リシャール・ミルの世界へいざなう特別な空間、シンガポール「セント・マーチン」がオープンした。レストラン、バー、中庭など11 のスペースで構成されたこの建物は、ブランドの建築チームが3 年がかりで作り上げたものだ。
革新的なビジョンを持ったホスピタリティの芸術
住所:1 St. Martin’s Drive Singapore 257988
近未来的でハイレベルな時計製造技術を理解してもらうには、厳しい目を持つ顧客を歓迎するための環境を見直すことが、リシャール・ミルにとって重要だった。熱心なユーザーたちを最高の形でもてなすことは、将来の顧客や愛好家を迎えることに等しく重要なことだ。リシャール・ミルの時計が提案する大胆なデザインと革新は、新しいラグジュアリーの再定義と言っても過言ではないだろう。セント・マーチンはファションの世界で流行しているレストランを併設したブティックを超える、新しいラグジュアリーを体感できる施設である。
パテック フィリップのジュネーブ本店やカルティエのパリ本店など、商品を見せる以外に顧客をもてなす施設があるブティックは、世界を探しても少ない。シンガポールに出現した、リシャール・ミルの聖地。そこは、リシャール・ミル本人のインスピレーションと、ブランドの建築チームが3 年がかりの苦難の末に完成させたもので、ブランドが理想とする世界観を顧客に体験して欲しいと願う、新業態の施設である。
ブランドの多様なインスピレーションを体験する新たな旗艦店
シンガポールのオーチャード・ロード地区という絶好のロケーションにある、700平方メートルの元レストランの敷地を改装する際、酒場のイメージを取り入れるというアイデアがすぐに浮かんだらしい。
禁酒法時代に人気を博したバーと同じように、ファサードと何気ない店舗の奥に驚くべきスペースが隠されており、リシャール・ミルに特有のパラレルワールドと情熱を感じられる空間へ導かれる仕掛けだ。リシャール・ミルの趣味を具現化した旗艦拠点としてセント・マーチンを作ることは、当初からの計画だった。
オーダーメイドで設えた11のスペース
落ち着いたエレガントな雰囲気、美しいファブリック、居心地のよい部屋、それらの中にはあえて密室のように設えた瞑想空間のような部屋(写真紹介はありません)もあり、これらすべてがひとつひとつ異なり、唯一無二のインテリアデザインとなっている。素材とテクスチャーは、視覚的な豊かさと絶妙なコントラストを与え、繊細な色調が、洗練された背景を作り上げている。それぞれの空間では、ハーモニーとバランスが物語を紡ぎ、思い出や旅行、文化的なインスピレーションを呼び起こすだろう。
セント・マーチンは、偶発的に出来た流れるような経路に沿って秘密の部屋に案内されていく。そこはリシャール・ミルが体現したいスタイル、革新性、伝統、感情の完璧なバランスを構成するために考案された空間だ。建物のハブ(センターホール)から始まり、修理スペース、レストラン、バー、スポーツバー、中庭、隠し図書室へ、それぞれのスペースには独自の個性がある。
スタイルと快適さが一体となって、ホスピタリティがあふれる空間をつくり、顧客をリラックスした雰囲気の中へと招き入れる。こうして、友人の輪の中にいるような親密なつながりを感じることが可能で、まるで自宅か仲の良い友人の別荘にいるように錯覚してしまう。そういった感覚を実現するため、大半の家具や装飾品は、各部屋の個性を際立たせるために特別にデザインされたものだ。
セント・マーチンの設計には、幅広い芸術的技術が集結している。30人近くのスペシャリストが、さまざまなスペースのレイアウトや装飾を手掛けている。レザーから木材、金属、石、ガラスまで、250もの素材を調達するにあたり、それぞれの製造品質と美的観点を考慮して選定されている。このユニークな空間をシンガポールに創り上げるために、職人たちは自らの限界を超えようと奮闘した。
見どころは、ハブの中心に植えられたオリーブの木だ。これはフランスのビジュアルアーティスト、ウィリアム・アモールの作品で、忠誠と継承、忍耐、友情、平和、健康を表現している。オリーブの木は、リシャール・ミルが愛する地中海沿岸を想起させる。
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