しなやかな装着感と、屋外でも良好な視認性
実際に腕に巻いてみると、ブレスレットの各コマの可動域が広いためか、硬質な見た目とは裏腹にしなやかな装着感だ。コマ同士の遊びも適切に取られているため、ねじれ特性も思ったほど悪くない。
ただし、バックルに向かって強めのテーパーが効いてるため、ケース本体の重量を支えきれておらず、腕を上げ下げすると、ケースが振られる感覚が強く伝わってくる。また、ブレスレット裏面のエッジは面取りが狭いため、多少トゲトゲしく感じる場面もあった。
本作の最大の特徴であるアンバーカラーのサンレイ文字盤は、昨今トレンドのサーモンピンクと比べると、よりイエロー味が強く、今までありそうでなかった色合いだ。
腕上で見ると鮮やかではあるが、日本人の肌色に良くなじむため悪目立ちすることもなく、本作独自のブラックGMT針とも相まって、ビジネスシーンでも使えそうなほど上品な雰囲気にまとまっている。
全体的にメッキ処理のため、屋外では空や周囲の景色など、さまざまな物を映し込んで多彩な色味に変化するが、立体的なアプライドインデックスの効果もあり、文字盤の視認性は極めて良好だ。
シンプルな操作性と、安心のメンテナンス性
GMT搭載キャリバーBR-CAL.325の操作は至ってシンプルで、リュウズを1段引き奥に回すとGMT針単体調整、手前に回すと日付調整、2段引くと時刻調整が可能だ。
時針の単独調整機能はなく、文字盤上の24時間ディスクにも回転機構はないため、実際に海外渡航の多い人にとっては少々不便かもしれない。
針回しは標準的なセリタの感触で、コリコリと歯車の噛み合う振動が伝わってくるが、重みは常に一定である。
バックルはダブル・フォールディング式になっており、開閉もスムーズだ。
ロック部分はむき出しになっているが、ここがカバーされると皮脂が溜まりやすくなり、動作不良を起こす原因にもなるため、洗浄しやすい構造はむしろ安全で良い。
宣材写真では伝わらない魅力に、心が躍る実用時計
筆者はこれまで、「BR 05」コレクションを十分に触っておらず、「BR 05 GMT AMBER」が初対面となってしまったが、「BR 01」の個性を継承しながらも緻密にアレンジされたデザインと、高度な外装仕上げの相乗効果が凄まじく、メーカー写真からは想像できなかったほど、ワクワクさせられる時計であった。
なおかつ、実用性も高い次元で確保されているため、日常的に使いやすい。
今回のレビューでは、執筆前に1週間という長期間にわたって着用したが、さまざまな環境下で多彩な見え方が楽しめる時計なため、返却するのが名残惜しく感じたほどだ。
昔からのベル&ロスファンはもちろん、今まで興味がなかったと言う人も、ぜひ実機を腕に乗せてみて欲しい。
https://www.webchronos.net/features/74192/
https://www.webchronos.net/news/85837/
https://www.webchronos.net/features/91456/