ユリス・ナルダンは、海がプラスチックによる汚染の危機が高まっていることに対し、解決策の研究、開発に向けた取り組みを行っている。海から得られる素材の研究に専念する研究部門を立ち上げ、特に牡蠣の殻、藻類、海洋PET(プラスチックボトル)、ポリアミド製漁網の特性の研究に力を入れている。新しく発表された「ダイバー ネット」は、フランスで初めて漁網をリサイクルしたプラスチックのサプライヤーであるFIL&FAB社に依頼し、ケース、ミドルケース、裏蓋、ベゼルを再生プラスティックで制作したコンセプトモデルだ。
自動巻き(Cal.UN-118)。シリシウム テクノロジー&ダイアモンシルを採用した脱進機。パワーリザーブ約60時間。100%リサイクルした漁網ケース(直径44mm)。海から拾ったペットボトルを100%リサイクルしたヴェルクロ式R-ストラップ。300m防水。コンセプトモデルのため価格未定
漁網をリサイクルしたプラスチックのサプライヤーであるFIL&FAB社は、使用されなくなった網を港から回収し、その網を耐摩擦性に非常に優れた素材であるポリアミドペレットに変える技術を有する企業だ。このパートナーは工業デザインと変成についての専門家なので、製品に細心の注意を払っている。 また、2020年10月、ユリス・ナルダンは新しい「R-ストラップ」を発表し、海洋循環型経済への取り組みにおける第一歩を踏み出した。採用したストラップは海を浮遊していたPETプラスチックを、スイス企業TIDE社が糸にしたものを使用している。このサプライヤーは素材としてバージンプラスチックの製造をやめ、すでに存在する莫大な資源を再利用する取り組みも行っている。
サファイアガラスを透明なセラミックガラスに変更
環境に配慮した解決策を模索する中、ユリス・ナルダンも、時計に使用するガラスを従来のサファイアガラスから、スイスのジュラ地方で機械加工された透明なセラミックガラスに変更した。この透明なセラミックガラスは、製造時のエネルギー使用を抑えることで環境負荷を減らす目的で使用されている素材だ。
ユリス・ナルダン「ダイバーネット」
「ダイバー ネット」は、環境に優しい重要なイノベーションを模索しつつも、ユリス・ナルダンの歴史ある時計製造の伝統を受け継ぐコンセプトウォッチだ。直径44mmの時計ケース裏側からUN-118ムーブメントのシリシウム テクノロジーを見ることができる。このコンセプトダイバーズウォッチは、一方向の回転ベゼルを搭載。こちらにもリサイクルの漁網を使用し、さらにガラスは従来のサファイアガラスではなく、透明なセラミックガラスを採用した。アワーマーカーと針に塗布したアシッドグリーンのスーパールミノバにより、暗闇でも時刻を確認しやすい。文字盤、ベゼル、リューズプロテクター、さらにリサイクルPETストラップのステッチには、自然をイメージするグリーンカラーを至るところに取り入れている。
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