オリエントから発売されているクラシカルな外観の「バンビーノ」。手に取りやすい価格ながら、ドーム型の風防にボンベ文字盤という、古式ゆかしい見た目の人気コレクションだ。『ウォッチタイム』アメリカ版に携わる編集者・ライターのマーティン・グリーンは、本格的なドレスウォッチを所有していたとしても、バンビーノは手にいれるべき腕時計だと主張する。そんなバンビーノの魅力に迫っていこう。

クラシカルな魅力あふれる「バンビーノ」の38.4mmモデル
一部の腕時計には、人を自然と引きつける不思議な魅力がある。今回その好例となったのが、オリエントの「バンビーノ」である。とりわけ引かれたのは、40.5mmから38.4mmへとケース径を小型化したモデルである。

元々魅力的だったこのモデルは、よりコンパクトになったことで、さらに心をつかんでくる。スリムになったことで、この腕時計の持つヴィンテージ感が一層際立つようになった。
現代では珍しいクラシカルな美学を体現した現行品
バンビーノが体現するクラシックでレトロな美学は、現代の新作時計にはなかなか見られないものだ。その魅力は1950〜60年代のモデルに共通する要素に通じており、ドーム型ミネラルガラス製風防の下に、ゆるやかに湾曲した文字盤を備えている。細身のベゼルと短めのラグが時計全体を引き締め、加えて大ぶりのリュウズがキャラクターをより強調するのだ。

自動巻き(Cal.F6724)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径38.4mm、厚さ12.5mm)。3気圧防水。公式オンラインストア限定。4万2900円(税込み)。
文字盤色とバリエーションが豊富
オリエントは、この38.4mmケースを採用した「バンビーノ」を多数展開。ひとつはゴールドカラーのケースに白文字盤を組み合わせたモデルで、残る3つはステンレススティール製ケースに、それぞれ黒、白、クリームの文字盤を合わせたものだ。(編集部注:これらのカラーのモデルは、日本国内ではオリエント公式オンラインストアでのみ入手可能。一般流通するモデルとしては、バーインデックスを備えたものならば、青や緑色文字盤のモデルがある。そのほかローマン数字インデックスのモデルも)
今回レビューしたのは、クリーム文字盤のバージョンだ。ヴィンテージ感を際立たせる要素として、青色の針がピュアなクリームカラーの文字盤上で鮮やかに映える。
自社製ムーブメントを搭載
スリムでありながら力強さも感じさせるこの腕時計には、自社製の自動巻きムーブメント、Cal.F6724が搭載されている。シースルー仕様の裏蓋越しにその姿を眺めることも可能で、その実直な外観は、洗練された文字盤デザインと実に調和している。

パワーリザーブは、個人的には十分な約40時間で、振動数は2万1600振動/時。秒針停止機能も備えており、秒単位での正確な時刻合わせが可能だ。日付表示はクイックチェンジ方式を採用。バンビーノは古き良きクラシックの系譜に連なるモデルであり、30m防水を備える点もその証左と言える。この防水性は、かつてのヴィンテージ時計同様、優雅なフォントで文字盤に誇らしげに記されている。
心地の良い付け心地、気負わない優雅さ
オリエント「バンビーノ」には、控えめでありながら確かな自信が感じられる。その控えめな外観は、多くの名だたるドレスウォッチのアイコンとも遜色なく調和し、それでいて圧倒的に手に入れやすい価格を実現している。たとえ既に本格的なドレスウォッチを所有していたとしても、バンビーノはなお欲しい1本だ。手首に心地よく収まり、気負わない優雅さを体現している。この感覚は、今ではなかなか得難いものだ。
ストラップには改善点あり。自分で用意するのもアリか
洗練された外観を持つ一方で、唯一惜しいと感じたのがストラップの質感である。素材自体は本革であるものの、アリゲータープリントはやや人工的に見えてしまう。個人的には、わずかにシボのあるカーフストラップを合わせたいと思う。そうすれば、この腕時計の魅力がより際立つはずだ。ただし、このモデルを含め、全4種はいずれもストラップ交換がしやすいデザインとなっているため、自分にぴったりの組み合わせを探す楽しみも残されている。