世界的ヒットムービーである『007』。今回はそんなアクション映画にちなんだ新型ダイバーズウォッチをインプレッション。ダンディでアクティブな諜報部員が身に着ける機能時計は、服好きが注目するあるポイントを備えていた。
Text & Photograph by Tsuyoshi Hasegawa
2023年4月14日掲載記事
経年変化を思わせるカラーリングが大きなポイント
自分はスパイですと話す人を今まで見たこともないし、きっと死ぬまで出会うこともないだろう。
そんな架空とも思える存在だが、多くの男子はハッキリとある憧れを持っている。世界の秩序を守るため驚くべき身体能力と智恵、それに運を生かして任務を遂行し、成功のアカツキには洒落たトークで美女をオトしてしっぽりと……。
自動巻き(Cal.8806)。35石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。Tiケース(直径42mm)。300m防水。134万2000円(税込み)。
そう、007のことである。すでに彼、ジェームズ・ボンドを主人公とする映画は25作が公開されており、世界的アクションムービーの代表格となっている。いろいろな小道具を駆使してスパイ活動を行う007だが、1995年公開の『ゴールデンアイ』以降、ずっと身に着けているアイテムがある。今回の題材であるオメガのシーマスターだ。
洗練されたデザインや優れた防水機能を持つシーマスターは、オックスフォード卒にして海軍将校という経歴のジェームズ・ボンドにまったく相応しい時計だ。
そして最新作『007/ノー・タイム・トゥー・ダイ』でも、やはりシーマスターが登場する。今回の「シーマスター ダイバー300M 007エディション」は、非常に筆者好みであり、300mの防水性は歴代のものであるが、正確かつ長寿命のマスターコーアクシャル機械を搭載しつつ、軽量タフなチタンケース&ブレスレット仕様というスペックが実に頼もしい。
さらにヴィンテージルックを意識したベージュ夜光にダークブラウン文字盤も見逃せない。筆者が傾倒するラギッドな古着スタイルに素晴らしくマッチしそうな1本なのである。
まずは使い込んだジージャンと合わせてみる
ということで、早速手持ちのヴィンテージアウターのなかでも、これからの季節にマッチしそうな一着にて新型007シーマスターとの相性をチェックしてみた。引っ張り出したのはリーバイスのジージャンとして名作のひとつ、70505だ。
すでに20数年愛用しておりインディゴブルーの具合もかなり褪せている。イタリア人好みの「アズーロ・エ・マローネ」(ネイビーとブラウン)ではないが、エイジングしたデニムアウターとブラウン文字盤時計は非常にマッチしており、これはこれでアリな取りあわせ。
すでに筆者はこのジージャンと60年代製10振動時計との合わせを恒例のセットとしてきたが、007シーマスターとの合わせのほうが若干タフでキャッチーな印象。パンツがスラックスなら少しトゥーマッチにも見えそうだが、太めのチノパンならこういったダイバーズの方がマッチしている気もする。
さて、思った以上にヴィンテージウエアとの相性が良かった007シーマスター。しかし、筆者のクローゼットでは「007モデル」というポテンシャルを引きだすまでのアウターは残念ながら見つからない。そこで、よりベストな古着を探索すべく、知り合いのヴィンテージショップにて諜報活動を継続することにした。