クォリティと安定性
ゴールデン ヘリテージでは、目に見える構成部品がすべて高品質で、頑丈に作られている。ビスで留めた文字盤、様式美に富むケース、ファセットの美しいフライス加工が施された尾錠を備えた、幅広で厚みのあるレザーストラップに至るまで、隅々までこだわりが感じられる。
ただ、堅固なステンレススティール製ケースの中に隠されたムーブメントに関しては、ベル&ロスはあまり重視していないようである。搭載されているのは装飾の少ないセリタSW300で、3種類ある品質レベルの中で最も簡素な「スペシャル」クラスのものである。テンワはグリュシデュールではなくゴールドプレート仕上げのニッケル製、セリタによる調整も5姿勢ではなく4姿勢でしか行われていない。
それでも精度は良好である。最大姿勢差が9秒というのは少し大きすぎるが、平均日差はプラス5・5秒/日というわずかなプラス傾向にとどまった。着用テストでは平均日差がプラス4秒/日と、ウィッチ製歩度測定機でのテストよりも良い結果を見せてくれた。
46万円という価格がやや高めに感じられる要素は、搭載機が簡素な量産ムーブメントという点のみだろう。この点を除けば、ゴールデン ヘリテージには、デザインにおいても加工においても非の打ち所がない。高い操作性、装着時の心地よさ、良好な視認性を考慮すれば、総じて非常に魅力的な時計である。ただ、ゴールデン ヘリテージは、極端にシャイな性格の時計愛好家にはお薦めできないかもしれない。この時計を身に着けていたら、間違いなく話しかけられるからである。
時計師からひと言
この時計を見た瞬間、加工品質の高さが目に留まりました。文字盤、針、ケース、ストラップ、バックルのどこにも欠点は見当たりません。ケース内でムーブメントを保持する手法にも好感が持てます。ムーブメントと文字盤がジャストフィットするように完璧に計算されており、これほど大型な時計でもスペーサーなしでムーブメントを保持できるようになっているのです。スペーサーを使用していたら、ムーブメントの据わりはここまで安定しなかったでしょう。文字盤の下でムーブメントの周囲に配置された黒いプラスチック製のリングは、ショックアブソーバーのような役割を担い、ムーブメントを保持するために必要な柔軟性を約束してくれます。これは、文字盤に見える4つの丈夫なビスでケースにしっかりと留められています。