ロレックスのミルガウスの魅力とは。モデルの変遷とともに解説

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2021.04.09

愛好家に選ばれる理由

ミルガウスは時計ファンの間で高い人気を誇っている。装着するアイテムとしての魅力を解説しよう。

個性を出しやすい

ロレックスの人気モデルである、サブマリーナーやエクスプローラーは、街中でよく見かけるモデルだ。

しかし、ミルガウスはこれまで登場した全ての世代において、着用者を見かけることは少ないだろう。他人と被りにくい点で、個性を演出しやすい時計なのだ。

また、カジュアルやスーツスタイルを問わず、あらゆるファッションに合わせてよく映えることも、魅力のひとつといえるだろう。

シンプルなデザインでありながらきらびやかで、かといって主張の強すぎる光沢感はない。コーディネートのほどよいアクセントとしても最適なのだ。

悪目立ちしない

ロレックスの時計には、一見してそれと分かる、非常に目立つモデルも存在する。

圧倒的な存在感がメリットになるシーンがある一方で、ビジネスシーンなど、似つかわしくないシチュエーションも多い。

ミルガウスは個性的なデザインでありながらも非常にシンプルなため、大きく主張することはないだろう。

確かな価値を備えた高級ブランド時計でありながらも幅広いシーンで着用できる点において、大きな魅力を感じられる時計なのである。


モデルと特徴の変遷

誕生から生産中止、復活を経て現在に至るまで、いくつかのモデルが登場している。ミルガウスの歴代モデルを紹介しよう。

回転ベゼル搭載の初代

1956年に誕生し、60年代前半まで生産されていたモデルが、初代のRef.6541だ。ヴィンテージ・ロレックスの中でも数が少なく、幻のモデルとも言われている。

軟鉄性インナーケースを採用し、サイズも耐磁性能を保持するためにボリュームをもたせた仕様だ。イナズマの形にデザインされた秒針やサブマリーナーをイメージさせる黒文字盤、ドットインデックスなど、デザイン面でも個性を演出している。

ムーブメントは3回の仕様変更を経ているが、全て特別仕様のものを採用している。また、回転ベゼルとスムースベゼルの2タイプが搭載されていたことも特徴的だ。

シンプルな第二世代

1959~90年前後まで生産されていたRef.1019が、第二世代のミルガウスだ。

回転ベゼルが取り除かれ、イナズマ針が直針になるなど、初代に比べると意匠は大きく異なっている。文字盤はブラックとシルバーの2種類があり、いずれもシンプルなデザインだ。

文字盤の仕様にもいくつかの変更が見られ、特に初期個体のみに採用されたヘアライン仕上げ文字盤は、その希少性からヴィンテージ市場では高い評価を獲得している。

ムーブメントも特別仕様だ。耐磁シールドでカバーするだけでなく、ヒゲゼンマイなどにも耐磁素材を使用するなど、よりこだわりをもった機構に変化している。

リバイバルでイナズマ秒針が復活

2007年に復活を遂げたモデルがRef.116400だ。当初はブラックとホワイトの文字盤が発表され、15年ごろまで生産されている。

第二世代のシンプルなベゼルを引き継ぎながら、初代に用いられていたオレンジ色のイナズマ針が復活し、大きな話題を呼んだモデルだ。

厚みのあるケースは約3mmサイズアップし、より男性的な印象に。一方で、ポリッシュ仕上げによって高級感も備え、ロレックスらしさも保たれている。

ムーブメントは、現行モデルにも採用されているキャリバー3131を搭載。これは、かつて最も高性能と評されたこともあるムーブメントだ。

変わり種と呼ばれるに至った現行モデル

ミルガウス
ミルガウス
ロレックス「ミルガウス」
自動巻き(Cal.3131)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。オイスタースチール(直径40mm)。100m防水。各87万6700円(税込み)。

復活モデルの中で、黒と白の文字盤はすでに生産が終了。しかし、グリーンのサファイアクリスタルガラスを採用したRef.116400GVは、現行モデルとして人気を集めている。

従来のロレックスでは採用したことがない、特別なカラーリングを施したモデルだ。発売開始当初は特別仕様としてリリースされたモデルで、その独特なデザインを継承している。

そして、2014年には「Zブルー」と呼ばれる青文字盤を採用した新カラーがリリースされた。スペックは116400GVをほとんど引き継いでいるが、耐磁性が格段に向上。グリーンのガラス越しに文字盤のブルーが映え、宝石のような色味を醸し出すモデルだ。

現在は、116400GVとZブルーダイアルの2モデルで人気を牽引している。


魅力を知って理解を深める

ミルガウスは、ロレックスが耐磁時計として開発した特殊な時計だ。

需要の減少から一度は生産中止となったが、時代の流れとともに耐磁性が見直され、復活後は初期モデルがヴィンテージとして高値で取り引きされている。

優れた耐磁性能を備えるため、多くの部品に特別仕様のパーツを採用していることが特徴的だ。現在は2種類のモデルが生産されている。

川部憲 Text by Ken Kawabe


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