ロレックスについて知っておきたい10のポイント

FEATUREWatchTime
2021.07.29

5.映画とロレックス

 ロレックスの腕時計が、100本以上の映画に登場しているというのは確実であろう。以下に挙げるのは、「007」シリーズ以外にロレックスが登場した映画である。

『目撃』『エアフォース・ワン』『大統領の陰謀』『地獄の黙示録』『アポロ13』『アルゴ』『ワールド・オブ・ライズ』『ボーン・レガシー』『ハスラー2』『戦火の勇気』『ザ・ディープ』『ディア・ハンター』『ダイ・ハード』『ダイ・ハード2』『ペテン師と詐欺師』『イージー・ライダー』『脅迫者』『アイズ ワイド シャット』『フランティック』『摩天楼を夢見て』『グッドフェローズ』『グッドモーニング、ベトナム』『大脱走』『インパクト』『ザ・シークレット・サービス』『インセプション』『ジョーズ』『キラー・エリート』『L.A.コンフィデンシャル』『リービング・ラスベガス』『ロード・オブ・ウォー』『ロスト・イン・トランスレーション』『マラソンマン』『メカニック(1972年)』『ミッドナイト・ラン』『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』『ナショナル・トレジャー』『交渉人』『オーシャンズ13』『アウトブレイク』『レインマン』『ライジング・サン』『ロッキー2』『デンジャラス・ラン』『シンドラーのリスト』『スピー』『スフィア』『タイタニック』『タワーリング・インフェルノ』『沈黙の戦艦』『ユージュアル・サスペクツ』


6.慈善活動

ネーティ・カイラス(Neeti Kailas)は貧困層の新生児に対する集団検診実施システムを開発している。

 ロレックスはその慈善活動やチャリティー活動への努力が知られているが、世界規模で行われているものに「ロレックス賞」と「ロレックス メントー&プロトジェ アート・イニシアチヴ」のふたつがある。

 1976年に始まった「ロレックス賞」は科学、医療、技術、技術革新、探検、発見、環境、文化的遺産の分野における個人に対する経済的支援を行っている。2009年にはその中に、「次世代につながる革新性を育成する」ことを目的とした、若い受賞者に対するプログラムを導入している。審査員によって若い起業家たちが選ばれ、それぞれのプロジェクトを遂行するための経済的および技術的支援が与えられる。

 この賞は創立当初から、60以上の国から110名の受賞者を輩出してきた。よく知られたプロジェクトには、「スーパーバグ(superbugs)」と呼ばれる、検査機関における迅速な検査技術の開発による新生児の集団健康診断の実行やスマートフォンアプリの開発、乳幼児の死亡率を下げるための啓蒙キャンペーンなどがある。

 2002年に始められた「ロレックス メントー&プロトジェ アート・イニシアチヴ」は才能ある若いアーティストと国際的に知られている巨匠とを結び付け、1年間の1対1のメンタープログラムを組むというものであり、活動が始まってから40以上の国から234名が参加している。


7.オークションでの最高レベルの実績

 収集ということになると、他のブランドを引き離すふたつのブランドが存在する。パテック フィリップとロレックスである。その複雑なタイムピースで構成された世界とプレシャスメタルを使ったケース、そして希少性からパテック フィリップはオークションにかけられる時計の中でも最も高額なリストの上位に君臨する。パテック フィリップの時計がオークションでも100万USドル以上の価格帯に多く見られるのに対し、ロレックスについては数年前までこのような傾向は見られなかった。変化が起こったのは2011年5月のことだ。ロレックスのRef.4113スプリットセコンド・クロノグラフがジュネーブのクリスティーズにおいて103万5000スイスフラン(116万3746USドル)で落札されたのだ。1942年製の時計は、当時にしてはケース径44mmという珍しく大きな時計であり、そしてケースがステンレススティール製であるということはマイナス点にならなかったのである。ロレックスのステンレススティール製の腕時計は通常、オークションではゴールド製よりも高値で落札されるのだ。

Ref.4113

Images courtesy Christie’s
(上段左より時計回りに)ロレックスの時計で初めて100万USドルを超える価格でオークションにおいて落札されたRef.4113。初めて100万USドルを超えたポール・ニューマンダイアルのコスモグラフ デイトナ。ロレックスのオークション最高落札価格を5カ月間保持したステンレススティール製Ref.8171。2014年に124万2040USドルで落札されたゴールドケースにエナメルダイアルを合わせたモデル。

 これ以降より、ロレックスのいくつかのモデルが100万USドルという大台をオークションで超えることとなった。ほとんどがクリスティーズでのオークションであったが、ここに簡単にまとめることとする。

 2013年5月、上記とは別のRef.4113スプリットセコンド・クロノグラフがジュネーブにおいて110万7750スイスフラン(116万1436USドル)で落札される。

 2013年11月、ジュネーブでのクリスティーズ「ロレックス デイトナ オークション"LESSON ONE(レッスンワン)"」において、ロレックスのRef.6263コスモグラフ デイトナに「RCOポール・ニューマン」ダイアルが合わせられたものが98万9000スイスフラン(108万9186USドル)で落札される。「RCO」とは文字盤上の12時位置に記された文字で、通常の「Rolex Oyster Cosmograph」と異なり「Rolex Cosmograph Oyster」の意味である。

 その翌月、ニューヨークではロレックスRef.8171、ステンレススティール製トリプルカレンダー、ムーンフェイズ搭載で文字盤にダイヤモンドがセッティングされたものが114万5000ドルで落札されている。クリスティーズはカタログに、イタリア人コレクターたちがこの時計に「パデローネ(Padellone)」または「ビッグフライパン(Big Frying Pan)」というニックネームを付けていたと記している。その理由は1953年頃と推察されるこの時計が作られた当時としては、破格に大きいケース径38mmによるものである。

 2014年5月、ジュネーブのクリスティーズでロレックスの18Kゴールド製、クロワゾネエナメル文字盤上に星型のアワーマーカーを配したモデルがオークションにかけられた。1949年製のこのピースは109万7000スイスフラン(124万2040USドル)で落札され、プレシャスメタル製ケースのロレックスの最高落札額を更新した。

 そして2017年、ポール・ニューマンが所有していたロレックス「ポール・ニューマンダイアル」のデイトナが、ニューヨークにおけるフィリップスの「ウイニング・アイコンズ(Winning Icons)」オークションにおいて、1775万2500USドルの価格で落札された。それまで落札されたロレックスの最高価格となっただけでなく、オークションで落札された腕時計としては史上最高値な腕時計ともなったのである。