RADIOMIR BLACK SEAL LOGO 3DAYS-45mm [PAM00754]
スモールセコンドを備えたオリジナルデザインの発展型
9時位置にスモールセコンドを加えたロゴ。基本スペックは、前ペジのPAM00753に同じ。内容を考えれば、価格は非常に戦略的だ。手巻き(Cal.6000)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約3日間。SS(直径45mm)。100m防水。47万円。
1997年の復活以降、パネライが注力してきたのは、自社製ムーブメントの開発と、それ以上にケースの改良だった。パネライを復活させたフランコ・コローニとアンジェロ・ボナーティは、スイスでパネライのケースを製造できるメーカーを探し、やがてジュラのブリュリューに工房を置くドンツェ・ボームを見いだした。
今でこそ、ドンツェ・ボームといえば、リシュモングループの傘下にある、スイス屈指のケースサプライヤーだ。しかし、90年代後半の同社は、冷間鍛造で中級品向けのケースを作る、凡庸な、よく言って手堅いサプライヤーのひとつでしかなかった。それから20年。パネライとのコラボレーションは、同社の質を劇的に改善し、それは毎年追加されるパネライの新製品に反映された。その好例が「ラジオミールブラックシールロゴスリーデイズアッチャイオ-45mm」である。本作も、前ペジのロゴに同じく、パネライのエントリーモデルだ。しかし、ケースの面からは、かつて見られた歪みがなくなり、エッジも明瞭になった。加えてリュウズのガタも抑えられ、高級機然とした仕上がりを持つようになったのである。正直、100万円の価格で、この仕上げを持つのは当たり前だ。しかし、PAM00754の価格は47万円に過ぎないのである。搭載ムーブメントを含めれば、現時点で、最もお買い得な実用機だ。
かつてのパネライは、ユニークなムーブメントを与えることで、ラジオミールを高級機に仕立てようとした。その試みは悪くなかったが、残念ながら、外装の出来は良いとは言いがたかった。対して今のラジオミールは、明らかに高級機という打ち出しを、より立体的なケースを持つ「ラジオミール1940」に譲った。にもかかわらず、ドンツェとのコラボレーションは、高級機としての体裁をラジオミールにもたらしたのである。