この業界に入ってから、シャネルというブランドのことを深く知るほど好きになっています。時計作りへの一貫したこだわりからは、ブランドの芯の強さを感じています。創業者ガブリエル シャネルの哲学を記した、山口路子さん著『ココ・シャネルの言葉』も素晴らしく、女友達みんなに薦めたい1冊です。
そんなシャネルがバーゼルワールドで発表するアートピースの新作を見られることを、実は今回の取材で心から楽しみにしてきました。
先がけて2点、こちらでご紹介します。
まずは、「プルミエール ミッドナイト イン ヴァンドーム」。世界限定1点のみのクロックです。黒檀と黒曜石の引き出し式ボックスの上に、18Kイエローゴールド製の蛙がリングウォッチをくわえています。このリングウォッチは、もう1点付属するイエローサファイアのリングとの取り換えが可能です。
ある日、友人ココ(ガブリエル シャネルの愛称)の自宅を訪ねたジバンシィ。彼は床に落ちていたシャンデリアの欠片を拾います。「どこかに置いといて」というシャネルの言葉に、ジバンシーは、部屋にあった蛙の置き物にその欠片をくわえさせました。
この作品は、かつてのこんなストーリーから着想を得て作られたそうです。
もう1点は、生前のシャネルが愛用したコロマンデル屏風(中国の漆塗り屏風のこと)をモチーフにしたネックレスウォッチ。オニキスと18Kベージュゴールド、ブリリアントカットダイヤモンドによる作品です。「マドモアゼル プリヴェ」の新作で、過去に発表された同コレクションのウォッチとともに展示されています。こちらも世界限定1本。
シャネルは、2019年6月にこうしたハイエンドウォッチを集めた顧客向け展示会を東京・銀座のネクサスホールで開催予定だそうです。ぜひ訪ねたいですね。
現在、同ホールで行われている「ピエール セルネ&春画」展も大盛況のもよう。ご興味のある方はぜひ4月7日まで(3月28日は休館)の期間中にお出かけください。
文、写真:高井智世