ユリス・ナルダンは、腕時計の新作発表イベント「ジュネーブ・ウォッチ・デイズ」で、「マリーン トルピユール」コレクションの新作5種7モデルを発表した。2017年に誕生したこのコレクションを一層充実させる新作群は、シンプルなものからクロノグラフ、トゥールビヨンと多種多様で、すべてが限定モデルとして展開される。
創業175周年を祝福
ユリス・ナルダンは、2021年8月30日(月)から9月3日(金)の会期で開催される、腕時計ブランドの新作発表イベント「ジュネーブ・ウォッチ・デイズ」で新たな複数のモデルを披露した。今回発表された5種7モデルは、17年に誕生した「マリーン トルピユール」コレクションに属し、ユリス・ナルダンの中では比較的シンプルでクラシカルな印象である。
船舶用のデッキクロノメーターにルーツを持つユリス・ナルダンらしく、同コレクションは19世紀にキャプテン(船長)だけが持つことを許されていた、ポケットクロノメーターに着想を得たデザインを取り入れている。ブランドを代表する「マリーン クロノメーター」コレクションを薄型・軽量化し、自由な発想を持つ“現代の冒険家”のために製作された。
創業175周年という記念すべき年を迎えるにあたって、今回ふたつの新型ムーブメントを開発し、クロノグラフやムーンフェイズ、トゥールビヨンといった新しい機能をコレクションに追加。新作はすべて限定生産で、トゥールビヨンモデルを除き、共通してダイアルの6時位置に「Chronometry since 1846」というサインが入っている。
マリーン トルピユール ブルーエナメル
自動巻き(Cal.UN-118)。50石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径42mm、厚さ11.73mm)。50m防水。世界限定175本。119万9000円(税込み)。
マリーン トルピユールの中で最もスタンダートな本作は、かつてのデッキクロノメーターやポケットクロノメーターのデザインを受け継いでいる。カテドラル型の針やローマ数字を配したダイアル、12時位置のパワーリザーブインジケーターに6時位置のスモールセコンドは、ひと目でユリス・ナルダンのものだと分かるだろう。
艶のあるダイアルは、モデル名のとおり濃いブルーカラーのエナメル製だ。2011年に買収したエナメル工房、ドンツェ・カドランが手がけるグラン・フー・エナメルダイアルは、作業工程の約90%を手作業で行う伝統的な手法を用いている。
また、搭載するムーブメントCal.UN-118は約60時間のパワーリザーブを持っており、ユリス・ナルダンが得意とするシリシウム技術が随所に採用されている。限定本数は、アニバーサリーイヤーにちなんで175本だ。
マリーン トルピユール パンダ
自動巻き(Cal.UN-118)。50石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径42mm、厚さ11.73mm)。50m防水。世界限定300本。99万円(税込み)。
ユリス・ナルダンで“初めて採用されたこのカラーリングは、ホワイトのダイアルにブラックのインダイアルが配されていることから「パンダ」というユニークなモデル名が付けられた。基本的なダイアルデザインはスタンダードなものと共通で、12時位置にパワーリザーブインジケーター、6時位置にスモールセコンドを備えるが、このモデルではよりその機能を強調させている。
ロジウム仕上げの針を備えたヴァーニッシュ仕上げのダイアルには、秒針をおさめた6時位置のインダイアルに「Chronometry since 1846」のサインが刻まれている。300本限定の本作は、ブラウンカラーのアリゲーターストラップだけではなくラバー素材のものやメタルブレスレット、また漁網を再利用したR-ストラップが選択できる。
マリーン トルピユール アニュアルカレンダー クロノグラフ
自動巻き(Cal.UN-153)。53石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約52時間。SSケース(直径44mm、厚さ13.66mm)。50m防水。世界限定各色300本。146万3000円(税込み)。
1936年から80年という長い期間製造された「クロノグラフ マリーン トルピユール」は、1/10秒単位で時間の計測が可能なポケットウォッチだった。36年のベルリン・オリンピックで使用され、その高い精度は計時に革命をもたらしたという。
今回発表された「マリーン トルピユール アニュアルカレンダー クロノグラフ」は、モデル名が示すようにクロノグラフに加えてアニュアルカレンダーを備えている。初期のムーブメントCal. UN-150を改良して作られたCal.UN-153を搭載しており、9時位置のスモールセコンドと同軸に月を表示するほか、中央にクロノグラフ秒針、3時位置に30分積算計を表紙する。
年に1回の調整で済むアニュアルカレンダーの機構は、1996年に開発されたパーペチュアルカレンダーの機構を改良し、全ての表示をリュウズひとつで調整することが可能になった。本作にはブルーとホワイトのダイアルが用意されており、それぞれ300本の限定モデルである。
マリーン トルピユール ムーンフェイズ
自動巻き(Cal.UN-119)。45石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径42mm、厚さ11.13mm)。50m防水。世界限定各色300本。119万9000円(税込み)。
ユリス・ナルダンは、19世紀末からムーンフェイズを搭載した時計製作を行っている。ガリレオ・ガリレイやコペルニクス、ヨハネス・ケプラーなどの天文学に大きな功績を残した人物にとって、アストラルナビゲーションは重要なものだった。
さまざまな天文学的な情報の中で、特に我々の生活に大きく関わりを持つのが月の満ち欠けだ。ムーンフェイズは、航海に影響を与える潮の満ち引きを図る指標となり、船乗りたちにとって重宝される機能だったという。
「マリーン トルピユール ムーンフェイズ」では、ベースとなるデザインを守りながら、6時位置のスモールセコンド部分にムーンフェイズ機能を違和感なく搭載させた。月は立定的に描かれ、かつて船上から広大な海に浮かぶ月を眺めていたように、壮大な歴史が生み出した機能を楽しむことができる。ダイアルにはホワイトとブルーがあり、ムーンフェイズの見え方も大きく異なる。それぞれは300本限定だ。
マリーン トルピユール トゥールビヨン グラン・フー
自動巻き(Cal.UN-128)。36石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約60時間。18KRGケース(直径42mm、厚さ11.93mm)。50m防水。世界限定175本。585万2000円(税込み)。
今回発表された「マリーン トルピユール」コレクションの指揮を執るのは、ローズゴールド製のケースにフライングトゥールビヨンを搭載した「マリーン トルピユール トゥールビヨン グラン・フー」。脱進機が受ける重力の影響を分散するトゥールビヨンは、ユリス・ナルダンの数多くのモデルで採用されてきた、とても重要な機能だ。ガンギ車やアンクルといった、時計の精度に大きな影響を与える脱進機のパーツにはシリシウムを多用しており、技術革新に積極的なユリス・ナルダンらしさがうかがえる。
ドンツェ・カドランで製作されたブラックカラーのグラン・フー・エナメルを採用し、ローズゴールドのケースと相まってシックな雰囲気だ。12時位置ではゴールドの針でパワーリザーブを表示し、カテドラル型の時分針が正確な時を刻む。ブラックのアリゲーターストラップが似合う本作は、限定で175本が製作される。
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