2026年に誕生75周年を控えるオリエントスター。本格的な機械式腕時計を、手の届く価格帯で提供し続けてきたブランドだ。今回はそのラインナップの中から、30代におすすめのモデルを5本紹介する。毎日の相棒となるような、そんなデイリーユースウォッチを探している30代は、ぜひ参考にしてほしい。
Text by Kento Nii
[2025年4月11日公開記事]
30代におすすめするオリエントスター5選
日本を代表する腕時計ブランドのひとつ、オリエントスター。1951年にオリエント時計株式会社から「輝ける星」をイメージした初代モデルが誕生して以来、本格的な機械式時計ブランドとして歩みを進めてきた。オリエント時計が2009年にセイコーエプソンの完全子会社となり、2017年の統合を経たことも相まって、現在は半導体技術を応用したシリコン製ガンギ車を腕時計に採用するなど、先進的なウォッチメイキングを展開している。
長い歴史と先進性を持つと同時に、「手が届く機械式時計」であることも、オリエントスターの特徴であり、魅力だ。このブランドが優れた品質と良心的な価格設定の両立を実現し続けているのは、長年をかけて培われた確かな技術力と、ムーブメントから自社で一貫製造する体制を有しているからであり、ブランドの国内外問わない人気を後押しするものとなっている。
また、その独創性が際立つデザインも、オリエントスターの腕時計が持つ魅力である。特に、スケルトンダイアルはブランドを象徴する意匠であり、1991年に発表された「モンビジュ」以来、多くのモデルに採用されてきた。機械式時計特有の精緻な意匠を楽しめるこのダイアルは、上品な個性を手元に演出するとともに、所有する喜びを深めてくれるスタイルと言える。
現在オリエントスターのラインナップは、モダンからクラシック、スポーツからドレスまで、実に幅広いデザインを持つ顔触れがそろっている。中でも、2023年に誕生した「Mコレクションズ」は、星団・星雲をモチーフとし、豊かな表情や機能性を備えた腕時計として、時計ユーザーから熱い視線が注がれている。こうした多彩なラインナップは、ユーザーの幅広い需要にマッチさせやすいだろう。
そんなオリエントスターの腕時計は、ビジネスでもプライベートでも大きな変化を経験しやすい30代にとって、おすすめしやすいブランドのひとつだ。独創的なデザインは、自己表現を行ううえでの強力な武器となり、多彩なラインナップは、30代の多様なライフスタイルに寄り添ってくれる。また、10〜30万円台を中心とした価格設定は、初めて本格的な機械式時計を選ぶ層も手が届きやすく、優れたコストパフォーマンスを実感しやすいはずである。
本記事では、そんなオリエントスターの魅力が凝縮された、30代におすすめしたいモデルを厳選して紹介していく。
オリエントスター「M34 アバンギャルドF8 スケルトン」Ref.RK-BZ0004B
Mコレクションズのひとつ「M34」は、ペルセウス座の散開星団を意味しており、ギリシャ神話に登場する英雄ペルセウスに由来するコレクションだ。多彩な顔触れが登場しており、いずれのモデルも都会的かつスタイリッシュなデザイン性を魅力としている。その中でも「M34 アバンギャルドF8 スケルトン」は、ブランドで初めてシリコン製ガンギ車が採用された経緯から、コレクションを代表するモデルに位置付けられている。

自動巻き(Cal.F8F64)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径42.3mm、厚さ12.4mm)。10気圧防水。29万1500円(税込み)。
ピックアップしたRef.RK-BZ0004Bは、ケース、ブレスレットに黒のメッキ処理が施された、ソリッドな質感を持つ1本だ。12時位置にパワーリザーブインジケーター、6時位置にスモールセコンドが配置されており、シルバーとブラックのコントラストが表情に映えている。また、ダイアル中央付近には、ブルーのシリコン製ガンギ車がのぞいており、その小気味良い動きが、ダイアルにささやかなアクセントを加えている。
ケースは直径42.3mmで、テーパーのかかったラグによって、そのシェイプは洗練された印象を見せている。ベゼルに配された6つの六角形のビスは、M34 アバンギャルドF8 スケルトンシリーズに共通する意匠だ。ケースバックはトランスパレント仕様であり、ムーブメントの構造を表と裏から楽しむことができる。
なお、搭載するムーブメントは、前述したCal.F8F64。シリコン製ガンギ車の採用によって優れた耐磁性能を備えるとともに、+15秒〜-5秒の安定した精度と約60時間のパワーリザーブも併せ持っており、実用性に優れている。
オリエントスター「コンテンポラリーコレクション」Ref. RK-AV0B12E
コンテンポラリーコレクションの1種「レイヤードスケルトン」は、2枚のレイヤーから成る、複層構造のダイアルを特徴とするシリーズである。重なり合ったレイヤーには、それぞれで異なる仕上げや色合いが与えられており、奥行きのあるデザイン性を楽しむことができる。

