2023年5月、オシアナス「マンタ」に加わった「OCW-S7000」。さらに24年1月には、新たに“パンダ”風の文字盤を備えた最新作が発売予定だ。今回、この発売前の最新オシアナス「マンタ OCW-S7000D」を着用レビューする機会を得た。
Text and Photographs by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2023年12月17日公開記事]
オシアナス最新作「マンタ OCW-S7000D」
2024年1月より、オシアナス「マンタ OCW-S7000」の新作モデルが発売スタートする。新作「マンタ OCW-S7000D」の大きな特徴は、同シリーズでは珍しい、ホワイト文字盤にブルーのインダイアルを配した“パンダ”風文字盤の意匠を持つことだ。
タフソーラー。フル充電時約19ヶ月(パワーセーブ時)。Tiケース(直径42.8mm、厚さ9.5mm)。10気圧防水。予価19万8000円(税込み)。2024年1月発売予定。
OCW-S7000自体もオシアナスの中では新しい。23年5月に発表された、タキメータースケールを配したベゼルにリング状のサファイアクリスタルをまとったシリーズだ。オシアナス マンタらしい薄く上質な外装はそのままに、スポーティーなイメージを強調したシリーズとなっている。ちなみに、2023年のカシオの売り上げデータによると、オシアナスの中で最も売れたモデルは同シリーズとなる「OCW-S7000B-2AJF」だった。
今回着用レビューする新作は、既存のモデルと外装やスペックは変わらない。文字盤のコスメティックチェンジといった位置付けだ。しかし、この“パンダ”風文字盤は、カシオのソーラー電波ウォッチの製造ノウハウが存分に活かされている。オシアナス マンタのコンセプトである「エレガンスとテクノロジーの融合」を体現した最新モデルなのだ。
最新モデルはホワイト×ブルーの“パンダ”風文字盤が特徴
これまでブルーやブラック文字盤が多かったオシアナス マンタ。本作では、ホワイト×ブルーのカラーリングが備わった。クロノグラフのメインダイアルをホワイトに、インダイアルをブラックに彩ったカラーリングを“パンダ”文字盤などと称しており、本作もそんなコントラストをなす“パンダ”風のデザインだ。
もっとも、真鍮製などと違って、光を透過させなくてはならないソーラーウォッチの文字盤で鮮やかなホワイトを演出することは難しい。そこで本作は、インダイアル部分のみで発電する仕様とした。
メインダイアルからは光を透過させる必要がないため、裏面に不透過のホワイト印刷が施された。さらに表面にはシルバーを蒸着した上で、クリアマット塗装が施されている。こういった着色手法によって本作はオパーリン文字盤のような控えめな光沢を有しており、一般的なソーラーウォッチとは大きく異なる高級感を獲得した。
一方、インダイアル部分はソーラー発電を行うため、透過性のあるブルー蒸着が施されている。オシアナスブルーを差し色として入れることで、同シリーズらしさを残しているのも、ハイレベルなデザイン性が感じられる。
チタン製のケースとブレスレットも高級機らしい上質さ
オシアナス マンタの価格帯は20万円前後~と、ソーラー電波ウォッチとしてはハイエンドに位置付けられる。その分、前述した文字盤含めて、外装は上質だ。
ケースとブレスレットに目を向けてみよう。チタン素材によって約84gの軽量さを実現した外装は、サテン仕上げを基調に、ベゼル側面やケースの稜線などにポリッシュ仕上げが施される。なお、ザラツ研磨が採用されており、シャープなエッジが際立っている。サテン仕上げが多いと傷が目立ちづらく、かつスポーティーな印象が強まる。しかし本作はスポーティー一辺倒というわけではなく、仕上げ分けや複雑な造形によって、高級機らしい立体感を備えているのも上質と言える理由のひとつである。さらにチタンカーバイト処理によって硬化されており、摩耗性と高い質感を実現した。
