いま身につけたい注目モデルを紹介
2001年に「カルティエ マニュファクチュール」を設立して以降、カルティエのメンズ時計は年々ラインナップを強化している。21世紀のカルティエが作る、注目モデルを3点紹介しよう。
サントス ドゥ カルティエ
2018年に発売された「サントス ドゥ カルティエ」は、カルティエの腕時計の原点ともいえるサントスの、現代的再解釈である。
ベゼルを12時と6時方向に拡大し、ブレスレットとの一体感を高め、よりスポーティな雰囲気が漂う。
信頼性の高い自社製ムーブメントCal.1847 MCの脱進機をシリコンに変更し、1200ガウス(約9万6000A/m)という高耐磁性能を実現した。
またケースの厚みはわずか9.08mmと装着感もよく、防水性能は100mとスポーツシーンでも使える実用性を強調したモデルとなっている。
自社製のミドルケースとベゼルは垂直方向にわずかに湾曲させ、スクエアなボディに立体感を与えている。
(右)2018年から採用されたインターチェンジャブル式ブレスレットとストラップ。弓管に内蔵された「クイックスイッチ」を押すと、簡単にケースからブレスレットまたはレザーストラップを外すことができる。
特筆すべきがブレスレットに付加された「スマートリンク」機能だ。これによりコマに内蔵された突起を押すだけでコマの調整が可能。また「クイックスイッチ」システムによりワンプッシュでカーフスキンストラップとの付け替えが行える。
自動巻き(Cal.1847)。23石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SS(縦47.5×横39.8mm、厚さ9.4mm)。10気圧防水。72万5000円(税別)。
サントス ドゥ カルティエ スケルトン
ブラジル人飛行士サントス-デュモンの要望を受けて、1904年に誕生した「サントス」。そして2019年のSIHHで発表されたのが、サントス-デュモンの偉業に着想を得た「サントス デュ カルティエ スケルトン LM」である。
スポットライトを使って夜間飛行に挑戦したというサントス-デュモンにちなみ、ケースにADLC加工を施し、インデックスと針にはスーパールミノバが塗布される。これまでのスポーツエレガンスの雰囲気から一転、タフな印象を受けるモデルとなった。
独自開発のCal.9612 MCを採用し、地板をカルティエのアイコンであるローマンインデックスの形に仕上げている。
バロン ブルー ドゥ カルティエ
自動巻き(Cal.1847MC)。SS(直径42mm、厚さ13mm)。日常生活防水。
「バロン ブルー ドゥ カルティエ」は自社開発の自動巻きムーブメントCal.1847 MCを搭載する。
ブルーダイアルに加え、ブルーサファイアクリスタルとブルーアリゲーターストラップを用いた、バロン ブルーコレクションのなかでも一層青が際立つモデルだ。
文字盤全体にフランケ紋様があしらわれており、エレガンスだけでなく風船の膨らみを表現する効果にも寄与している。
ケース径は42mmと大ぶりであり、ふくらみをおびたボディによりさらに存在感が増す。一方で深い青とローマ数字、ギヨシェ加工が気品を際立たせている。突起がないこと特徴的なフォルムにより袖口に引っかかることなく、快適な装着感が得られる点も特徴的である。
カルティエの時計を選ぶ際のポイント
これまで、カルティエのメンズ時計のごく一部を紹介した。他にも「ロトンド ドゥ カルティエ」や「ロンド ドゥ カルティエ」、「クレ ドゥ カルティエ」など魅力的なコレクションが揃う。
数多いカルティエのコレクションのなかから1本を選ぶには、設計思想の方向性やデザイン上の特性でモデルを厳選していくことになる。
モデルごとのコンセプトを理解する
カルティエのメンズモデルはフォーマルでもカジュアルでも着用できる「インフォーマル時計」が主流となっている。
このためマルチパーパスに使えると考えて差し支えないだろう。ここで意識したいのは、モデルによるコンセプトの違いだ。
カルティエの歴史的偉業を追体験するなら「サントス ドゥ カルティエ」や「タンク」、マニュファクチュールとして進化するカルティエを感じるなら「ロトンド ドゥ カルティエ」や「ドライブ ドゥ カルティエ」が検討対象となるだろう。
材質やフォルム、機能にも目配りを
カルティエの腕時計は、実用性を重視した高級時計を作るという伝統を守り続けているため、どのコレクションでも厚み10mm前後と薄型であるのが特徴的だ。
装着感やシーン別の使い分けを意識するなら、ブレスレットなのかレザーストラップなのかという違いを考えよう。
ドレスウォッチにはレザーストラップ、スポーツウォッチにはブレスレットといった具合だ。
洗練されたラウンドケースか、クラシックなスクエアケースかといった違いに気を配ることも重要である。
アフターサービスも盤石
由緒正しき時計宝飾メゾンであるカルティエは、アフターサービスも盤石である。精密機械である時計は衝撃により故障することもあり、クォーツ式時計といえども、定期的なメンテナンスは必要だ。
画期的なコンプリートサービス
時計メーカーの一般的なアフターケアは「オーバーホール」と呼ばれ、これは時計内部の清掃・注油・調整や外装のケアを行うメンテナンスである。
カルティエが行う「コンプリートサービス」は、時計を完全に分解し、破損したパーツを交換、精度検査までのトータルサポートを提供する画期的なサービスだ。
なお、カルティエの時計には機械式とクォーツ式がある。電池交換は2〜3年(6年ほどの長寿命クォーツモデルも一部存在)に一度ほどが推奨されており、「電池交換サービス」だけを依頼することも可能だ。
ストラップの交換
カルティエのストラップの交換は保証プログラムに含まれないため、別途依頼が必要だ。
ストラップはオンライン販売されていない。ストラップを購入する場合には、時計本体をカルティエ ブティックか正規特約店に持参し、条件に合うものを選択することになる。
通常はサイズ調整も含めて2〜8週間での交換となるが、現行モデルの標準カラーであれば、ブティックで即日交換も可能だ。
修理依頼や相談は電話か最寄りの店舗で
カルティエの腕時計の修理依頼や相談は、電話でカルティエ カスタマー サービスセンターに問い合わせよう。他に、最寄りのカルティエ ブティックに時計本体と保証書を直接持ち込むという方法もある。
カルティエに預けた時計は、技術者が診断して実施サービスを決定し、見積もりと納期が伝えられる。
革新的にして普遍的な魅力があふれる
カルティエの腕時計には、初代「サントス」や「タンク」から100年以上に渡り受け継がれてきた普遍的な設計思想と美学がある。これは、時計製造の歴史を変えたカルティエの誇りともいえるだろう。
21世紀のカルティエは、歴史と伝統を守りながらも、真のマニュファクチュールとしての道を歩んでいる。
カルティエの腕時計の革新性を現代的な感性で再解釈した、自社開発ムーブメントCal. 1904 MCやCal. 1847 MC搭載モデルにも触れてみてはいかがだろうか。
改めてカルティエの魅力を実感できるはずだ。