【71点】ベル&ロス / BR 03-92 ダイバー

2019.03.11
BR03-92
BR 03-92 ダイバーのラバーストラップはドライスーツの上からでは長さが足りず、装着が困難である。しかし、ウエットスーツ程度の厚みであれば、問題なく着用可能だ。 活動するシーンに合わせて、日常使いにはラバーストラップ、ダイビングには同梱の面ファスナー付きファブリック製ストラップに付け替えて着用するのがオススメ。


ムーブメントのプライオリティ

 ベル&ロスにとって、外側のコンポーネントよりもムーブメントのプライオリティは低いようである。いずれにしても、ムーブメントは堅牢なステンレススティール製の裏蓋に隠れていて見ることはできない。搭載されているのは量産ムーブメントのETA2892A2で、3つのクォリティの中でも「エラボレート」と呼ばれる最もシンプルなタイプである。テンワはグリュシデュール製ではなくゴールドメッキのニッケル製で、ETAによる調整が5姿勢ではなく4つの姿勢でしか行われていない。装飾もわずかな模様彫りと、ローターに施されたブランドロゴのエングレービングのみである。

 こうしたシンプルな仕上げのムーブメントは、高級腕時計にもしばしば見られるものであり、これ自体がデメリットになるわけではない。ただし、それはあくまでも、精度が良好な場合の話である。テストウォッチの示した平均日差マイナス17.5秒/日というのはかなり巨大で、4日後には1分以上、遅れることを意味している。これは、クォーツ式時計よりも精度が落ちる機械式時計であることを差し引いたとしても、許容範囲を超えている。数週間にわたる着用テストでも、歩度測定器による結果が実証されることとなり、マイナス14〜マイナス20秒/日もの日差が観測された。

 慰められるのは、最大姿勢差が〝わずか〟10秒/日であるという事実である。そのため、熟練の時計師であれば、少しの調整のみで及第点の取れる精度まで持っていくことができる。だがそのためには、購入した時計をわざわざメンテナンスに出す必要がある。その手間を考えると、これをしたいと思うユーザーはあまりいないだろう。

 だからこそ、通常、他のモデルでも行っているように、この時計でも完璧な調整をベル&ロスに求めたい。テストした個体では、この点以外、品質の上では非の打ち所がなく、高級ダイバーズウォッチとしてあるべき優れた特性を備えている。

 BR03-92 ダイバーを身に着ければ、陸上でも水中でも楽しく過ごすことができるだろう。なぜなら、「角がある」のはデザインだけで、加工においては「角はが立っていない」からだ。