スピードマスターの主なコレクション
スピードマスターは10のシリーズを擁するフラッグシップコレクションだが、その頂点に君臨する「ムーンウォッチ」はさらに複数のコレクションに分類される。主な3種類のムーンウォッチ コレクションを見ていこう。
ムーンウォッチ プロフェッショナル
「ムーンウォッチ プロフェッショナル」は、1969年にバズ・オルドリン月着陸船操縦士がスピードマスターを着用して月面に降り立って以来、ムーブメントも外装もほぼ変更を加えていないモデルだ。
インデックスと針はスーパールミノバでコーティングされ、暗所でも高い視認性を確保できる。
ヘサライト(強化プラスチック)製の風防や手巻きムーブメントを採用するなど、初代ムーンウォッチの伝統を色濃く反映したシリーズだ。
スピードマスター ムーンフェイズ マスター クロノメーター
「スピードマスター ムーンフェイズ マスター クロノメーター」は、精巧なムーンフェイズやマスター クロノメーター認定の高精度と高耐磁性を備えた、現代的にブラッシュアップされたムーンウォッチだ。
18Kイエローゴールドや18Kセドナゴールド、プラチナなどの高級感溢れるケースを採用し、上品なカラーでドレスウォッチとして映えるモデルが多い。
セラミック製ベゼル上のタキメータースケールにはリキッドメタルを採用し、損傷を受けやすいパーツの耐久性向上も図った。
スピードマスター ムーンウォッチ ファースト オメガ イン スペース
「スピードマスター ムーンウォッチ ファースト オメガ イン スペース」は、宇宙飛行士に初めて携行されたオメガの腕時計「スピードマスターCK 2998」を現代に蘇らせたモデルだ。
オリジナルは1962年、マーキュリー計画の「シグマ7」ミッションで、宇宙飛行士ウォルター・シラーが携行したモデルである。
ほぼ姿を変えずに蘇った本シリーズのケースバックには、ムーンウォッチの伝統の始まりに敬意を表し、「THE FIRST OMEGA IN SPACE」「OCTOBER 3, 1962」の文字が刻まれる。
おすすめのモデル
スピードマスターの豊富なラインナップの中から、NASAの有人宇宙飛行と関連の深い、ムーンウォッチに属する珠玉の名作4選を紹介しよう。
往時の手巻きが楽しめる スピードマスター プロフェッショナル
手巻き(Cal.1861)。18石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。SS(直径42mm)。5気圧防水。55万円(税別)。
「スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル(311.30.42.30.01.005)」は、アポロ11号からアポロ17号までの6回すべての有人月面着陸に携行された、伝説的なムーンウォッチのスピリットを受け継ぐモデルだ。
この腕時計には当時のモデルと同じ機構のCal.1861を搭載し、ケースバックにはムーンウォッチを称える刻印が施されている。
NATOストラップと宇宙飛行士仕様のストラップ、腕時計を鑑賞するためのルーペなども付属する特別仕様だ。
宇宙飛行士に敬意を表した ダークサイド オブ ザ ムーン アポロ8号
手巻き(Cal.1869)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。セラミック(直径44.25mm)。5気圧防水。104万円(税別)。
「スピードマスター ダークサイド オブ ザ ムーン アポロ8号(311.92.44.30.01.001)」は、1968年末に有人宇宙飛行で初めて月の裏側を観測したアポロ8号へのオマージュだ。
搭載するCal.1869にはレーザーアブレーション加工で月面を再現し、ダイアル側からは月の表側、トランスパレントバックからは月の裏側が眺められる。
腕時計全体がブラックセラミック製で、クロノグラフ秒針やレザーストラップのパンチング加工から覗くイエローがアクセントとなった、現代的かつスポーティーなデザインも魅力だ。
2020新作 スピードマスター ムーンウォッチ キャリバー321
手巻き(Cal.321B)。17石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約55時間。SS(直径39.7mm)。5気圧防水。151万円(税別)。
「スピードマスター ムーンウォッチ 321 ステンレススティール(311.30.40.30.01.001)」は、1965年に宇宙飛行士エド・ホワイトがアメリカ初の宇宙遊泳に携行した、第3世代スピードマスター「ST105.003」の現代版といえるモデルだ。
搭載するCal.321はST105.003や初代スピードマスターが搭載した伝説的ムーブメントの復刻版であり、繊細な設計をより美しく仕上げる18Kセドナゴールドコーティングも魅力的である。
ベゼルにはブラックセラミック、タキメータースケールにはホワイトエナメルをそれぞれ採用し、パワーリザーブも約48時間から約55時間に伸長させるなど、随所に改良も加えられている。
ゴールドケースが魅力的ファースト オメガ イン スペース
手巻き(Cal.1861)。18石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18Kセドナゴールド(直径39.7mm)。5気圧防水。180万円(税別)。
「スピードマスター ムーンウォッチ ファースト オメガ イン スペース(311.63.40.30.02.001)」は、スピードマスターCK 2998のデザインを踏襲しつつ、ブラウンと18Kセドナゴールドを効果的に配してモダンクラシカルな雰囲気に仕上げたモデルだ。
スピードマスターには珍しくミニッツサークルとインダイアルをはっきりと色分けし、レトロで優しい雰囲気が漂う。
パラジウム配合の18Kセドナゴールドは経年劣化に強く、窒化クロム処理のブラウンセラミックベゼルは耐傷性に優れるため、実用性の高い高級腕時計として活躍するだろう。
長くオメガを愛用するために心掛けたいケア
スピードマスターはスポーツ性能が高いコレクションだが、ムーンウォッチの復刻版はマスター クロノメーターではないモデルが多いため、ケアには十分に注意したい。
湿度や磁気に注意
スピードマスターは5気圧(50m)以上の実用的な防水性能を備えるモデルが多いが、ガスケットは経年劣化や衝撃の影響を受けるため、1年に1度は正規カスタマーサービスで防水性能を検査したい。
1万5000ガウス以上の磁気に耐えるマスター クロノメーターでなければ、電化製品(特に電子レンジ)やマグネットなど、強力な磁気を発する製品から遠ざけて磁気帯びを防ごう。
オーバーホールの頻度とサービス
オメガが推奨するオーバーホールの頻度は5〜8年に1度と、一般的な高級時計メゾンよりも数年長いスパンだ。
オーバーホールにあたるオメガの「コンプリート メンテナンス サービス」では、腕時計の完全な分解や洗浄、研磨、パーツ交換、性能検査を行う。
価格はムーブメントの機構やケース素材によって異なるため、オメガの公式サイトから情報を確認しよう。
保証期間とピックアップサービス
業界標準の向上に努めるオメガでは、すべての腕時計に対して5年間の保証期間を与えている。
有償サービスを行った場合には2年間の保証期間が付き、保証対象内の不具合があった場合には再度の部品交換や調整は無償で受けられる。
正規カスタマーサービスを受ける場合には無料のピックアップサービスも受けられるが、窓口は「スウォッチ グループ」の専用サイトだ。メンテナンス料金は腕時計の返送時、代金引き換えにて支払う。
オメガを代表するスピードマスターをコレクションに
オメガの「スピードマスター」は、NASAの有人宇宙飛行という人類史に残る偉業を支えた輝かしい経歴を持つ。
オリジナルモデルの復刻版も十分な機能を備えるが、最新技術を搭載したマスター クロノメーターであれば名だたる高級時計メーカーの中でも最高峰の性能だ。
歴史的な価値が高く、そのうえ機能性やデザインも秀逸な、オメガのスピードマスターをコレクションに加えよう。
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