リシャール・ミルは、侍や武士道といった日本文化への賛美を表す新作「RM 47 トゥールビヨン」を披露した。着想から完成まで約4年を費やしたこの芸術作品は、手彫りによって表現された甲冑を大胆なデザインの中に取り入れている。世界限定75本で、1億3640万円というプライスにも驚きだ。
手彫りで表現される甲冑の質感
リシャール・ミルが、日本の伝統文化から着想を得たアートピースを発表したというビッグニュースだ。日本で初披露された「RM 47 トゥールビヨン」は、着想から設計、そして完成まで約4年の歳月をかけ、その努力の結晶として誕生した、唯一無二の作品である。単なる腕時計の枠を超え、ブランドが定義する“鑑賞に値する”モデルのひとつに加えられた。
手巻き(Cal.RM 47)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。TZPブラックセラミックス×18KYGケース(縦50mm×横42.7mm、厚さ16.25mm)。50m防水。世界限定75本。1億3640万円(税込み)。
本作は、ブランドパートナーでありF1の世界チャンピオンに2度輝いた経験を持つフェルナンド・アロンソと、リシャール・ミルとの忌憚のない会話から生まれたもの。フェルナンド・アロンソは日本の伝統文化と侍の精神に深い思い入れを持つ人物であり、さまざまな部分に日本文化のいくつもの要素が表現されている。
現在の日本社会にも継承される武士道の倫理規範の真髄を表現する甲冑はイエローゴールドでできており、古き時代の日本の崇高な神社の装飾や、伝統工芸職人の作品に使用されてきた金箔を彷彿とさせる完成度だ。この甲冑のモチーフは、手彫りの工程をエングレーバーのピエール=アラン・ロズロン、そして塗装の工程を彼の妻であるヴァレリー・ロズ ロンによって製作されている。
本作の多くのディティールには、武士道精神を象徴する家元である浅野家がモチーフとして採用された。18世紀、赤穂藩藩主であった浅野長徳は、同時に彼の死を招いた敵を仇討し、後を追った47人の浪士の主人でもあった。
家元は、それぞれを象徴する紋章である家紋を有するが、本作には浅野家の家紋が6時位置にあるトゥールビヨンの中心に重なるように堂々と据えられている。円の中に交差した2枚の鷹の羽は、戦での強さと藩主としての権威を表したものだ。また、この紋章は侍の兜の吹き返しにも非常に緻密に刻まれている。
一方でリュウズは、チタンとカーボンTPT®、3Nイエローゴールドを組み合わせて作られており、優雅で美しく、季節の象徴で儚い命を例える、イロハモミジをモチーフにデザインされている。そして、鞘に納められた2本の剣は、万が一に備え、すぐに引き抜けるよう刃先を上に向けているのだ。
「刀とノミ、刃とエングレーバーの技術精度が示される堀跡、というように武具と私たちの芸術的作品の間には多数の共通点があります」と話すのは、エングレーバーのピエール=アラン・ロズロン。本作で描いた侍の姿は、文字盤側と裏蓋側で合計11個の部品で構成されており、ムーブメントを含むすべてのディティールと見事に調和している。
この甲冑のパーツを製作するには、エングレービングに16時間以上、塗装に9時間以上を費やしたという。まさしく彫刻作品に匹敵する傑作であり、忍耐、細心の注意、器用さ、そして情熱を要するのである。
時刻表示を司るトゥールビヨンムーブメント
本作が搭載するのは、新たに開発されたムーブメント、キャリバーRM 47だ。トノー型のケースと甲冑のモチーフと調和するように設計され、機能は時分針と美感にも優れるフリースプラングテンプのトゥールビヨンを搭載している。
地板とブリッジには、グレード5チタンが使われているのも特徴だ。耐腐食性に優れ、非常に高い強度を持つため、歯車などのパーツをより円滑に高効率で作動する事ができる。このグレード5チタンは、チタン90%、アルミニウム6%、バナジウム4%で構成され、航空宇宙産業や自動車産業で多くの採用例がある。ブリッジの表面にはグレーPVDコーティングとマイクロブラスト加工を施しされ、ムーブメント全体に優れた剛性をもたらすのだ。
また、約72時間のパワーリザーブを保持する香箱は「高速回転バレル」という特殊なもの。従来1回転するのに約7.5時間かかるが、これは約6時間である。精度を悪化させてしまう、周期的に起こる主ゼンマイの内部張り付き現象を抑えるという効果をもたらす。
Contact info: リシャールミルジャパン Tel.03-5511-1555
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