ユリス・ナルダンは、独創的な機構を持つ「フリーク」シリーズの最新作として、「フリークS」を発表した。
「フリーク ビジョン」をベースにアップデートを加えられた新型ムーブメントを搭載し、ダブルオシレーターやブリッジ、ふたつ備えられたテンプ等のパーツによって構成されるメカニズムは、まるで宇宙船が浮遊しているかのようだ。75本のみ製作される限定モデルである。
ダブルオシレーターという初の試み
ユリス・ナルダンはウォッチズ&ワンダーズ 2022で発表した新作群は、一貫して星空や天体など、宇宙を連想させる特徴を持っている。今回紹介する「フリークS」はその最たるモデルで、同ブランドの技術力の結晶とも称するべき独創的なメカニズムを備えている。
自動巻き(Cal.UN-251)。1万8000振動/時。パワーリザーブ約72時間。セラミックス×Ti×18KRG(直径45mm)。50m防水。世界限定75本。価格要問い合わせ。
この「フリーク」コレクションは、2001年に発表された革新的な1本の時計から始まった。初代フリークは、針も文字盤もリュウズもない、時計製造の歴史におけるあらゆる常識から解放されたような、革命的とも言える構造を持っていた。設計者のキャロル・フォレスティエ・カザピによって考案され、当時ユリス・ナルダンの時計職人だったルートヴィヒ・エクスリンによって現実のものとなったのだ。
それ以来、ユリス・ナルダンは20年以上にわたり伝統的な時計製造の限界を押し広げることを常に追求し、いくつもの「フリーク」コレクションを披露してきた。長年にわたりフリーク・コレクションはいくつかの大きなイノベーションを実施してきたため、高級時計製造の革命児として進化を続けている。
2022年、歴史的なフリーク コレクションが、新たな軌道に乗った。フリークSは、一見すると宇宙船のようである。ユリス・ナルダンのテクニカルチームは、フリークコレクションにもともと備わっている立体的な効果を極限まで高めることを目指した。今回初めて搭載する傾斜したダブルオシレーターは、新型ムーブメント、キャリバーUN-251の最たる特徴であり、ふたつの大型シリシウム製テンプがともに動いているのである。
20度傾斜したふたつの大型テンプは、ロケットの翼を模したローズゴールド製のブリッジで連結させている。ターボプロップエンジンのように見えるテンプは、それぞれ毎秒5振動で時を刻む様子を表し、本作の立体感と宇宙へのインスピレーションをさらに強めている。
この傾斜型のダブルオシレーターとディファレンシャル機構は、ムーブメントの回転速度をより正確に調整することができる技術だ。ディファレンシャルの最も一般的な用途としては自動車のトランスミッションで、それはカーブの内側にある車輪が外側にある車輪よりも速く回るように駆動輪を異なる速度で回転させるというものである。
この時計ではふたつの速度の平均をとり、香箱のエネルギーをふたつの調速脱進機に均等に配分することで、振幅を安定させるという機能を担っている。ふたつのテンプは同じ速度で振動することはなく、このディファレンシャル機構によって相互に補正し合うのだ。
そしてこれまでのフリーク同様、ムーブメント自体が回転することによって時刻を表示する。2本のブリッジがセンターを軸に回転していて、それぞれ時間と分を示す。アッパーブリッジは、ダブルオシレーターとともに60分間で1回転するというものだ。また本作の時刻合わせは、ベゼルを直接回転させることで行う。
加えて自動巻きのメカニズムも独自のものだ。採用された「グラインダー」巻き上げシステムは、前作「フリーク ビジョン」に搭載していたもので、今回大幅に改良されている。
このグラインダーは、従来の自動巻きシステムに比べエネルギー伝達効率が2倍となるため、効率的な巻き上げが可能で、さまざまな方向への手首のわずかな動きを利用する。振動錘は4枚のブレードを搭載したフレームに接続しており、これにより自動巻き上げシステムの動作速度が2倍になる。
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