SJXが大規模国際時計見本市を問う
〝フェアなき時代〟のフェアの必要性
ほぼすべての時計の消費者にとって、時計フェアは必要ありません。ほとんどの時計のバイヤーはフェアに参加せずとも、また事前に新作時計について読んでいなくても時計を購入するでしょう。
また、ロレックスやパテック フィリップなどといったメジャーブランドが支配しているビジネスの大部分については、小売店はフェアで見たかどうかにかかわらず、新しい在庫を注文するので、時計フェアは必要ありません。
そして今、多くのブランドは時計フェアなしで新作を発表する方法を見つけ出したので、新作モデルのニュースはフェアなしでも耳に入ります。魅力的な時計が実質的にただ発売されただけであっても、消費者はその時計を購入するということが、今年証明されました。
時計フェアは、間違いなく以前よりも中心的な役割が低くなるでしょう。
とはいえ、時計フェアは業界の小規模ではあるが重要な階層にとって意義のあるものであり、基本的には内部関係者にとっては重要なので、時計フェアは継続されるでしょう。小売店、ブランドの幹部やメディアは、時計フェアを開催してネットワークを構築する必要があるのです。これはフェア開催中に年1回(または2回)のみ起こります。また、企業で決定権を持っているような重要人物も、時計フェアや相互のつながりを好むだろうと思います。
また、ニッチな独立系ブランドにとっても時計フェアは重要です。これらのブランドはフェア期間中でしか、さまざまなジャーナリストに接触する機会がないため、時計フェアが世界中の聴衆に自社ブランドを伝える唯一の方法なのです。
選者のプロフィール
Su Jiaxian/スー・ジャーシャン
オンラインウォッチマガジン「SJX Watches」の創設者。「SJX Watches」はシンガポールを拠点としているが、世界中の時計愛好家たちに広く読まれている。