美しく堅牢
ケースバックが一体化されたモノコック構造のステンレススティール製ケースは、ゴールデン ヘリテージを形成する重要なデザイン的要素であり、同時に加工品質の高さをも物語っている。だが、この構造のために、ムーブメントはケースバック側から取り出すことができず、時計師はまず、スクエア型のアッパーケースを取り外し、ここに固定されている文字盤もろとも上方へ取り出さなければならない。今回のテストには、ロイトリンゲンの時計宝飾店デッペリヒのマルティン・トム氏が協力してくれた。
堅牢なアッパーケースは、4本の頑丈なビスで留められている。10気圧の防水性を実現するためにOリングを採用し、シーリンググリースがネジ穴回りにも塗布されている。写真では、ミドルケースの角の部分にグリースの残留物が見られるが、これは、気密性を確保するための対策がいかに入念に施されているかを実証するものである。
では、マルティン・トム氏にムーブメントをケースから取り出してもらおう。これを行うにはまず、ケースバックにある小さなネジを外してメタル製の細いピンを穴に通し、このピンでムーブメント内のおしどりを押さなければならない。おしどりを押すことで巻き真が解除される仕組みになっているのである。その後で、巻き真をリュウズごと引き出すことができる(テストウォッチのような設計以外に、ツーピース構造の巻き真がある。このタイプの巻き真では、おしどりを操作しなくても、リュウズで外側の部分を引き出すことができる)。
文字盤は、ロウ付けされた足でムーブメントに連結されている。ベル&ロスの文字盤は、表側から見える4本のビスでケース内部に留められている。ムーブメントをケース内で保持するためのスペーサーは使用されておらず、ベル&ロスは、内部機構にジャストフィットするようにケースを加工するという、より手間のかかる方法を採った。堅牢なステンレススティール製ケースは、ムーブメントの形状に合わせて内部がフライス加工されており、ムーブメントと文字盤が確実に保持されるようになっている。文字盤とケースの嵌め合い部にはプラスチック製のリングが取り付けられているため、しっかりと保持されても、物理的な衝撃を吸収できるように設計されている。