オリエント時計は1951年の設立以降、特徴的なデザインで多くのファンを魅了する日本の時計メーカーだ。現在も46系ムーブメントを軸に、数々のコレクターズアイテムを世に出し続けている。オリエント時計の機械式時計の歴史と、おすすめコレクションを紹介しよう。
オリエント時計と機械式時計の歩み
オリエント時計は1951年、現在の東京都日野市に設立された。以来、機械式時計のメーカーとして多くの時計ファンに支持されているが、同社には市場の変革をはじめとする、多くの苦境を乗り越えてきた歴史がある。
国産時計メーカーとして意欲的なモデルを続々開発
創業以来、オリエント時計は国産時計メーカーとして、さまざまなモデルを開発してきた。前身となる多摩計器が操業を開始した1950年に量産型腕時計「ニューオリエント」をリリースし、翌年にはオリエント時計の象徴ともいうべき「オリエントスター」を発表。
1958年にはオリエント時計で初めて防水仕様を備えた「ロイヤルオリエント」を、1964年には初のダイバーズウォッチをそれぞれ発表した。以降も、オリエント時計は洗練されたデザインと機能を備えた時計を次々と世に送り出す。
基幹ムーブメントとなる46系ムーブメントが発表されたのは1971年のこと。初代モデルであるCal.46940はテンプの振動数を6振動とし、従来よりも精度と耐久性を向上させた。
細部にまでおよぶ職人たちのこだわりにより、オリエント時計は機械式時計メーカーとしての地位を確立していった。
クォーツの台頭を経て、オリエントスターで機械式復活
しかしながら、1970年代はクォーツの台頭によって機械式時計を主軸に戦ってきたメーカーの多くが苦境に立たされた時代でもある。オリエント時計も例外ではなかった。
機械式時計の生産を中止した時期もあったが、機械式時計へのこだわりを捨てることはなかった。そして1991年、オリエントの代名詞ともなったスケルトンモデル「モンビジュ」や、本格スポーツウォッチ「M-Force」などの機械式時計を再び発表する。
また、1990年代には「オリエントスター」を復活させ、2004年には「ロイヤルオリエント」を発表するなど、続々と新世代のモデルを打ち出し、機械式時計メーカーとしての地位を確立させていく。
オリエントスターの魅力
1970年代は、多くの腕時計メーカーが機械式からクォーツ式への転換を余儀なくされていた。そのような逆風の中でも、オリエントスターは機械式にこだわり続け、今日に至っている。
機械式ムーブメントへのこだわり
70年代のクォーツショックでは、多くの腕時計メーカーが機械式からクォーツ式への転換を余儀なくされていた。そのような逆風の中でも、オリエントスターは機械式にこだわり続け、今日に至っている。
特にオリエントスターを代表するのは46系ムーブメントだ。昭和46(1971)年に誕生したことからこの名が付けられているが、その後もムーブメントは改良され、今日のオリエント時計にも搭載されている。なかでも一層のブラッシュアップを図った46系F7-50は、現在でもオリエントスターの象徴として、多くのファンから愛されている。
全ての工程を自社で行っている
オリエントの時計は、秋田県にある工房でケースやムーブメントはもちろん、針やネジの1本に至るまで、全てを職人の手で作り上げている。
オリエントスターの機械式時計コレクション
オリエント時計の魅力といえば、やはり「オリエントスター」を筆頭とした機械式時計だろう。オリエントスターの代表的なコレクションを紹介する。
ブランド初の月齢表示 オリエントスター メカニカルムーンフェイズ
自動巻き(Cal.F7X62)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。SS(直径41mm)。日常生活用強化防水(5気圧)。17万円(税別)。
2017年に発売された「オリエントスター メカニカルムーンフェイズ」はオリエントスターで初の月齢表示を備えた機械式時計だ。
職人の手で1本1本丁寧に調整した分針は、時計を斜めから見たときでも時間が読み取りやすくなるよう工夫されている。視認性を高めた両球面サファイアガラスとセミスケルトンからのぞくムーブメントが高級感を引き立てている。
バンドには本ワニ革が使われているなど、素材にもこだわって作られているが、その価格は17万円からとリーズナブル。手が届きやすい価格でありながら高品質を追求する、オリエントの姿勢が表れたモデルだ。
人気の高い オリエントスター スケルトン
手巻き(Cal.48E52)。23石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SS(直径39mm)。日常生活用強化防水(5気圧)。24万円(税別)。
「オリエントスター スケルトン」は、オリエントスターのなかでも人気の高いコレクション。39mmのケースからのぞく46系のムーブメントが精巧な機構としてだけでなく、美しい装飾としても存在感を放っている。
インデックスと針はダイヤモンドカットが施され、高い視認性を誇る。加えて、パワーリザーブインジケーターやスモールセコンドの外周にもダイヤモンドカットを施す念の入れようだ。
ムーブメントには職人の切削加工によって波目や渦目模様が配されており、クラシカルなデザインのアクセントになっている。
曜日表示が逆行 オリエントスター レトログラード
自動巻き(Cal.40A52)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。SS(直径39.5mm)。日常生活用強化防水(5気圧)。9万5000円(税別)。
「オリエントスター レトログラード」は「Contemporary」のカテゴリーに属するコレクション。扇型の表示部を針が動き、目盛りの端にまで到達すると瞬時に戻る反復動作を行う「レトログラード」が搭載されているのが特徴だ。
月曜日から日曜日まで1日ずつ扇状のインダイヤル上を針が進み、1週間が経つと一気にジャンプして始点(月曜日)に戻る機構は、見た目にもユニークだ。
両球面ガラスにはサファイアガラスを採用。裏面無反射コーティングを施し、時刻の判読性を高めている。搭載するムーブメントは日差+25秒〜-15秒を実現し、駆動時間も40時間以上をマークするなど、実用的なコレクションとなっている。
機械式への情熱が凝縮されているオリエントスター
半世紀以上にわたって機械式時計を作り続けるオリエント時計。46系ムーブメントをはじめとする美しく実用的な機構は、全て職人の手によるものだ。
機械式への情熱が性能にもルックスにも反映された、オリエントスターの魅力に触れてみてはいかがだろうか。
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