自動巻き(Cal.F6F44)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径41mm、厚さ13.6mm)。10気圧防水。国内限定400本。11万7700円(税込み)。
Ref. RK-AV0B12Eは、ダイアルにミントグリーンカラーを採用し、地中海の開放的な雰囲気を表現したモデルだ。2枚のレイヤーは同系色で彩られており、それぞれに放射状の仕上げが施されたことで、爽やかなカラーリングがより際立っている。また、12時位置のパワーリザーブ表示や、大胆なオープンワークの周囲には、暗色が配置されており、表情の奥行き感がより高められた。
ケースの造形は、スーツに用いられる生地が持つ、自然なドレープ感をイメージしたものだ。サイドからラグにかけて優美なくびれを描いており、ピッチが短い、エレガントな印象のブレスレットとも良好な相性を見せている。
ムーブメントは、Cal.F6F44を搭載しており、パワーリザーブは約50時間を備えている。一部がオープンワークされたダイアルとトランスパレントバックの両方から観賞できるのがポイントだ。なお、本作は数量限定モデルであり、ケースバックには1〜400番までの限定番号が刻印される。また、交換用のブラウンカーフストラップが付属する。
オリエントスター「M42 ダイバー 1964 2nd エディション F6 デイト 200m」Ref.RK-AU0701B
Mコレクションズのひとつ「M42」は、海神ポセイドンの子の名を持つ、オリオン大星雲から着想を得たコレクションだ。その由来が示す通り、ラインナップには高い防水性と信頼性を備えたダイバーズウォッチが登場している。

自動巻き(Cal.F6N47)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。Tiケース(直径41mm、厚さ14.3mm)。200m防水。18万7000円(税込み)。
Ref.RK-AU0701Bは、オリエント史上2本目のダイバーズウォッチとなった「カレンダーオートオリエント」のリバイバルモデルだ。そのダイアルやベゼルに、オリジナルの特徴を引き継ぎつつも、パワーリザーブ表示やISO 6425規格に準拠した200m防水を備えるなど、現代的なアップデートが施されている。
ケース、ブレスレットは軽やかかつ堅牢なチタン製だ。ヘアライン基調の仕上げはチタン素材特有の質感を際立たせるとともに、力強い雰囲気を全体に漂わせている。ちなみに、ケースが持つシャープなラグの形状も、オリジナルのラグを再現したものである。
ムーブメントは、約50時間のパワーリザーブを備えるCal.F6N47を搭載する。軽やかな着用感と、レトロさが漂うスポーティーデザインを併せ持つ本作は、ダイバーズウォッチとしてはもちろん、シティウォッチに選ぶ上でも魅力的なモデルと言えるだろう。
オリエントスター「M34 F8 デイト」Ref. RK-BX0003L

自動巻き(Cal.F8N64)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径40mm、厚さ12.9mm)。10気圧防水。36万3000円(税込み)。
Ref. RK-BX0003LはM34コレクションの中でも、フラッグシップに位置付けられている1本である。
本作でまず目を引くブルーのダイアルは、夜空に降り注ぐペルセウス座流星群を表現したものだ。その製作には「信州 時の匠工房」の技術が用いられており、手彫りされた金型による精密な模様が、豊かな表情を演出している。またその色彩表現にも、エプソンが開発した光学多層膜技術が活用されており、夜空を思わせる奥深い色合いが生み出された。職人技と先端技術によって実現した、ラグジュアリーなダイアルと言えるだろう。
レイアウトされた針、インデックスは、シンプルな造形ながら丹念に磨き上げられており、判読性に優れるだけでなく、ダイアルの情緒的な表情を際立たせている。同様に、ケース、ブレスレットもポリッシュとヘアライン仕上げの巧みなコンビネーションが効いており、上品な高級感が佇まいに演出されている。ケース直径は40mmで、多様なファッションに合わせやすい1本だ。
ムーブメントは、シリコン製ガンギ車を持つCal.F8N64を搭載する。約60時間のパワーリザーブを備えており、ケースバックから、ローターやテンプの動きを見ることができる。
オリエントスター「M45 F8 スケルトン ハンドワインディング」Ref.RK-AZ0002S
Mコレクションズの1種「M45」は、“すばる”の名でも知られるプレアデス星団をモチーフとしたコレクションだ。年月を経ても色あせない普遍的なデザイン性を特徴としており、落ち着きのある表情は、着用するシーンや着用者の年齢を選ばない。

手巻き(Cal.F8B63)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径38.8mm、厚さ10.6mm)。5気圧防水。35万2000円(税込み)。
Ref.RK-AZ0002Sは、オリエントスターの誕生70周年記念に発表された手巻き式モデルである。本作で特筆すべきは、スケルトンダイアルからのぞく極限まで肉抜きされたムーブメント、Cal.F8B63だ。その地板の表面には渦目模様、縁には丁寧な面取りが施されており、ダイアルから精緻な動きや装飾を隅々まで鑑賞することができる。
また、本作のダイアルは細部にまで妥協を感じさせない表情に仕上げられている。9時位置に見える、彗星の尾をイメージしたふたつの抜き形状や、スモールセコンドからのぞく、天の川銀河系を思わせるシリコン製ガンギ車は、その好例だ。ブランド初のスケルトンウォッチである「モンビジュ」の誕生から、30年かけて培われたスケルトンウォッチの製造技術を、存分に体感することができるだろう。
ケースは、直径38.8mm、厚さ10.6mmで、腕なじみの良いサイズ感を実現している。なお、本作もCal.F8B63を搭載しているため、シリコン製ガンギ車のブルーが文字盤側からのぞいているのがポイントだ。