地域復興に貢献するリシャール・ミルの新作「RM 60-01 オートマティック フライバッククロノグラフ セントバーツ」 

2021.07.05

リシャール・ミルは80本限定の新作「RM 60-01 オートマティック フライバッククロノグラフ セントバーツ」を発表。同社が継続して支援する、センドバーツ国際ヨットレースが中止になったことを受け、同モデル1本の販売利益を全額セントバーツの地域復興事業に寄付すると声明した。


リシャール・ミルと国際的ヨットレース

 リシャール・ミルは、カリブ海に浮かぶフランス領の小さな島・セントバーツで毎年開催されるヨットレース「セントバーツ国際ヨットレース」のスポンサーとして、2011年の初回から立ち会ってきたブランドである。毎年平均で80チームが7つのカテゴリーに分かれて競い合うこのレースは、開始以来の10年間で数万人の参加者と500艇を超えるヨットを世界中から迎え、現在ではカリブ海を代表する一大イベントになった。

セントバーツ国際ヨットレース

 同社は、このように急成長を遂げた国際的なレースイベントに新たな方向性を与えるため、19年にタイトルスポンサーとなり「リシャール・ミル セントバーツ・ヨットレース」を改名したのだ。このことに関し、マーケティング部長を務めるティム・マラシャールは次のように語る。

「私たちは立ち上げ時からこのレースへの支援を続けてきました。今こうして国際的レガッタ(ヨット競技)として広く知られるようになったのは深い感慨を覚えます。ヨットやクルーの質は年々高くなっており、勝つべきカリブ海でのレースとして認識されています」

優勝者に贈呈された限定モデル

 リシャール・ミルは、レース開催を記念して複数の限定モデルを製作し、毎回レース優勝チームにはその時計を1本贈呈した。レース開始を記念し2010年に発表されたのは、300mの防水性能を持つダイバーズウォッチとして作られた「RM 028 セントバーツ・ヨットレース」だ。

 それに続き15年と17年に異なるカラーで発表されたのは、レースに参加するヨットクルーのために開発した「RM 60-01 レガッタ」であり、これが今回の最新モデルのベースとなった。北半球・南半球どこにいても計算を行わずに方角を割り出せる、特殊な回転式ベゼルを初めて備えた。

コロナ渦で見送られた2021年のレース

セントバーツ国際ヨットレース

 2010年より継続して開催されてきた「セントバーツ国際ヨットレース」だが、セントバーツ島でも新型コロナウイルスの影響を受け、本年度は開催中止となった。これは入島時の隔離義務や、島間の不要不急の往来禁止などの条例によるものである。

 レースが開催されなくなった2021年に発表された新しい限定モデル「RM 60-01 オートマティック フライバッククロノグラフ セントバーツ」は、これまでと異なる形でレースを支援することとなった。リシャール・ミルは、このモデル1本の販売利益の全額を、セントバーツの地域復興のための寄付金に充てることが自分たちの義務だと判断したのだ。

 現時点で具体的な支援先が決まったわけではないが、島の医療健康施設や環境プロジェクトの中から寄付金の活用事業を決定するため、地元当局と話し合いを行っている。


ターコイズブルーが映える、RM 60-01の最新モデル

 今回発表した「RM 60-01 オートマティック フライバッククロノグラフ セントバーツ」は、これまでのRM60-01に新しいカラーリングが与えられた。ダイアルを縁取るインナーベゼルや回転ベゼル上のカウンター、プッシュボタンの側面などには、レガッタを象徴する美しいターコイズブルーが採用されている。

RM 60-01 フライバック クロノグラフ レガッタ

リシャール・ミル「RM 60-01 オートマティック フライバッククロノグラフ セントバーツ」
自動巻き(Cal.RMAC2)。62石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。カーボンTPT®︎×Tiケース(直径50mm、厚さ16.33mm)。100m防水。世界限定80本。予価2585万円(税込み)。

複雑なケース構造

 直径50mm大型ケースの中には、ヨットクルーのために考え抜かれた機能が詰まっている。リシャール・ミル独自の素材であるカーボンTPT®︎とグレード5チタンを組み合わせた複雑なケースは4層構造になっており、100mの防水性能を備える。

RM 60-01 フライバック クロノグラフ レガッタ

 このケースを製作するためには、多くの工程を経る必要がある。1時間半以上の旋盤加工の後は数時間におよぶ800項目以上の切削加工、そこから約11時間をかけて機械加工による複数のオペレーションを行う。その後、ひとつのケースにつき丸1日をかけた品質検査が実施される。

 加えて、ケース本体以外のリュウズやプッシュボタン、ネジ、ワッシャーなどのパーツの削り出しには約10日間を要し、幾度もの防水・品質検査を経た後、最終的に手作業で仕上げが施されるのだ。このケースの組み立てには、46本のグレード5チタン製ネジと316Lステンレススティール製の耐摩耗性に優れたワッシャーを使用するという。

RM 60-01 フライバック クロノグラフ レガッタ

 特殊な構造として挙げられるのは「ロッキングリュウズ」である。これは操作ミスによるクロノグラフの誤動作を回避するためのもので、リュウズの根本の可動部を回転させるだけで、2時位置と4時位置にあるプッシャーの両方を同時にロックすることが可能。ロック時はグリーン、ロック解除時にはレッドの矢印が3時位置で表示されるため、視覚的にも判別しやすいのが特徴だ。

コンパス機能付きの回転ベゼル

 RM 60-01の重要な機能が、ヨットクルーに方位を知られる機能だ。東西南北を表示した両方向回転ベゼルには、360°と24時間目盛りを刻んだディスクが備わっている。基本的にはローカルタイムと太陽の位置というふたつの情報をもとに方位を割り出す。

RM 60-01 フライバック クロノグラフ レガッタ

ケースサイドの8時位置にあるUTCボタン。他の時計にはあまり見られない機構だ。

 UTCボタン1プッシュで1時間分進むUTC針を太陽に向け、ベゼルを回転させてUTC針にローカルタイムを合わせると、方位が分かるというものだ。余計な計算をせずに、北半球でも南半球でも包囲を知ることができる機械式時計は少ない。

機能の中枢を成す複雑なムーブメント

 RM 60-01が搭載するCal.RMAC2は、フライバッククロノグラフを搭載する自動巻きムーブメントだ。軽量化と同時に堅牢製を高めるため、メインプレートやブリッジにはグレード5のチタンが用いられ、表面にブラックPVD加工が施されている。

 パーツを留めるネジに関しても同様にチタン製で、独自形状のスプラインネジを採用。組み立ての際にネジ閉めトルクを適切に制御することができ、幾度となく行われるオーバーホールにも耐え、マイナスネジで起こりがちなネジ頭の劣化を防ぐ。

RM 60-01 フライバック クロノグラフ レガッタ

効率の良い回転を維持する片方向巻き上げ式の自動巻きローターには、リシャール・ミル独自の「可変慣性モーメントローター」が使われている。所有者の腕の動きに合わせて巻き上げ効率を上下させることができるため、自動巻き機構やゼンマイへの負担を減らす役割を併せ持つ。

 このムーブメントは、人間工学に基づいた曲面を形成するトランスパレント仕様のケースバックから鑑賞することができる。サファイアクリスタルには「リシャール・ミル セントバーツ・ヨットレース」のロゴマークがプリントされている。


Contact info: リシャールミルジャパン Tel.03-5511-1555


リシャール・ミル【2021 新作】 航空工学の世界からインスピレーションを得た「RM 21-01 トゥールビヨンエアロダイン」

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