昨年「ダトグラフ」「ランゲ1」の周年を迎えたA.ランゲ&ゾーネは、それらのコレクションから、特筆すべき新作モデルを打ち出した。続く2025年、新開発ムーブメントを搭載した「1815」や「ミニッツリピーター・パーペチュアル」、そしてハニーゴールド製の「オデュッセウス」がリリースされている。

A.ランゲ&ゾーネの2025年新作①「1815」
2025年、A.ランゲ&ゾーネは34mm径のコンパクトなケースに新開発ムーブメントを搭載した「1815」を2種、リリースした。

手巻き(Cal.L152.1)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KWGケース(直径34.0mm、厚さ6.4mm)。3気圧防水。385万円(税込み)。

手巻き(Cal.L152.1)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KPGケース(直径34.0mm、厚さ6.4mm)。3気圧防水。385万円(税込み)。
これまでの1815のケース直径は、ベーシックな3針モデルで38.5mmだった。しかしながら新作モデルは34mm径。厚さもわずか6.4mmとなっており(もっとも38.5mm径モデルのケースも8.8mmと極めて薄い)、18Kホワイトゴールドまたは18Kピンクゴールド素材を使った、クラシックかつエレガントなスタイルを確立している。小さいとはいえケースにはポリッシュとサテン仕上げがコンビネーションで与えられており、ベゼルの縁にわずかに設けられた段差と相まって、立体感を備えていることもポイントだ。

機能は3針のみとミニマルだからこそ、細部にまで行き届いた、高級機らしいディテールが感じられる。シルバー925製の文字盤は深みのあるブルーに彩られ、ゴールド製のランセット型の針、そしてホワイトのアラビア数字インデックスが優美。この意匠は、かつてA.ランゲ&ゾーネが名声を誇った懐中時計を想起させる。
ブルーまたはレディッシュブラウンのレザーベルトが、クラシカルな印象を押し上げている。

このコンパクトな1815のために、新開発の手巻きムーブメントCal.L152.1が搭載されていることも、特筆すべき点だ。なお、同ブランドが復活してから、75番目に製造されたムーブメントとなる。フェルディナント・アドルフ・ランゲが開発した4分の3プレートや青焼きネジでとめたゴールドシャトン、彫金を施したテンプ受けなど、A.ランゲ&ゾーネが大切にしてきた伝統的な装飾が施されつつも、フリースプラングテンプを備えていたり、パワーリザーブが約72時間であったりと、現代的な実用性が確保されている。小径化に伴いパワーリザーブも短くなってしまう場合が多い中、この持続時間を実現したところに、A.ランゲ&ゾーネの技術力を感じる。
A.ランゲ&ゾーネは「NEVER STAND STILL」を標榜しており、そのスタンスを体現したコレクションとなっている。
A.ランゲ&ゾーネの2025年新作②「ミニッツリピーター・パーペチュアル」
ミニッツリピーターとパーペチュアルカレンダーというふたつの複雑機構と、A.ランゲ&ゾーネのアイコニックなアウトサイズデイトを組み合わせた、新開発ムーブメントCal.L122.2搭載の新作モデルも登場している。

手巻き(Cal.L122.2)。54石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。Ptケース(直径40.5mm、厚さ12.1mm)。20m防水。世界限定50本。要価格問い合わせ。
ミニッツリピーターは、任意の時刻を音を使って知らせる機構だ。本作も9時側ケースサイドに取り付けられたスライダーを操作すると、ハンマー打ち機構が作動し、低音で正時を、ふたつの音色で正15分を、さらに高音で最後の正15分から経過した分の数を知らせてくれる。高音と低音に調律されたふたつのゴングが奏でる印象的な二重奏は、合計720種類もの異なる打鐘レパートリーで構成されている。
特筆すべきは、ミニッツリピーターの操作性と機能性を最適化するためのメカニズムが組み込まれている点だ。正時を打った後に正15分を打つ必要がない14分間は、普通のリピーターであれば、時を打った後、少し間を置いて分を鳴らす。この間が空くのを防止するために装備されたのが、一時休止省略機能だ。
また、リュウズを引き出した状態でミニッツリピーターを作動させてしまったことによる修理事例は、少なくない。そこで本ムーブメントではハンマー打ち機構が損傷するのを防ぐため、ハンマー打ち機構が作動している間はリュウズが引き出せないようになっているのだ。さらに特許技術のハンマーブロッカーによって、ハンマーがゴングを叩くたびにハンマーを一瞬、初期位置にとどめ、ハンマーが反動で再びゴングに当たることを防いでいる。

