シンプル・質実剛健なドイツ時計の魅力が詰まったノモス グラスヒュッテ。そのフラッグシップである「タンジェント ネオマティック」は、自社製の薄型自動巻きムーブメントを搭載している。実際に着用して、マニュファクチュールとしての実力や、ユニセックス時計としての使い勝手をレビューする。
2023年2月14日公開記事
バウハウス・デザインが行きわたったIQ高めなシンプル顔
数々のドイツ時計メーカーが拠点を構えるグラスヒュッテ。ノモス グラスヒュッテもこの街で産声を上げたブランドのひとつだ。
ノモス グラスヒュッテの特徴は、実用性を重視したバウハウスの理念を取り入れている点。バウハウスの名は、デザイン好きな人ならば一度は必ず耳にしたことがあるだろう。20世紀初頭のドイツに設立され、その後のデザイン界に大きな影響を与えた美術と建築の総合学校だ。
実用性重視の理念を腕時計で表現するとなればやはり、正確さ、視認性、装着感がポイントとなる。ノモス グラスヒュッテはどのモデルもミニマルなデザインだが、腕時計の本質的な部分が突き詰められている。
自動巻き(Cal. DUW 3001)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約43時間。SS(直径35mm、厚さ6.9mm)。3気圧防水。45万6500円(税込み)。
中でも、フラッグシップモデルである「タンジェント」は、30年にわたるベストセラー。ラウンドケースと多くの直角で構成されたデザインは、クラシカルでありながらも古臭さが一切感じられないのがスゴいの一言。やっぱり、完成されたデザインは時を超えるんだなぁ、と。
さて、「タンジェント」は白文字盤・青焼針・黒インデックスが定番だが、今回着用したのはミッドナイトブルー。オレンジの秒針やミントカラーのマーカーが小気味良いアクセントになり、どこか可愛らしさも感じられる仕上がりだ。
また現在、3針ノンデイトのタンジェントにはケース径33mm、35mm、38mm、39mmとバリエーションがあるが、38mm、39mmはインダイヤルがやや寄り目な印象があるため、個人的にはやはり35mm径のバランスが最良だと思う。
自社製自動巻きムーブメントの厚さは3.2mm!
今回、編集部の細田さんが「女性に手巻きは悪いから」との気を遣ってくださり(やさしい!)、自動巻きのタンジェントをインプレッションすることとなったが、ただ、私はそもそも手巻きのアンティークしか持っていないし、ネイルもしないので、若干の申し訳なさを感じたのだった(苦笑)。
とはいえ、ネイルをしているとリュウズを巻く際によくハゲるので、もし、世の中の男性の皆さまがパートナーに時計をプレゼントするならば、自動巻きを選んだ方が無難だろう。
と、少々話が逸れたものの、本モデルの文字盤のロゴの下をよく見ると“neomatik”(ネオマティック)の文字が! これは自社製の自動巻きムーブメントを搭載している証し。「タンジェント」の中でもちょっとエバれるモデルなのだ(笑)。
搭載されるCal.DUW 3001はリバーサー式の自動巻きムーブメントで、厚さはわずか3.2mm。ローター音も全く気にならない。ムーブメント装飾は控えめながら、筋目仕上げやペルラージュが施され、満足感もしっかり。なお、調速脱進機機構はスウィングシステムと呼ばれる自社製のものを導入しており、そこも見どころ。ケース厚も6.9mmと薄く、ストレートラグも下方に落としてあるので、腕なじみは大変良好だ。
ただし、パワーリザーブは約43時間と近年のモデルの中ではやや短め。とはいえ、巻き上がりは良いので毎日着用するなら全く問題はないだろう。デザイン的にも、オン・オフを横断して使えるはずだ。