圧倒的シェアの秘密とは?
しかしだ。それにしても不思議なのは、Apple Watchのシェアの大きさではないだろうか?
Apple WatchはiPhoneとのペアリングでしか使用できない。対するグーグル開発の「wear OS」はiPhoneでもAndroidでも利用可能だ。独自プラットフォームで開発を進めているサムスンのGalaxy「Gear」シリーズも両対応である。
日本ではiPhoneのシェアが6割を超えるものの、グローバルで見た場合にはAndroidスマートフォンの方が稼働台数は多い。それにもかかわらずApple Watchばかりが話題になる。それもそのはずで、2017年、IDCによれば出荷されたスマートウォッチの約61%がApple Watchだったというのだ(台数ベース)。
これを追いかけるのはサムスンだが、その数は8.4%でしかない。wear OSを採用するスマートウォッチは、各メーカーとも小さなシェアしか奪えていない。
その理由について、業界は真剣に悩むべきだろう。Apple Watch、Galaxy Gear、wear OS採用スマートウォッチなどは、それぞれに同じ目的で開発されているものなのだから。
その確実な答えを筆者が持っているわけではないが、ひとつのヒントは“掘り下げる”ことではないだろうか。Apple WatchはiPhoneを通じてあらゆる情報へとつながり、アプリケーションの価値を共有する汎用のプラットフォームだ。しかし、そこにかならず死角はある。
次回はその死角について考えてみたい。
本田雅一(ほんだ・まさかず)
テクノロジージャーナリスト、オーディオ・ビジュアル評論家、商品企画・開発コンサルタント。1990年代初頭よりパソコン、IT、ネットワークサービスなどへの評論やコラムなどを執筆。現在はメーカーなどのアドバイザーを務めるほか、オーディオ・ビジュアル評論家としても活躍する。主な執筆先には、東洋経済オンラインなど。