BREITLING TRANSOCEAN CHRONOGRAPH UNITIME
世界を旅するならば、ワールドタイマーがあれば気分も一層盛り上がるというもの。最新技術をヴィンテージデザインに詰め込んだブライトリングのマニュファクチュールクロノグラフから、地球を包む時の流れが見えてきた。
ニック・シェルツェル: 写真 Photographs by Nik Schölzel
市川章子: 翻訳 Translation by Akiko Ichikawa
+point
・考え抜かれたデザイン
・ワールドタイム機構のセッティングが容易
・精度に優れている
-point
・視認性に難あり
・腕上の座りが今ひとつ
時を越える旅人へ
遠く離れた外国へ向かう時、持ち上がってくるのは時計の表示をどうするかという問題だ。住み慣れたドイツからニューヨークに向かう場合、時計の針を正してあちらの現地時間に合わせるべきか? しかし、滞在中にドイツに電話するならば、元々の時間が何時なのかを知っておく必要がある。こんな場合、ふたつのタイムゾーンの時刻が一挙に分かればありがたい。メインの時・分針に、24時間表示を指し示す針が添えられている時計も、こういった時に役立ってくれるためのものだ。だがドイツ在住の者が、ロンドンの地からロサンゼルスへ電話するというような、アウェイからアウェイへの場合は、単純な時差計算では追いつかなくなってくる。 そこで重宝するのがワールドタイマーだ。ワールドタイマーには24都市の名称が記されたリングが備わり、1時間刻みで24エリアに分けられたすべてのタイムゾーンが判別できる。リングのひとつの都市名をメインタイムゾーンとして現在時刻に合わせれば、セカンド、サードタイムゾーンの時刻も一目瞭然、というわけだ。
ひとくちにワールドタイマーと言っても、現在、流通しているものはいくつかの種類に分けられる。よくあるのは、都市名入りのリング自体は固定されていて回らず、読み取りに工夫が必要なタイプだ。リングを回せるタイプにも、センターの時・分針はそのままに、12時位置にメインタイムとする都市名が来るように動かして、それを起点に他エリアの時刻を割り出すものもある。これらのタイプだと、時差があるさらに遠くの土地への旅や、先に挙げたような国際電話の際には最適とまでは言えない。
そのようなタイプと比べて、ブライトリングが開発し、特許取得のワールドタイマー機構は、明らかに使い勝手が良い。というのも、12時位置に据える都市名を変更すると、センターの時・分針も動いてその都市名の現在時刻に表示が切り替わるからだ。都市名入りリングを廻すには、リュウズを一段引き出して操作する。すると、時針が1時間ずつ素早くステップ移動して、知りたい土地の時刻が示されるようになっているのだ。ちなみに、リング設定はリュウズを右回りにも左回りにも操作できるため、日付がまたがるエリア移動の時は、日付表示もともに進んだり戻ったりして切り替わる。これは旅の最中にはとりわけ快適に感じるだろう。現在地の時刻がすぐに分かり、かつ世界各地の現在時刻も見渡せるというのは心強い。2012年のバーゼルワールドで発表されたこの新型ワールドタイマー機構は、自社開発ムーブメントのトランスオーシャン・クロノグラフと組み合わせてデビューを果たした。