2020年9月18日、Apple Watch 6とエントリーモデルのApple Watch SEが発売された。内容については他のメディアが書きまくっている通り。おおざっぱに言うと、Apple Watchに血中酸素濃度センサーが付いたのがApple Watch 6で、Apple Watch 5の中身を持つのがApple Watch SEになる。エントリーモデルとは思えない内容を持つSEはかなりお買い得だが、アルミケースのモデルしかない。チタン、あるいはSSモデルが欲しい人は、必然的にApple Watch 6を選ぶことになるだろう。
2020年9月18日掲載記事
アルミケースは意外に良いぞ
2015年にApple Watchが発表された際、筆者はアルミケースの耐久性には疑問があると述べた。というのも、時計メーカーが採用したアルミケースは、ほぼ例外なく耐食性に難があったためである。
以前、タグ・ホイヤーの副社長だったギィ・セモンは「日本人の汗が一番酸性である」と述べた。つまり、日本人が使って錆びなければ、世界中のどこでも問題ないと言うことだ。筆者はアルミケースのモデルを酷使したが、Apple Watchのアルミケースは、1年程度の使用ではほぼ問題を起こさなかった。汗がきわめて酸性の人が着けた場合、アルミケースは錆びたかもしれないが、これに関して筆者は十分なデータを持っていない。
最終的にアルミケースの問題を解決したのは、新しいケース構造だった。第四世代以降のApple Watchは裏蓋全面がセラミックスになり、汗の影響を受けにくくなったのである。以降、Appleは、軽くて加工しやすい(つまり廉価な)この素材を多用するようになった。
かつてのApple Watchは、アルミ素材に航空機に使われているものと同じグレードを使っていた。対して新型のアルミニウムは、リサイクルアルミである。耐食性は大きく落ちるように思えるが、AppleはiPadなどの製造時に生じた切れ端などを再精製したアルミニウムを使っている。つまり、リサイクルアルミといえども、質は変わらないと言うことだ。あくまで理論上だが、耐食性は従来のアルミモデルに変わらないだろう。
優れた着け心地は従来に同じ
Apple Watchが普及した一因には、優れた装着感がある。第四世代以降、Apple Watchのケースサイズは40mmと44mmに拡大されたが、ケース厚は10mm代になった。また、どのストラップやブレスレットを選んでもバックルの張り出しが小さいため、デスクワークの邪魔にならない。こういった美点は、Apple Watch 6とSEにもそのまま受け継がれた。いずれもケース厚は10.4mm。一般的に、ケース厚が12から13mmを超えるとデスクワークには向かないとされているが、Apple Watch 6はその基準を十分にクリアしている。
寝るときも時計と共に。バックルのないソロループ
Apple Watch 6とSEの発表に会わせて、watchOSは7に進化した。その目玉となるのが、睡眠センサーである。就寝時間などをチェックすることで、睡眠の質を測れるものであるようだ。もっとも、よほどの時計マニア以外、就寝中にも時計を着ける人はいない。Appleはその点に工夫を凝らしたようで、ケースをさらに薄くしたほか、バックルのないソロループを導入した。もともとAppleのバンドは非常に優れた装着感を持っていたが、バックルをなくすことで、着け心地はさらに良い。もっとも、バックルを持たないバンドの場合、サイズが厳密でないと違和感が出る。対してAppleは、ソロループに9種類ものサイズを設けたほか、ストラップの素材にも、柔軟性の高いものを採用した。寝るときにもApple Watchを着けるユーザーがどれほどいるかは不明だが、少なくとも、筆者はソロループを着けたまま寝てもいいと思っている。なんだったらお風呂にも入っちゃおう。ただし、伸縮性が高いストラップは、理論上、長持ちしない。長期間使用していないため実際は分からないが、仮に長持ちしなくても、装着感とのトレードオフと割り切るしかないだろう。