骸骨の指がムーブメントを支えるリシャールミルの最新作「RM 66 フライングトゥールビヨン」

2023.01.22

リシャール・ミルは、新作の「RM 66 フライングトゥールビヨン」を発表した。コレクションの中でも最も贅沢な時計のひとつであり、世代、潮流、心理状態を象徴する「ホーン」を象ったハンドサインが見る者を強烈に引きつける。

まず、5Nレッドゴールドのオープンワークの手が、その指でムーブメントを掴んでいる様子に目を奪われる。手の5 本の指を削り出した後、エングレーバーの手に渡り、手作業で仕上げられている。バリ取りと研磨という長期にわたる丁寧な作業により骨の輪郭が浮き彫りにされ、マイクロブラスト仕上げにより繊細な関節部分が強調されている。

ロックの世界観を取り入れる

　「RM 66 フライングトゥールビヨン」にロックの世界観を取り入れるには、かなりテクニカルな工夫が必要だった。実際にケース部門では1500 時間の研究開発と9 ヶ月に及ぶ作業が行われた。例えば、ギターのピックのような形状のインデックスはチタン製で、尖ったアーチ状に引き伸ばされている。グレード5 チタン製のリュウズは、ゴシック風の造形部分がルビーを抱くクモの形をしており、円形のブラックラバーガスケットを採用するなど、細部にまで徹底した配慮がなされている。

開発から完成まで200時間以上を費やしたリューズ

　さらにリュウズ1 個の加工・仕上げには12 時間を要している。チタンの研磨は、ゴールドやスチールの研磨よりはるかに難しい。それだけでなく、研磨によってリューズがズレないように保持することも難しく、特殊な部品を使って内側から固定しなければならなかった。

リシャール・ミル
「RM 66 フライングトゥールビヨン」

リシャール・ミル「RM 66 フライングトゥールビヨン」
12 時位置に設置されたフライングトゥールビヨンは、複雑な時間制御メカニズムだ。ケージが上部のブリッジを伴わずに組立てられており、まるで中空を浮いているように、はっきりと見て取れるため、その特徴的なスタイルから「フライング（空飛ぶ）」と名付けられている。
手巻き（cal.RM66）。17石。2万1600振動／時。パワーリザーブ約72時間。グレード5チタンに研磨された5NRGケース（縦49.94mm × 横42.70mm x 厚さ16.15 mm）。ベゼルとケースバックは、カーボンTPT®。50m防水。世界限定50本。1億5180万円（税込み）。

リシャール・ミルで2本目となるフライングトゥールビヨン

　手巻きキャリバー RM66 は、72 時間のパワーリザーブを備えた高速巻き上げ香箱を6 時位置に、トゥールビヨンを12 時位置に配置した、ブランド初の構造を採用している。最大の透明性を確保するため、グレード5 のチタン製ムーブメントは、手のラインに沿って高度にスケルトン化。これを可能にしたのは、スケルトン化を強化するためにリシャール・ミルが採用した類まれなる複雑な機械的ソリューション、可変慣性モーメントを備えるフライングトゥールビヨンである。