ザクセン生まれのオートオルロジュリ、A.ランゲ&ゾーネが自身の最も複雑なタイムピース、「ツァイトヴェルク・ミニッツリピーター」を発表したのは5年前。プラチナケースにシルバー文字盤の仕様であった。そして今年のデジタル版ウォッチズ&ワンダーズにおいて、A.ランゲ&ゾーネはこのコンプリケーションにふたつ目のバージョンを投入した。18Kホワイトゴールド製ケースに鮮やかなブルーの文字盤を採用したのである。
手巻き(Cal.L043.5)。93石。1万8800振動/時。パワーリザーブ約36時間。18KWG(直径44.2mm、厚さ14.1mm)。3気圧防水。世界限定30本。参考予価44万9000ユーロ(ドイツVAT19%含む)。ブティック限定取り扱い予定。6月以降発売予定。
A.ランゲ&ゾーネ「ツァイトヴェルク・ミニッツリピーター」に18KWGケースモデルが登場
ツァイトヴェルク・ミニッツリピーターはデジタル表示の時分表示に、10進式によるデシマルリピーターを組み合わせたタイムピースである。非常に高い視認性と共に同作の根幹をなすのは、技術的な複雑性だ。A.ランゲ&ゾーネが2009年に発表したツァイトヴェルクファミリーのクラシカルな伝統にのっとり、ジャンピングアワーは9時位置の開口部に、ジャンピングミニッツは3時位置に2枚のディスクを用いて表示されている。
文字盤のブルーはPVDによって着色
スモールセコンドは6時位置、パワーリザーブインジケーターは12時位置のブランドロゴの下に配されている。文字盤はシルバープレートに深いブルーのPVDが施され、時分を結ぶ「タイムブリッジ」はロジウム加工が施された洋銀、針はロジウム仕上げのゴールドである。
文字盤時分表示の開口部の下、5時位置と7時位置にはそれぞれリピーターを鳴らすためのスティール製ハンマーが見て取れる。ブラックポリッシュ仕上げが施されたこれらハンマーは10時位置のプッシャーを押すことによって、文字盤に沿って巡らされたゴングを叩くのである。7時位置側のハンマーが低いピッチで「時」を鳴らし、ふたつのハンマーによる「ダブルトーン」によって「2桁の分」を知らせ、最後に5時位置のミニッツハンマーによって高いピッチで「1桁の分」を教える。ストライクを最も長く楽しむには、約20秒続く12時59分を鳴らしてみよう。
リピーター機構を守るための配慮が垣間見える
ツァイトヴェルク・ミニッツリピーターにはいくつかのセーフティ機構を採用することにより、誤った操作によるリピーター機構へのダメージを回避している。時間を正確に合わせられるストップセコンド機能のほかに、リュウズには、チャイムが鳴っている間はリュウズが機能しない安全機構が備わっている。ミニッツリピーターのプッシャーを押すと同時に巻き上げの輪列がラチェットホイールから切り離されるのである。
これにより動力の削減と、輪列へのダメージの回避が行われる。さらにジャンピングアワーとミニッツのディスクはチャイムが鳴っている間は動かないようになっており、チャイムによって聞こえる時刻と文字盤上から読み取れる時間の間に差異はない。
ツァイトヴェルク・ミニッツリピーターのパワーリザーブは約36時間。リピーター専用の香箱を持たないため、動力を必要とするリピーターの稼働には計時機能に影響を及ぼす。そのため、約36時間の駆動時間のうち、最後の12時間はリピーターを稼働させることができない。
ムーブメントの仕上げはやはり高水準
自社製手巻きキャリバーL043.5はトランスパレントバックから鑑賞ができる。グラスヒュッテ様式にのっとり、ロジウム仕上げの洋銀製3/4プレートが採用されている。ムーブメントは直径37.7mm、厚さ10.9mmで、手作業による装飾研磨が施されて組み上げられている。テンプ受けのエングレービングも同様に手仕上げ。テンプは近年のA.ランゲ&ゾーネのムーブメントらしく、スワンネック風の装飾こそあるが、実は緩急針を持たないフリースプラングテンプが採用される。振動数は1万8000振動/時であり、ムーブメントの総パーツ数は771点、石数は93石に及ぶ。
直径44.2mm、厚さ14.1mmのツァイトヴェルク・ミニッツリピーターのホワイトゴールド製ケースには、ダイアルカラーにマッチしたハンドステッチ仕上げのブルーアリゲーターストラップが合わせられ、ホワイトゴールドのフォールディングバックルで留めるようになっている。非常に魅力的なモデルであるが、販売本数はわずか30本のため、手にできる愛好家はごくわずかだ。
https://www.webchronos.net/features/45038/
https://www.webchronos.net/features/42095/
https://www.webchronos.net/features/40273/