ラファエル・ナダルがテニスコートで着用しているトゥールビヨンウォッチから着想を得た「ベイビー・ナダル」コレクションはリシャール・ミルのテクノロジーを凝縮して設計されたモデルだ。本作「RM 35-03」はコレクション4作目となり、バタフライローターと名付けられた特許取得済みのイノベーションを搭載する。
新たなコンプリケーション“バタフライローター”
ラファエル・ナダルがテニスコートで着用しているトゥールビヨンウォッチから着想を得た「ベイビー・ナダル」コレクションはリシャール・ミルのテクノロジーを凝縮して設計されたモデルだ。同コレクション4作目となる「RM 35-03」は、バタフライローターと名付けられた特許取得済みのイノベーションが搭載されている。名前から想像できるように「RM 35-03」のムーブメントは翼を広げる。開発には3年もの期間がかけられた。
自動巻き(Cal.RMAL2)。38石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。カーボンTPT®ケース(縦49.95mm、横43.15mm、厚さ13.15mm)。50m防水。3170万円(税込み)。
シリーズの前作「RM 35-02」のCal.RMAL1にはリシャール・ミルの自動巻きムーブメント特有のパーツである可変慣性モーメントローターが搭載されていたが、本作「RM 35-03」のバタフライローターは、ユーザーがローターの慣性を変えることができる。そのため、ライフスタイルや活動レベルに応じてムーブメントの巻き上げを任意にコントロールすることが可能となった。余分な部品の摩耗を防ぎ、実用的なコンプリケーションを実現したと言える。
ムーブメントテクニカルディレクターであるサルヴァドール・アルボナはこう語る。「以前は、ローターの慣性を変更するには、当社のライセンスを持つ時計職人が行わなければなりませんでした。しかし私たちはこのシステム(バタフライローター)を完成させ、時計の巻き上げをユーザーに直接操作してもらえるようになったのです。これは、車に例えるとドライバーが街中からレーストラックまで、走る場所や状況に応じて車のドライブモードを切り替えるようなものです」
7時位置のプッシュボタンで開始されるスポーツモード
では、どのように車のドライブモードを変えるのと同じように、ローターの慣性を変更することができるのだろうか。それは7時位置のプッシュボタンを押すというシンプルな操作だけで実現する。ボタンを押すとグレード5チタン製バタフライローターが広がり、ローターの慣性が変更され、スポーツをしている間は巻き上げプロセスが停止する。プッシュボタンをもう一度押すとローターが機能してムーブメントを巻き上げるという仕組みだ。
この発明により、ムーブメントの巻き上げ機構を必要に応じて最適化できる。ローターが作動しているかどうかは、6時位置にあるオン・オフ表示インジケーターで確認することができる。
自動巻き時計は手首の動きを利用して巻き上げを行う。動きが多すぎたり、不足したりしていると香箱内に蓄えられた動力に悪影響を及ぼすこともあり、時計が最適な状態で機能するには、香箱内に適切な動力が供給されることが必要だ。
バタフライローターは、重金属ウェイトセグメントが取り付けられたふたつのグレード5チタン製アームで構成され、専用プッシュボタンを介して独立したギアトレインによって作動する。オリジナルの位置では、ウェイトセグメントが動いて重心が外側に移動し、ユーザーの全ての動きを香箱の巻き上げに必要なトルクに伝達しているが、7時位置のプッシュボタンを押すと、ローターのギアがふたつのウェイトを180度の角度に広げ、重心が調整されてローターがバランスの取れた位置に戻り、巻き上げ工程が中断されることでムーブメントの過度な巻き上げを防いでくれる。
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