重さ11.5g、1万4000G の耐衝撃性に到達したリシャール・ミル「RM 27-05 フライングトゥールビヨン ラファエル・ナダル」

2010年、RM 027 トゥールビヨンはある挑戦への答えとして誕生した。それは、驚異的な軽さと最高のパフォーマンスを追求するエキサイティングな冒険の序章だった。そして今回の「RM 27-05 フライングトゥールビヨン ラファエル・ナダル」で、このリシャール・ミルの物語はクライマックスを迎えることとなった。重さ11.5g、1万4000Gの耐衝撃性という、手巻きトゥールビヨンとして二重の記録を打ち立てた。

ラファエル・ナダルとの最後のコラボモデル

　RM 27-05プロジェクトは、軽量化という明確な探求によって推進され、その結果、驚くべき技術データが完成した。ムーブメントは、55時間のパワーリザーブを持ち、3Hzの振動数を持つフライングトゥールビヨンを搭載した本モデルは、PVD加工を施したチタン製の地板をスケルトン加工し、見えない部分まで手作業で仕上げられている。ブリッジもグレード5のチタンとカーボンTPT®製で、さらに軽量化された。キャリバーの厚さは3.75mm、重量はわずか3.79gしかない。

「RM 27-05 フライングトゥールビヨン ラファエル・ナダル」

　キャリバーとケースの設計には4000時間が費やされた。「RM 27-05 フライングトゥールビヨン ラファエル・ナダル」の製作において、リシャール・ミルの技術者たちは時間を惜しまなかった。このモデルは、ムーブメントをケースに固定するネジがない。メカニズム全体がモノコックの地板とミドルケール内に収まっており、その上にインナーベゼルとベゼルが配置されている。全体の組み立てがキャリバーを押さえつけることで、しっかりと固定されるのだ。

ムーブメントをケースに固定するネジがない

　このモデルの大きな利点は、スイスのパートナーであるノース・シン・プライ・テクノロジー（NTPT™）社と5年の歳月をかけて開発した新しい複合素材、カーボンTPT®B.4の特性にある。カーボンTPT®B.4は、最適化された異方性材料で、ケースをより薄く加工することが可能である。従来のカーボンTPT®と比較して、新しい複合材料は密度が4％、繊維の剛性が15％、樹脂の強度が30％ 向上している。これにより、剛性を失うことなく全体を軽量化することが可能になった。

新しい複合素材、カーボンTPT®B.4

　最適な強度を得るため、カーボンTPT®B.4は層間に特定の70°の方向を持つように積層して織られている。この素材を使用することで、時計の構造に最適な比率、重量、性能、剛性が保証される。カーボンTPT®B.4の織り目に沿って、ムーブメントが載る裏蓋にX字型の隆起を作ることができるのも、この素材のおかげだ。ケースを含むすべてを網羅したシミュレーションの結果、キャリバーは裏蓋から0.05mmの位置に6つの支点が配置されており、これが時計の剛性に貢献している。このXパターンはケース全体に視覚的に反映されるとともに、ベゼル、インナーベゼル、モノコック地板が、どのような状況でもその特性を維持することを保証している。

グレード5チタンとカーボンTPT®の地板とブリッジ

　地板とブリッジは、マイクロブラストとPVD加工を施したグレード5チタン製。生体適合性に優れ、耐食性と剛性に優れたこの合金は、輪列をスムーズに機能させることができる。この合金は、90％がグレード5チタン、6％がアルミニウム、4％がバナジウム。この組み合わせにより、素材の機械的特性がより高まるため、航空宇宙や航空工学、自動車産業で頻繁に使用されている。

Cal.RM 27-05

　キャリバーにチタンとカーボンTPT®を使用することで、輪列の完璧な機能に不可欠な、完全にフラットな表面とともに、優れた剛性がもたらされた。総重量3.79グラムという超薄型・超軽量のキャリバーは、厳格な最適強度要件を満たすために、個別に広範な検証テストが行われた。卓越した技術で設計されたCal.RM 27-05は、1万4000gを超える衝撃にも難なく耐え、その比類なき耐久性を証明している。

セントラルインボリュート歯を採用した香箱の歯車と3番車カナ

　香箱の歯に採用されているセントラルインボリュート歯とカナは、最適な圧力角である20°を成している。これにより、回転効率が向上し、輪列の歯の嚙み合わせに生じる偏差を防ぐことができる。結果、トルクの伝達を安定させ精度が大きく向上するのだ。

仕上げ

　キャリバーの表面と隠れた背面には、完全な手作業による仕上げが施されている。インボリュートプロファイル歯車には、マイクロブラスト加工、ポリッシングとサーキュラー仕上げがなされ、機械としても、美的にも優れたムーブメントを作りたいというブランドとしての願いを示している。

完璧なタフさを誇る11.5グラム

　RM 27-05の精巧さは、高い技術によるムーブメントとケーシング部門との連携があってこそ。キャリバーは、ネジを使用せず、ケースバックに直接機械加工された支柱で取り付けられている。このように支えられることで、ベゼルとインナーベゼルがケースバックにしっかりと固定される。ムーブメントとケースとが相互に頑丈さを高め合っているのだ。

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　ラファエル・ナダルに着用してもらう前に、これほど厳しい検証テストをリシャール・ミルの時計に課したことは今までになかったようだ。最大5000gにも及ぶ様々な段階的ショックを加えた後、時計の断層撮影によって損傷を3Dでシミュレーションすることで、RM 27-05が真のパフォーマンスを達成することが確信された。最先端テクノロジー、専門性と、ハイレベルなスポーツが要求するものとの間に生まれた連携の到達点の一つである。