オリエントスター 最新ムーブメント46系F7−50の醍醐味

2018.06.01
RK-HK0002L
オリエントスター スリムデイト RK-HK0002L
同じく46系F7-50ムーブメントを搭載する「スリムデイト」。文字盤の開口部を塞ぎ、日付表示を追加した、より実用的なモデル。ケース径も「スリムスケルトン」より1mm小径化され、より軽快に。文字盤がシンプルになった分、スモールセコンドの20秒と40秒の位置にビスを打ち、12時位置のパワーリザーブ表示とバランスを取った。自動巻き(Cal.F7G62)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SS(直径40.0mm)。5気圧防水。12万円。

 新生オリエントスター第1作が昨年発表された「オリエントスター メカニカルムーンフェイズ」だ。ブランド初の機械式ムーンフェイズ搭載機として、そして価格に対する品質の高さによって、高い評価を得たことは記憶に新しい。搭載するムーブメントは、1971(昭和46)年に開発した46系ムーブメントをベースとしている。新設された「コンテンポラリー」コレクションから発表された新作「オリエントスター スリムスケルトン」と「オリエントスター スリムデイト」も例外ではない。

 だが、搭載される最新ムーブメント46系F7-50は、一層ブラッシュアップされた。従来約40時間だったパワーリザーブが約50時間に延長され、メカニカルムーンフェイズ同様、日差も既存のプラス25秒~マイナス15秒からプラス15秒~マイナス5秒へと向上し、性能がさらに拡充された。

 もうひとつ特筆すべき特徴が、美観と装着感を一層高めるため、ケース形状と組み立て方の工夫によって〝実質的なスリム化〟を成し遂げたことである。今、高級時計の世界では小型化・薄型化という潮流が定着している。セイコーエプソンもその流れに乗ってこの意欲作を発表したわけだが、これまで半世紀近くもかけて〝育ててきた〟46系ムーブメントを諦めるわけにはいかない。むしろ、性能を高めた46系F7-50を載せて、スリム化を達成する道を選んだのだ。

(左)12時位置に配されたパワーリザーブ表示。46系F7-50ムーブメントを搭載することで持続時間が約50時間に延長されたことがひと目で分かる。(右)テンプ回りに開けられた小窓はスモールセコンドにも及び、スモールセコンドの小さな開口部からはガンギ車がのぞく。


(左)ラグの上面とサイドにはヘアライン、斜面にはザラツ研磨による鏡面加工が与えられ、立体的に交差する面と面の稜線が美しく際立つ。加えて、ラグからケースにかけて、すっきりとスリムに見せる効果も持つ。(右)ケースサイドから見ると、緩くカーブを描く長く伸びたラグとテーパーされた裏蓋の形状がよく分かる。この解決策が、ムーブメントを替えることなく、時計をスリムに見せるための秘訣だ。

 同社がたどり着いた解決策は、通常、裏蓋側から挿入するムーブメントを、文字盤側から組み込むという手法だ。「FLA」(Front Loaded Assembly)と呼ばれるこの方法によって、同社はふたつの利点を得ることができた。ひとつは、ムーブメントを裏蓋側から入れる必要がなくなったため、ケース側面から裏蓋側に向かって絞ることができ、結果、厚さ自体を変えることなく、実質的なスリム化を可能にした点。

 FLAのもたらすもうひとつの利点が、文字盤側からムーブメントを挿入することを逆手に取って、大きな開口部に細く絞り込んだベゼルを組み合わせることで実現した広々とした文字盤である。この広見切りは、視認性を高めるだけでなく、視覚的にケースを薄く見せる効果も持つ。

  一口に「スリム化」と言っても、これだけのノウハウが詰め込まれているのだ。すべては熟成に熟成を重ねてきた46系ムーブメントを決して諦めずにスリム化を成し遂げるため。ここにこそ、最新のオリエントスターを着けるよろこびと醍醐味がある。

「スリムスケルトン」と「スリムデイト」をスリム化するために考案されたのが、ムーブメントを文字盤側からケーシングする「FLA」(Front Loaded Assembly)法だ。通常は、裏蓋側からムーブメントを組み込むため、裏蓋を大きくテーパーできない。ムーブメントを文字盤側から挿入することで、裏蓋およびケースサイドのテーパーと、文字盤の拡大を同時に成し遂げた。

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