風防やサファイアクリスタルをまとったベゼルも厚みが抑えられて、フラットだ。このベゼルはブルーの蒸着で着色されており、見る角度によってブラックに近いブルーであったり、明るいブルーであったりするのが楽しい。
軽い腕時計は着け心地がよいものだが、加えて本作はケース・ブレスレットともに薄く、コマの遊びもあるため、シャラリとした快適な着け心地を楽しめた。1週間程度、毎日13時間は着用していたが、疲れることもなかった。ケース直径は42.8mmあるので、手首のサイズによっては着用時に違和感を覚える人もいるかもしれない。確かに、手首サイズ14.7mmの自分にとってはリュウズが手の甲に当たるシーンがあった。とはいえ全長は47.5mmに収まっており、着け心地は総じて良い。
バックルの開閉もスムーズだ。バックル両サイドのプッシュボタンによって開閉するため外しやすく着けやすい。ブレスレットが薄いとはいえバックルにそれなりの厚みはあるが、デスクワークの邪魔をするほどではなかった。
考えられたチタン製ケース・ブレスレットを備えた本作の定価は税込み19万8000円。価格と品質のバランスの良さが、本作を所有することへの満足感を押し上げる。
多機能はスマートフォン連携しないと使いづらさを感じたが……?
アナログ表示のオシアナス マンタは一見すると時分針とクロノグラフが搭載されたモデルのように感じるが、さらに多くの機能を備えている。例えば9時位置のインダイアルは積算計(60分積算計と12時間積算系が同軸となっており、その下部のサブダイアルで24時間まで計測可能)である一方でモードを切り替えればワールドタイム表示にもなり、現在のモードは6時位置のインダイアルで確認できる。モード切り替えはリュウズを引いた状態でプッシュボタンを押して……といったように、機能によってインダイアルや針の役割が異なってくる。正直、操作や読み取り方が複数あると覚えきれない。そこで便利なのが、モバイルリンク/アプリ連携機能だ。
モバイルリンク/アプリ連携機能は、対応携帯電話にカシオの専用アプリ「CASIO WATCHES」をダウンロードし、かつBluetoothと時計を連携させることで、ワールドタイムやアラーム、時刻などの設定を行うことができる機能だ。アプリ側のユーザーインターフェースが高いため、扱いやすく、カシオ製品の多機能をすべてとは言わないまでも、使いこなすサポートをしてくれる。
しかし本作は、まだ発売前だからか、製品登録がされておらず、この連携機能を使うことができなかった。ただでさえ多機能操作を理解するだけでも難しいのに、ソーラー電波時計の中にはリュウズが引き出しづらかったりプッシュボタンが押しづらかったりして、ユーザビリティが低いと言わざるを得ないモデルが存在する。レビューする以上、さまざまな機能を使ってみなくてはならないので、スマートフォン連携ができないことに少しうんざりする気持ちを覚えた。しかし実際に触ってみると、本作はソーラー電波時計としてはリュウズが引き出しやすく、プッシュボタンを押すのにも苦労はなかった。とはいえ、前述したクロノグラフやワールドタイムのモード切り替えや、電波受信、あるいは時刻操作などに必要な操作を覚えるのは大変だった。もっとも、「標準電波受信で正確な時刻を表示させる上質なソーラーウォッチ」として見た時、すべての機能を使わなくとも、十分お値段以上の価値はあるように思う。
発売が待ち遠しい最新作!
今回、発売前の最新オシアナス マンタ OCW-S7000Dを着用する機会を得た。オシアナス マンタの上質な外装については多少知っていた。そして実際に着用してみると、着け心地の良さや独特の造形に、改めて所有欲を刺激された。“パンダ”風の文字盤も優れた出来栄えで、利便性や機能性がメインの話題となりがちなソーラー電波時計に、「高級時計」としての付加価値を添えたと言える。
発売は2024年1月予定。このレビューに目を通してくれた読者は、ぜひ店頭でも実物を見てほしい!
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