エルメスが展開する「アルソー」シリーズに、コンプリケーションウォッチの新作が加わる。「アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ」は、文字盤にそれぞれ来歴の異なるメテオライト(隕石)を用いた3種類の腕時計だ。これらは3種1セットで販売され、わずか12セットしか販売されない。時間に詩情を与えるエルメスの世界観が、精緻な機構に宿る。
エルメス「アルソー」、コンプリケーションウォッチ新作発表
エルメスは時計を「時間を知る道具」とは捉えていない。そこにあるのは、“時”を詩的に再構築するという発想だ。腕にまとうのは、単なる時計ではなく「時間という概念を形にしたオブジェ」である。
「アルソー」コレクションは、1978年に誕生したシリーズ。クラシカルな円形ケースに非対称ラグを組み合わせた造形は、馬の鞍から着想を得たもの。クラフトと造形美の融合が、エルメスのウォッチに共通する思想だ。
今回登場するのは、「アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ」「アルソー ル タン ヴォヤジャー」という2種のコンプリケーションモデルの最新作だ。それぞれ、天空と大陸をテーマに、時間の概念を再解釈する。
アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ新作

自動巻き(Cal.H1837)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。WGケース(直径43mm)。3気圧防水。参考価格3940万2000円(今回発表された「アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ」3種セットでの販売価格)。2025年8月頃発売予定。

自動巻き(Cal.H1837)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。PGケース(直径43mm)。3気圧防水。参考価格3940万2000円(今回発表された「アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ」3種セットでの販売価格)。2025年8月頃発売予定。

自動巻き(Cal.H1837)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。WGケース(直径43mm)。3気圧防水。参考価格3940万2000円(今回発表された「アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ」3種セットでの販売価格)。2025年8月頃発売予定。
2019年に登場し、世界中の時計愛好家の話題をさらったアルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ。今回発表された新作は、宇宙から飛来したメテオライトを文字盤に使用した、世界限定各12本の希少な3つのバリエーションだ。
このモデルの魅力は、エルメス独自開発のムーンフェイズ表示にある。一般的なムーンフェイズがひとつの月相のみを示すのに対し、本作は「北半球」と「南半球」の月の満ち欠けを同時に表示。それを実現するのが、117個のパーツからなる複雑なエルメスの独自開発モジュールだ。さらに、日付と時刻を示す可動式スモールダイアルが59日かけて文字盤を一周。静かに現れるふたつの月は、時間を詩的に演出する。月にはアーティスト、ディミトリ・リバルチェンコによるペガサスのモチーフが描かれ、まるで天体の物語を語るかのような幻想的な仕上がりだ。

さらに注目すべきは文字盤素材。メテオライト(隕石)を用いて、それぞれ異なる起源を持つ3種がラインナップされている。ブルーグレームーンモデルには、月の岩石「ルナ・メテオライト」を使用。ヴェスタモデルは、最大級の小惑星「ヴェスタ」由来のメテオライトを使用。エルグ・チェフモデルには、すでに消滅した天体由来のマグマ起源のメテオライトを採用した。いずれも「地球上では手に入らない素材」であり、まさに宇宙と時間をつなぐ存在となっているのだ。
すべてのモデルに、Cal.H1837ムーブメントを搭載。美しい地板装飾やHモチーフのローターなど、裏蓋越しにもエルメスの美意識が感じられる逸品だ。アルソー ルゥールドゥラリュンヌの新作は、世界限定各12本で3本セット販売。2025年8月頃発売予定だ。