1997年に出版されたマンガ「エルメスの道」に、その後のストーリーを加えて1冊にまとめた新版「エルメスの道」(竹宮惠子著・中央公論新社刊)が2021年3月10日に出版される。初版発表から24年、満を持して漫画家の竹宮惠子氏が再びペンをふるい、旧版の物語に続く直近20余年のエルメスの歩みについて、新たに63ページを描き下ろした。
竹宮惠子著/中央公論新社刊
2021年3月10日 全国書店及び一部エルメスブティックで発売
A5 ソフトカバー装 / 288ページ
本体1600円+税
ISBN : 978-4-12-410655-8
3月10日よりオンライン配信予定
世界初の社史をマンガにしたエルメス
エルメスの企画・発案のもと「エルメスの道」が出版されたのは24年前。1837年に馬具工房として創業したエルメスの160年余りの歴史を詳細に物語るマンガとして反響を呼んだ。それまでエルメスは社史を刊行しておらず、実質的にこのマンガが世界で初めて、エルメスの通史を伝える出版物になったのだが、エルメスが社史をマンガで発行する大胆さも話題となった。
新版『エルメスの道』中央公論新社
日頃から乗馬をたしなむ漫画家の竹宮惠子氏
出版のきっかけは、しばしば来日し、日本文化に感銘を受けていた当時の社長ジャン=ルイ・デュマが、日本のマンガという表現方法に注目し、このユニークなメディアを使ってエルメスの歴史や価値観を広く一般に伝えることを発案したことにあった。そこで白羽の矢が立ったのが、日頃から乗馬をたしなみ、馬体や馬術競技にも知識のある漫画家の竹宮惠子氏。竹宮氏は、エルメスが創業以来大切に守り続けている卓越した職人技に感銘を受け、この大仕事に取り組んだのだ。
新版『エルメスの道』中央公論新社
新たに追加された63ページ
そして今回、新版のための続編ストーリーの執筆依頼に対し、創作意欲を再燃させられただけではなく、全く新たな制作プロセスを試みたいとの意欲に駆られた。それはアシスタントの存在なしに、作品のすべてを竹宮氏自身の手で仕上げるという前例のないチャレンジでもあった。マンガ制作ソフトやツールを駆使し「ひとりで描く」ことに挑戦し、緻密な構想と労力を要する続編制作に果敢に挑んだ結果が、今回の作品を完成に導いたのだ。
新版『エルメスの道』中央公論新社
新版で描かれる3つの出来事
新版ではエルメスの1997年以降の出来事をマンガにするにあたり、3つの大きなトピックスに焦点を当てている。ひとつ目は2001年に完成した《銀座メゾン》をめぐる物語。《銀座メゾン》は、エルメスがフランス国外においてはじめて計画した、エルメスの“家=メゾン”。ガラスブロックが特徴的なこのビルの建設の裏には数々の困難と、それを乗り越える多くの人々の情熱があった。
ふたつ目は2010年から始まったエルメス主催の馬術の障害飛越競技大会《ソー・エルメス》について。《ソー・エルメス》は馬具工房から歴史が始まったエルメスが自らのルーツに立ち返り、馬のたぐいまれなる能力をパリの中心地〈グランパレ〉で披露するという意欲的な催しで、開催に至るまでの秘められた経緯が今明かされる。
3つ目は創造的なプロダクト《petit h(プティ アッシュ)》の誕生秘話だ。素材を余すところなく使い、メゾンのメチエ(製品部門)を横断して機能と遊び心を兼ね備えたオブジェを作り出す《petit h》のコンセプトがどのようにして生まれたのか――。これまであまり明かされることのなかったエピソードや工夫とアイデアで突破する場面の数々が、読者をエルメスのリアルなドラマへと誘う。
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