もうひとつの複雑精緻な機構であるパーペチュアルカレンダーは、2100年3月1日に一度、カレンダー修正が求められるのみ。また、高精度ムーンフェイズを搭載しており、地球の衛星の公転周期を忠実に再現しているため、122.6年でわずか1日のみの誤差に抑えられている。さらにすべてのカレンダーが8時位置に埋め込まれたボタンひとつで調整可能というユーザビリティーも備えている。
これらの特別な機構にふさわしいのが、上質なブラックエナメルのゴールド製文字盤だ。4つのパーツから構成されるこの文字盤は、A.ランゲ&ゾーネの工房で、時間をかけて製造された。複雑機構を備えたモデルはどうしても文字盤が煩雑になりがちだが、全体的にすっきりと見やすいレイアウトとなっているのは、12時位置のアウトサイズデイトの小窓の役割も大きいだろう。なお、9時位置に曜日表示と24時間表示、3時位置に月表示と閏年表示、6時位置にスモールセコンドとムーンフェイズ表示が配されている。ムーンフェイズの月は18Kゴールド製で、100個以上の手彫りの星に囲まれている。

世界限定50本が生産される本作は、一部のA.ランゲ&ゾーネのブティックでのみ販売される。
A.ランゲ&ゾーネの2025年新作③「オデュッセウス ハニーゴールド」
スポーティー&エレガンスを体現した「オデュッセウス」に、温かみのあるブラウン文字盤とA.ランゲ&ゾーネ独自の18Kハニーゴールド製ケース・ブレスレットを備えた新作モデルも必見だ。

自動巻き(Cal. L155.1DATOMATIC)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。18Kハニーゴールド®ケース(直径40.5mm、厚さ11.1mm)。12気圧防水。要価格問い合わせ。
オデュッセウスは2019年、A.ランゲ&ゾーネ初のステンレススティール製スポーツモデルとして誕生したコレクションだ。スポーツやレジャーで高精度な機械式時計を身に着けたいというニーズに応えるために開発された。現在は他のコレクション同様、18Kゴールド製モデルのバリエーションが展開されており、今回は18Kハニーゴールドを外装にまとうこととなった。
オデュッセウスとしては初めての採用となる18Kハニーゴールド製ケースは11.1mmと厚すぎず、細めのベゼルと相まって、エレガント。一方で日付と曜日を修正するピラミッド型のプッシュボタンや見やすい3時位置と9時位置のカレンダーの小窓などが、独創性をも有している。なお、ケースとブレスレットはサテン仕上げを基調に、稜線やベゼルはポリッシュが施されており、奥行き感のある仕上がりにもなっている。

針、アプライドインデックスもハニーゴールド製だ。ブラウンカラーと調和しつつ、細すぎず、またホワイトの蓄光塗料が施されることで、さまざまなシーンでの判読性を確保していると言える。文字盤外周およびスモールセコンド表示の外周にあしらわれたエンボス加工と対比を成す中央の光沢ある仕上げや、外に向かって競り上がるように傾斜の付いた、ゴールドカラーの分目盛りがあしらわれたフランジ、そしてその60位置の赤字が、個性を際立たせている。

5列リンクのブレスレットはしなやか。フォールディングバックルには落下防止機構が組み込まれていることに加えて、バックルを開かずにプッシュボタンを押すだけで、最大7mmの微調整を可能とする機構も搭載されている。
搭載するムーブメントは自動巻きのCal. L155.1DATOMATIC。なお、DATOMATICは日付機構と自動巻き機構の組み合わせを意味している。