CHOPARD CLASSIC MANUFACTURE
このところ、ぐいぐいと歩を進めているショパール。すでに大成功を収めているL.U.Cは、美麗なだけに高嶺の花との嘆息も聞こえる。それに対応すべく、量産自社ムーブメントによって価格を抑えた新たなジャンルが打ち出された。
ニック・シェルツェル:写真 Photographs by Nik Schölzel
市川章子:翻訳 Translation by Akiko Ichikawa
+point
・心地よい装着感
・すっきりと整えられた丁寧な仕上げ
・上質な自社ムーブメントを搭載
-point
・ややバランスに欠けるデザイン構成
・歩度にばらつきがある
新たな花壇に咲く一輪
1996年からショパールは再び自社開発ムーブメントを製作するようになった。その名もL.U.C。これはブランド創始者のルイ‐ユリス・ショパールにちなんで名付けられたものだ。独自のムーブメント開発が進むうちに、シンプルなロングパワーリザーブやハイビートだけにとどまらず、永久カレンダーやトゥールビヨンなどの複雑機構を搭載したモデルまで、あらゆる種類が登場してきた。それらはおしなべて質が高く、かつ価格も高い。とりわけ、自社オリジナルのクロノグラフムーブメント開発については、多くの称賛を浴びている。クロノグラフは輪列が複雑なため、大手のマニュファクチュールとて、自社開発は避けたいところなのだ。ショパールでは、各種合わせると、現在、年に合計約4500個の自社ムーブメントを製造しているが、L.U.Cムーブメントの全品が、高精度の証として切り離せない存在である検査機関のC.O.S.C.(スイス公式クロノメーター検定所)から認定を受けているのだ。そして、一部のムーブメントにはジュネーブ・シールの刻印があり、さらに多くのものはカリテ・フルリエ規格を満たしている。これらの手間ひまかかった仕様が、自ずと価格に表れているというわけだ。
一方、同社の中でリーズナブルなモデルに対しては、基本的にETAムーブメントを使用するのがショパールの従来のやり方であった。しかし、さらなる一歩を踏み出すべく、2008年に独自のエボーシュ生産拠点とする新会社フルリエ エボーシュが設立された。ショパール グループの傘下であるこの会社は、設計開発および産業規模での生産化までの過程を担い、供給に値するムーブメントを製造することを目的としている。ショパールでは、スポーティーラインのミッレ ミリアなども含め、ETAのムーブメントを搭載していた大半のモデルをフルリエ エボーシュ製のものに順次置き換えていく予定だ。そのためのムーブメントは、目下年産1万5000個だという。ショパールのカール︲フレドリッヒ・ショイフレ共同社長は、これらの量産ムーブメントに比べて、複雑系のムーブメントはごくわずかしか作られないと、差違を強調している。今回のテストウォッチに搭載されるパワーリザーブ約60時間の自動巻きムーブメントは、パワーリザーブインジケーター付きのものやクロノグラフへの展開も計画中だ。その実現に際し、何が何でも歯車ひとつから新たに一から作り出す必要性は感じていないという。しかし、今後ショパールがこれら独自の新型ムーブメント製造に意欲的である限り、L.U.Cの技術が応用されるのは間違いないだろう。
このショパールのL.U.Cのロゴが入らない初の自社ムーブメントであるフルリエ エボーシュ製ムーブメントの第1作は、キャリバー01・04︲Cと名付けられた。これを内蔵するモデルが、今回検証する「クラシック マニュファクチュール」だ(発表時の呼称は「クラシック マニュファクトゥム」)。 このムーブメントは、2010年にL.U.C仕様のキャリバーL.U.C 01・01︲Lとして記念モデル「L.U.C 1937」に搭載され、細やかな仕上がりでお披露目された。2011年には「インペリアーレ」コレクションにも採用されている。