計や手巻き時計のファンなど、さまざまな時計愛好家からの人気が高いモデル。

人気のクラウンをさらに高精度に仕上げた初代グランドセイコーは、日本で初めて、当時の世界最高基準とされていた「スイス・クロノメーター検査基準優秀級規格」をクリアした。

初代グランドセイコーを発表したわずか1年後には、水深50mにまで対応した防水性能と、3時位置に日付表示を配置したカレンダー機能を備えた「GSセルフセルフデーター」を発表。

1967年には、“セイコースタイル”を確立したといわれる「44GS」を発表した。セイコースタイルとは「燦然と輝く腕時計」を目指すためにつくられたセイコー独自のデザイン文法。3つのデザイン方針と9つのデザイン要素からなる。

また、同年には44GSのほかにもグランドセイコー初の自動巻き「62GS」を、翌1968年には、マジックレバー方式の自動巻きムーブメントを搭載した「61GS」を発表。次々と新モデルをリリースした1960年代はブランドが急成長した時代といえるだろう。

ところが、1969年にセイコーが世界初のクォーツ時計を発表したことで機械式を主としていた世界中の時計メーカーが窮地に立たされた。クォーツ革命である。これにはグランドセイコーも漏れなく打撃を受け、ブランドは休眠状態へと陥った。

1988年、ついにグランドセイコー初となるクオーツ時計「95GS」を発表。クォーツ機構の小型化は非常に困難を極めるものだったが、4年後の1992年にはレディースモデルに使えるサイズの小型化を実現し、ペアモデルも発売された。

95GS

長い休眠状態を経て、グランドセイコーの名を復活させた1988年発売のクォーツモデル「95GS」。このモデルに搭載されたキャリバー9581には、高品質の水晶振動子が用いられており、これにより年差±10秒という高精度を実現した。

その後も、究極のクォーツと呼ばれる「9Fクオーツ」を発表するなどして、グランドセイコーは完全復活を遂げる。2004年にはブランド初となるスプリングドライブを搭載したモデルを、2006年には約72時間のパワーリザーブを実現した機械式ムーブメントを発表した。

着実にそして大胆に、時計へと向き合い続けたグランドセイコーは2017年、ついにセイコーから独立したブランドとなった。

セイコーとの違い

SBGH257

グランドセイコーがブランドとして独立した2017年に発表された「SBGH257」。600mの飽和潜水防水機能を備えたプロフェッショナル向けのダイバーズモデルで、ドットのパターンが施されたダイアルには、耐磁性能を高めるために純鉄が採用された。

グランドセイコーとセイコーの違いについて説明しておこう。先述したとおり、グランドセイコーはもともとセイコーの中で展開されていたが、2017年にひとつのブランドとして独立した。

独立前、グランドセイコーはセイコーの中でもビジネスパーソンをターゲットとした高級路線の時計を展開してきた。2017年、これまで以上に世界へ向けた時計づくりと高級志向を追求するために独立し、デザイン上の制約から解放されたことでクロノグラフやダイバーズウォッチなど幅広いデザインの時計を展開している。

独立前後で外観にも違いがある。独立前のグランドセイコー製品は、文字盤上に「SEIKO」と「Grand Seiko」「GS」の3つのロゴがある。12時位置に「SEIKO」、そして6時位置に「Grand Seiko」と「GS」だ。独立後の製品には「SEIKO」のロゴがなくなり、12時位置に「Grand Seiko」と「GS」のロゴが配置されるようになった。


グランドセイコー、信頼の理由と魅力

セイコーから独立したことでさらに躍進を続けるグランドセイコー。ここからは、グランドセイコーがつくる時計の魅力と世界から信頼を獲得する理由を解説する。

圧倒的な実用性

SBGH277

グランドセイコーらしい、シンプルかつシャープなルックスを備えたモデルのひとつが「SBGH277」。高振動ムーブメント9S85を搭載し、その制度は平均日差+5秒〜−3秒を誇る。自動巻き(Cal.9S85)。37石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約55時間。SS(直径40mm、厚さ13.3mm)。10気圧防水。70万4000円(税込み)。

グランドセイコーといえば、世界が認める圧倒的な実用性が特徴だ。スイス製のような凝った装飾や華やかなデザインこそないものの、シャープで無駄がなく、文字盤を含めてごくシンプルに仕上げられたデザインが魅力。実用時計の最高峰ともいわれ、どこに着けて行っても恥ずかしくない、ビジネスパーソン憧れの時計ブランドである。

こだわりの日本製

グランドセイコースタジオ 雫石

グランドセイコーの時計はすべてが日本国内の工房で生産される。機械式とクオーツ式で生産場所が異なり、機械式は岩手県「グランドセイコースタジオ 雫石」、クオーツ式は長野県「信州 時の匠工房」でつくりあげている。

それぞれの工房に所属している時計師たちは傑出した技術を有しており、天皇陛下から親授される「黄綬褒章」や厚生労働大臣から表彰される「現代の名工」を受賞した組立師、彫金師たちが所属する。日本を代表する職人たちがグランドセイコーを支えているのだ。

グランドセイコースタジオ 雫石

グランドセイコーの機械式モデルを製造するのが、ブランド誕生60年の節目となった2020年にオープンした「グランドセイコースタジオ 雫石」。組立工房には、埃をたまりにくくするための斜め梁に加え、両サイドの壁にはクリーンな空気を送り込むための通気孔も数多く備えるなど、精密な機械式時計を組み立てるのにふさわしい環境となっている。

スイス時計に劣らぬ高い技術力

9F86

9Fクオーツ誕生25周年の節目となった2018年に発表された9F86。9Fシリーズで初めてGMT機能を搭載。優れた精度に加え、実用性も高めた。

グランドセイコーでは「GS規格」という独自の基準を設けている。スイス製の高級時計の多くは「スイス公認クロノメーター検定協会(COSC)」が定めた規格を基準としている。クロノメーター規格は非常に厳しいことで有名だが、それを凌ぐほどの規定をグランドセイコーは独自に設け、品質の高さを守り続けている。

グランドセイコーをここまで押し上げたのは、スイス製の時計に劣らない技術力だろう。セイコーのクォーツ革命によって大打撃を受けたグランドセイコーではあったが、新たなクォーツムーブメントを生み出し、非常に困難な小型化も実現。なかでも「9Fクオーツ」は、現在も高い信頼を得ているムーブメントだ。

シーンを選ばないデザイン

SLGH005

近年のグランドセイコーで高い評価を獲得しているのが、「エボリューション9 コレクション」。日本のブランドらしい独創的なデザインを次々と発表しているが、なかでも雫石の白樺林をモチーフとしたダイアルデザインは、発表直後から注目を集めた。写真は「エボリューション9 コレクション SLGH005」。自動巻き(Cal.9SA5)。47石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約80時間。SS(直径40mm、厚さ11.7mm)。10気圧防水。104万5000円(税込み)。

グランドセイコーの魅力のひとつに、どこに出しても恥ずかしくないデザインが挙げられる。シンプルでクセがなく、洗練されたデザインは、ビジネスシーンだけでなくプライベートでも活躍する、日常使いに最適な時計だ。

さらにいえば、トレンドを追求しすぎてないからこそ、さまざまな装いにフィットし、年齢を重ねたあとも違和感なく使い続けられる。まさに「最高の普通」であり「実用時計の最高峰」といえるだろう。