知る人ぞ知る古着の名店でさらに探求
東京・代官山のボー・ジェストは、ドレススタイルを知り尽くした服飾達人が、企画から買い付け、接客までこなす、言わば古着界の独立系エタブリスール(?)だ。
古着ショップというとアメカジ系の品揃えを思い起こす人も多いだろうが、こちらはどちらかというとヨーロピアンな手触り。筆者も時おり足を運ぶのだが、毎回「こんなのあるんだぁ」と感銘を受けることの多い名店なのだ。
店主の瀬山さんに子細を説明し007シーマスターにマッチするウエアを伺ったところ、いろいろと見せてくれた。お客のニーズを読み取り巧みに提案してくれるところも、このショップを名店と呼びたい部分なのである。
建築家のレザーブルゾンで力強くもフレンチに
まずはタフで存在感も十分な機能系時計に合わせる意味で、厚革を用いたレザーブルゾンを紹介していただいた。
こちらはマニアの間では「コルビュジェジャケット」と呼ばれる、いわゆるワーク系ウエアのひとつ。合理性を愛した伝説的建築家の愛用アイテムらしく、左右どちらでもボタン掛けができるダブルブレステッドかつ保温性を高めるウール裏地付きがポイント。
ダイバーズと革ジャンの合わせというと、ライダーズやフライト系アウターが一般的だが、あえてフレンチワークと言うのが実に小粋。瀬山さんは、さらにシルクスカーフの合わせも追加提案してくれた。
この時計の妙味を引きだす軍人風スタイル
お次に試したのが英国ミリタリーの一着であるグリーン ドリル ジャケット。アメリカ軍で言うところのM65に近い軽量アウターだ。エポレット付きではあるが、フロントポケットはマチ付きではなくスッキリしたルックス。
過剰にラギッドでないのが英国流か。内側を見るとスペック表示があり、007シーマスターと同じく英国官給品の証である「ブロードアロー」表示が見て取れる。
ミリタリースタイルは男らしい半面、少しラフになりがちでもある。しかし腕元に本格時計を添えることで、単なる荒くれ者スタイルではない演出が可能なのだ。さらにダニエル・クレイグも愛用との説あるブルネロ クチネリのウールパンツなどを合わせたなら、より洒脱なルックとなるに違いない。
英国外套のアイコンであるステンカラーコートと合わせて
英国繋がりでもうひとつトライしたのがステンカラーコートとの合わせ。こちらは英国王室ご用達の実績を持つ老舗が手掛けた本格コート。
アクアスキュータムは1851年にロンドンにて創業しており、バーバリーと合わせてトレンチコートの祖と言われる名門。瀬山さんが紹介してくれたのは1980-90年代製の一着であり、ギャバジン素材もポリ混紡ゆえに近代的な機能性を感じさせるもの。
ただし、アングロマニアにうれしい英国メイドだ。実際に筆者も着用もしてみたが、灼けた感じのある夜光インデックスやベゼルの目盛りがベージュのコートに非常にマッチして見えた。
しかしこのルックス、ボンドというよりコロンボに近い。スティーブ・マックイーンの『ブリット』も同様だが、ステンカラーはやはり刑事のイメージなのか。
ということで007モデルのシーマスターと数々のヴィンテージウエアを合わせてみたが、個人的には非常に満足の結果となった。
筆者は日常において、その8割りくらいが古着ベースの着こなしを実践している者だが、そこに本当のヴィンテージウォッチを合わせてしまうと“ただの古い人”に見えてしまうことがある。しかしヴィンテージライクな現代ウォッチならば、服装にマッチしつつモダンな洒落感やキャッチーさを添えてくれるところにポイントがあると思った。
古着でモテるのか? は筆者畢生のテーマであるが、今回はナニかそのヒントを掴んだ気がする。勝手ながら007作戦と命名したい。さすがにオコられるかもしれない。
ウエアの問い合わせ先/ボー・ジェスト Tel.03-3461-0431 ※営業日程や入荷状況等の情報はインスタグラムにて(beau_geste_daikanyama)。
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