『デイライト』(1996年)
「他にもっといい手は?」
映画批評サイトでの評価はいまひとつだったものの、腕時計と映画のつながりについて語るならば押さえるべき作品がある。米ニューヨークのマンハッタンとニュージャージーをつなぐトンネル事故をテーマにしたアクション映画『デイライト』だ。シルヴェスター・スタローン演じるキット・ラトゥーラの手元で輝いた腕時計はパネライの「ルミノール」である。これがパネライにとって大きな起爆剤となり、その後も他のシルヴェスター・スタローン出演作への露出と需要を高めることになった。何年か後に発表された「ルミノール クロノグラフ デイライト」の名はこの映画にちなんだものである。
『アメリカン・ハッスル』(2013年)
「そんな大物はやめて、他をあたったらどうだ」
1978年に実際に起きた事件をもとにフィクションとして作られたサスペンス・コメディ映画『アメリカン・ハッスル』では、クリスチャン・ベール演じる詐欺師アーヴィン・ローゼンフェルドと、そのイギリス人パートナー、シドニー・プロッサーがFBI捜査官リッチー・ディマーソに協力して、おとり捜査で汚職政治家たちを逮捕していく。そのFBI捜査官の上司を演じたルイ・C.K.が着用していたのが、ロレックス「オイスター パーペチュアル GMTマスター」のゴールドモデルだ。なお、実際にロレックスがこのバージョンを発表したのはその二十数年後のことである。
『キングスマン』(2014年)
「で、これは何の役に立つ? 感電死でもさせるのか?」
マシュー・ヴォーン監督による陽気なスパイ映画。国際諜報機関のスパイにスカウトされた、タロン・エガートン演じるゲイリー・“エグジー”・アンウィンは先端技術を駆使して世界に忍び寄る脅威と戦う。作品の中で、3本のブレモンの時計が銀幕を飾った。さらに印象的なのは、ブレモンの共同創業者ニック・イングリッシュがキングスマン作中に出演を果たしていることである。
『要心無用』(1923年)
「今回は大丈夫そうだ!」
百貨店の販売員を演じるハロルド・ロイドが主演したアメリカのコメディ映画には、無声映画の中でも有名なシーンがある。ロイド自身が勤め先のデボア百貨店の宣伝のため、交通量の多い通りにそびえる高層ビルの外壁をよじ登り大きな時計の針にしがみつくシーンだ。この映画ではロサンゼルス1番街から10番街までの多くのビルがロケに使われた。メインの建物はテンプル通りとスプリング通りに面しており、屋上にセットが設けられた。
番外編:世界初のTVコマーシャル(1941年)
「アメリカはブローバ時間で動いている」
映画ではないが、時計ブランドが行った世界初のTVコマーシャルも時計史に名を残すであろう。1941年7月1日、アメリカのネットワークNBCにおいて、ニューヨークで行われた野球の試合、ブルックリン・ドジャース対フィラデルフィア・フィリーズ戦が放送され、その試合開始前にブローバのコマーシャルが放送された。これは10秒間の放送時間に対し、広告費は9USドル(放送料4USドル、テレビ局利用料5USドルという内訳)であった。同じように印象的なのが、1926年にブローバが行ったアメリカ初のラジオコマーシャルであろう。
まだまだある、名画と時計
これ以外にも映画名を挙げ出すときりがないほどだが、知名度の高いものには次のような作品もある。
・『栄光のル・マン』(1971年)/スティーブ・マックイーンが着用したホイヤー「モナコ」
・『エイリアン2』(1986年)/シガニー・ウィーバーが着用したセイコー×ジウジアーロ・デザインモデル
・『アメリカン・サイコ』(2000年)/クリスチャン・ベールが着用したロレックス「オイスター パーペチュアル デイトジャスト」
・『地獄の黙示録』(1979年)/マーロン・ブランドが着用したロレックス「オイスター パーペチュアル GMTマスター」
・『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)/マイケル・J・フォックスが着用したカシオ「データバンク」
・『007 ドクター・ノオ』(1962年)/ショーン・コネリーが着用したロレックス「サブマリーナー」
https://www.webchronos.net/features/53911/
https://www.webchronos.net/features/21403/
https://www.webchronos.net/features/48577/