グラハム アイコニックなトリガーシステムが計器への憧れを呼び起こす

2001年に誕生した「クロノファイター」以降、リュウズ同軸のプッシャー配置と、特徴的なトリガーシステムをアイコンとしてきたグラハム。その伝統を受け継ぐ現代のマスターピース群は、航空計器由来のヴィンテージルックと、軽量化を目指したカーボンボディが大きな魅力だ。

グラハムの伝統を受け継ぐ現代のマスターピース

　スイスの台頭以前に、最も進んだ時計産業を持っていた英国。トーマス・トンピオンの晩年に彼のパートナーとして活躍し、クロノグラフの祖と称されるジョージ・グラハムも、17世紀末〜18世紀初頭の時計産業を支えた偉人のひとりだ。1980年代からスイス時計産業のエンジニアとして働き、フリーとなった後は時計産業向けのコンサルタント業務を手掛けていたエリック・ロトは、敬愛する英国マスターウォッチメーカーの名を冠したスイス製ウォッチを製造する一大プロジェクト「ブリティッシュ・マスターズ」を起ち上げた。

　その中から1995年に誕生したブランドが現代の「グラハム」だ。最初の腕時計がローンチされたのは99年。しかしその2年後となる2001年には、早くもブランドを象徴するような基幹コレクションを完成させている。リュウズ同軸に配されたスタート／ストップ用のプッシャーに、グローブを着けたままでも操作しやすいトリガーシステムを加えた「クロノファイター」だ。古くは爆撃管制を行うための懐中クロノグラフに装備されていたものだが、これを腕時計に盛り込むことで、他に類を見ないアイコニックな個性を完成させている。

　オリジナルデザインのクロノファイターは、現在も「クロノファイター ヴィンテージ」として継続。その一方で削り出しの鍛造カーボンパーツを多用した「クロノファイター スーパーライト」も展開し、こちらはレーシングイメージと結びつくことで、新しくも若々しいグラハム像を訴求する。オリジナルの誕生から23年という時間は時計史の中では短いが、クロノファイターの持つ個性はさらに輝きを増しているようだ。