最新作の「フォーブル・ド・クラコヴィ クロスロード ディープブルー」によって、チャペックは古典主義とモダニズムの境界を消し去ろうと試みている。最高のスポーティな機能と洗練されたクラフトマンシップを組み合わせたこの新しいタイムピースは、伝統を尊重しつつもその枠を超えるというメゾンの哲学を体現した新作だ。
フォーブル・ド・クラコヴィ クロスロード ディープブルー
自動巻き(Cal.SXH3)。42石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約65時間。SSケース(直径41.5mm、厚さ11.5mm)。5気圧防水。825万円(税込み)。
フォーブル・ド・クラコヴィ クロスロード シークレット・アロイ
自動巻き(Cal.SXH3)。42石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約65時間。SSケース(直径41.5mm、厚さ11.5mm)。5気圧防水。世界限定50本。825万円(税込み)。
「フォーブル・ド・クラコヴィ」コレクションは、現行コレクションの中で唯一の継続的なクロノグラフ・モデルであり、窪みのあるラグやリュウズガードに一体化したプッシャーを備えたケースデザインが、チャペック社のモダンクラシシズムの哲学を象徴しているシリーズだ。
今作は、タキメーター・スケールの導入により、伝統的なメティエ・ダール(装飾芸術)を逆説的に扱い、ギヨシェとスポーツの本質的な機能を組み合わせる実験が行なわれた。タキメーター・スケールは、文字盤の周囲やベゼルに表示されており、数学的な公式とクロノグラフの計時機能を使用して、移動時間に基づいて速度を計算、あるいは逆に速度に基づいて移動距離を測定することができる。
タキメーターとは?
タキメーターはモータースポーツと長く結びついており、20世紀初頭に一部のスイス製クロノグラフ機構搭載の時計に登場し、レーシングドライバーや初期の航空パイロットにとって非常に実用的な価値を持っていた。今日では、多くのウォッチメイキングにおける複雑機構と同様に、デジタル技術がその機能的目的を提供しているが、それによってタキメーターのクラシックなデザインの魅力が損なわれてはいない。
レーシング・スピリットを味わったり、自分の車のスピードメーターが正確かどうか確認する機会は、このアナログなメーターで十分に得ることができる。タキメーターは一定距離での平均速度を測定するため、アクセル操作なしでも車が自動でスピードを保ってくれる機能であるクルーズコントロールを使う高速道路では不要だが、曲がりくねった田舎道では非常に楽しく使用することができる。
新しいギヨシェ・パターンを備えたダイナミックな文字盤
フォーブル・ド・クラコヴィにタキメータースケールを収めるために、文字盤のメイン・セクションの直径を小さくすることは「言うは易し行うは難し」の事例であり、すべてのエレメントのバランスと対称性を保つために、クロノグラフのサブダイアルも同じ割合で縮小された。これにより、構成内でしっかりとした存在感を保つために、より際立ったフランジが作られている。これが、チャペックの特徴であるディテールの繊細さである。
ギヨシェ彫りについて、チャペックは文字盤製作のパートナーであるメタレム社と協力し、よりスポーティでモダンなイメージを投影する新しいパターンを作成した。これは、非常に伝統的な技術を逆説的に利用したもので、昨年、「ケ・デ・ベルク」のために作られたダブル・ソレイユ ギヨシェの再解釈である。この新しいクロスロード・パターンは、より直線的で、広い感覚で深く刻まれた線が特徴だ。
タイヤのトレッドに似たそのデザインは、タキメーターのレーシング・ヘリテージを連想させるだろう。クロスロードという名前は、交差する線のパターンを表現すると同時に、ウォッチメイキングの伝統と現代的なアプローチの交差点に立つチャペックの位置を象徴している。ダイナミックで生き生きとしてエキサイティングな文字盤は、まさに「レースへのインビテーション」である。
文字盤はふたつのカラー
文字盤はふたつのカラーで作成された。コントラストのあるカウンターを備えたディープブルーと「シークレット・アロイ」というモノクロームのグレー文字盤で、カウンターは未加工の文字盤素材の色に合わせている。両方の文字盤のベースとして使用されているこの貴金属合金は、プラチナ、金、銀、パラジウム、その他の金属などを組み合わせた、柔軟さと強さを兼ね備えたマテリアルだ。理想的な引張強度を得るために選ばれ、ギヨシェ彫りの前に研磨すると、強い反射を生み出し、刻まれた線の鮮明さが際立つ。シークレット・アロイの文字盤は50本の限定で、ディープブルーは非限定となる。
ベンチマークとなるクロノグラフ・ムーブメント
フォーブル・ド・クラコヴィ ラインに搭載されているムーブメントCal.SXH3は、2018年にヴォーシェ・マニュファクチュール・フルーリエによって開発され、チャペックの特別なリクエストに合わせてカスタマイズされている。クロノグラフ・ムーブメントのベンチマークとなるこのキャリバーは、クロノグラフ・キャリバーのもっとも望ましい特徴を備えている。コラムホイール(プッシャーの鮮明な動作によって感じられる、より正確な機能性)、クロノグラフのスタート/ストップ/リセット機能を正確に制御する垂直クラッチ、すべてのクロノグラフ表示のシームレスなリセットを確実にするリニア・ゼロリセットハンマーが備わっている。5Hz (3万6000/時)のハイビートにより、1/10秒単位の正確な測定が可能になり、安定性と堅牢性が向上している。
Cal.SXH3
チャペックの細部へのこだわりは、ムーブメントの仕上げにも表れており、ブリッジはサンドブラスト仕上げとダイヤモンド・ポリッシュが施されており、18Kピンクゴールドのローターとアントラサイトのコントラストが際立っている。ケースサイズは41.5mmで、アリゲーター、ラバー、またはアルカンターラのストラップを選択することができる。「フォーブル・ド・クラコヴィ クロスロード」は世界中の指定販売店、スイス、ジュネーブのチャペック・ブティック、そしてczapek.comで、2025年5月にデリバリー予定である。